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ダンジョンだからって戦わなきゃいけない決まりはないと思う  作者: テケリ・リ
五章 冒険者パーティー【揺籃の守り人】
88/225

第十一話 本日のトレンドは。

いつもお読み下さり、ありがとうございます。


昨日も報告しましたが、今作【ダンジョンだからって戦わなきゃいけない決まりはないと思う】が、50万文字を突破致しました!


また総合評価650pt、84,000PV、14,000ユニーク、ブクマ175件を達成しました。


皆様の温かな応援のおかげです。


本当に励みになっております。

ありがとうございます!!


これからもどうぞ、拙作にお付き合いくださいませ。


m(*._.)m




〜 ユーフェミア王国 ケイルーンの町 裏商人の館 〜



「お、お前!?それは……い、いいったい何なのよね!?」


俄に殺気立つ室内。


護衛の2人の私兵に加え、ローブの男までも、状況が悪いと察して身構える。


「これか?これはまあ強いて言うなら、迷宮の核の模造品だな。色々な機能は有るんだけど、今回はその場の光景を録画――記憶して封じ込める機能を、使わせてもらったよ。」


俺は自身に掛けていた隠蔽を一部解き、冒険者クレイとしての姿に戻る。


ほぼ同時に、ウズメも手枷を簡単に破壊して、ワンピースを脱ごうと……って、ちょっと待て!?


『ダメ!脱いじゃダメだぞ!?』


『なんでじゃ!?動き難くて嫌なのじゃ!』


『これ以上アイツにお前を変な目で見させたくないの!我慢!ステイ!!』


『う、うむぅ……そういうことなら……分かったのじゃ……』


ふぅ。

なんとか、ウズメが普段の露出過多な格好になることを防ぐことに成功した。


「お、お前は、それを一体どうするつもりなのよね!?」


モンドールが唾を飛ばしながら喚く。

顔は怒りで真っ赤になっている。


「ん?そんなの決まってるだろ?然るべき所に引き渡すのさ。お前と、お前の数々の悪事の証拠品に添えてな。」


俺がそう宣言したのとタイミングを同じくして、ドアの向こうから喧騒が聴こえてくる。


こっちに走ってくる足音も聴こえるな。


「モンドール様!し、侵入者です!!宝物庫が破られ、現在賊が此方に向かって来ています!!とても止められません!?」


ナーイスなタイミングですなぁ。


その賊というのは、勿論潜入していたタマモだろう。


男達の野太い怒声や悲鳴、剣戟の音や破壊音が、徐々に此方に近付いて来る。


「ぞ、賊なのよね!!??人数は!?宝物庫の中身はどうなったのよね!?」


一転顔を真っ青にして、慌てふためくモンドール。


そんな奴は、続くその兵士の言葉によって、更なる衝撃を受けることとなる。


「賊は1人です!獣人と思しき恐ろしい手練の女が、守備兵を薙ぎ倒しながらあぶしゃあ!!??」


チラリと白銀の軌跡を引いて、報告をしていた兵士が廊下の対面の壁に叩きつけられる。


「クレイ様、ご無事ですか?」


廊下から悠々と歩いて入室して来たのは、漆黒の着物を身に纏い、白銀の長髪と尻尾を揺らめかせる、絶世の美女。


「ああタマモ、おかえり。それとご苦労さま。大変だっただろ?」


俺は彼女に笑い掛け、労を労う。


「タマモやぁ!気持ち悪かったのじゃあ!その豚に睨め回されて、怖気が引かなかったのじゃああ!」


ウズメが駆け寄り、縋り付く。

うん、気持ち悪かったと思うよ。

よく我慢したよ、ホント。


「ウズメも、ご苦労さまでした。タマモは潜入係で良かったと、心底ホッとしてます。」


「んな!?お主、儂の心配しとらんではないか!?」


相変わらず賑やかな鬼娘だなぁ。


まあそれは置いといて、だ。


俺は、主を護るように防陣を組む3人と、それに護られる主――モンドールへと向き直る。


「大体理解出来たかな?俺はお前の口から男爵との繋がりを証言させる。で、その間にタマモが、物証を確保するってな計画だよ。いやぁ〜、上手く行って良かった良かった。」


俺は証拠品の数々が収められた魔法鞄(マジックバッグ)を、タマモから受け取る。


それを更に、無限収納(インベントリ)の中へと放り込む。

これで奪還は不可能だ。

たとえ蛇使い座の男が来ても渡しません!


「ぐくくぅ〜っ!!ゴンツォ!お前裏切ったのよね!!??」


モンドールの怒りの矛先は、俺達から人攫いの男、ゴンツォへと移る。


「そりゃあ、なぁ……心底の恐怖と命の危機に放り込まれりゃ、誰だってそうなるだろ。俺みたいなチンケな小物なんざ、特によぉ。〇〇〇(ピー)は失くしちまうしよぉ……」


うんうん、ですよねぇ。

お前マジで更生しなかったら、タダじゃおかねぇからな?


汚物は知らん!

自業自得だ!


「さて。いい加減幕引きといこう。ああ、念の為言っとくけど、逃げようったって無駄だかんな。屋敷の周囲は俺の結界で覆ってるし、脱出路も押さえてあるから。無駄な抵抗なんてしないで、大人しく捕まりなよ。」


まあ、ざっと【鑑定】したところ、特に脅威になりそうなのも居ないし。


この状況で、俺達3人で不覚を取ることなんか、万に一つも無い。


「お、おのれぇ〜!!お前達、何をボサっとしてるのよね!?アイツが首魁よね!アイツを押さえるのよね!!」


往生際悪く、俺を人質にしようと捲し立てるモンドール。


俺の背後では、タマモとウズメが反応し、身構える。


「残念だけど、そりゃ無理だな。」


俺は余裕の態度を崩さない。


何故なら。


「くっ!?う、動けない!?」


「な、なんなんだこれは!?」


「まるで枷を、嵌められているような……!」


うん。

既に結界で捕縛済みだから。


「はい、残念でした。大人しく捕まるか、痛い目見てから捕まるか、どっちがいい?」


俺はモンドールへと歩み寄っていく。


モンドールは尻餅をついて、部屋の壁へと後ずさって行く。


その背中が壁に着いた。


「時間切れだ。お前に苦しめられた女性や子供達の何万分の一だとしても、ちょっとは痛みを覚えとけ。」


結界で両腕、両脚を包み込み、そのまま結界の厚みを操作して、中身を圧迫。


「あ、あぎぎゃああああああああああああぁぁぁっっ!!!???」


グシャリと。


モンドールの四肢は結界によって圧壊し、そのまま泡を吹いて失神する。


「これで終わりだな。ウズメ、外に行ってドルチェ達を呼んできてくれ。後始末しなきゃだしな。それが終わったら、今日は帰ろう。」


そうして、ドルチェやその部下とも合流し、館の生き残りは全員拘束。


証拠品はギルド経由で王城へと持ち込まれることになった。


ダミーコアは下手に渡せないため、王様の物と繋いで証拠の映像を送っておいた。


これで王都の裁判で男爵一党がゴネても、ビシッと証拠として突き付けることができるだろう。


なんか王様の髪が更に薄くなってた気がしたけど、まあ気のせいだろう。


俺達はこうしてようやくひと段落を迎え、愛しの我が家にて暫しの休息を取るために、屋敷を後にしたのだった。




〜 ダンジョン都市【幸福の揺籃(ウィール・クレイドル)】 孤児院 〜



「マナカお兄ちゃん、もういっかいなの。」


「おう。ちゃんと掴まってろよー?」


結界で創ったゴンドラに毛布を敷き、その上にモーラを乗せる。


そして念動で大空へ。


「すごいの。高いの。」


勿論俺も飛んでついて行ってるから、保安はバッチリだ。


「モーラは空飛ぶの好きだなぁ。」


「うん。おそらはひろくて、おおきくて、マナカお兄ちゃんみたいなの。だいすきなの。」


おおう。

ストレートな愛情表現を、どうもありがとう。


「ちょっとモーラー!!アタシとも代わってよー!!」


「マナカ兄ちゃーん、俺も飛びたいー!!」


はは!

下でラッカとエリザが順番待ちしてるよ。


「だってさ、モーラ。次は、みんなで飛ぼうか?」


「うん。お兄ちゃんもお姉ちゃんも、弟も妹も、みんないっしょなの。」


よし、いい子だ。


俺は結界ゴンドラを伴って地上に降り、今度は子供達全員が乗れる大きさのゴンドラを創り出す。


「本当に、マナカさんに良く懐いていますね。仲が良くて、思わず嫉妬してしまいそうです。」


孤児院の寮母(マザー)、シスターマリーアンナことマリーが、そんなことを言ってくる。


「子供相手に妬かれてもなぁ。そうだ、マリーも飛んでみるか?」


「いいんですか?それじゃあ、お言葉に甘えて。」


「よし。ほらみんな、お母さんも乗るから、もっと詰めろよー。」


「「「「はーい!」」」」


みんな元気になってきたな。

マリーにも懐き言うことも良く聞いて、良い子にしているらしいし。


俺は大きめの結界ゴンドラを念動で動かし、空へと持ち上げる。


飛行魔法で傍らに寄り添いながら、偽物だけど、高い高い空へと、みんなと一緒に浮かび上がる。


「きゃー!!」


「たかーい!」


「こわーい!!」


「もっともっとー!!」


うん。

やっぱり子供は、元気いっぱいに遊んで、良く笑っていた方がいいな。


「どうだ、マリー?初めての空中遊泳のご感想は?」


「ええ、とっても綺麗です。此処が迷宮の中だということを、忘れてしまいそうになりますね。子供達も、こんなに喜んで……」


そりゃまあ、極限まで領域を拡げてあるからねぇ。


ただ街の上空を遊覧する程度なら、普通の空と大差ないだろう。


「いつか子供達を連れて、本物の空を飛んで、旅行にでも行こうかね?」


「それは素敵な提案ですね。私も期待して待っていますよ?」


「マナカお兄ちゃん、りょこうって、なんなの?」


「んー?色んな所に観光……出掛けて行って、そこの美味しい物を食べたり、珍しい物を観たりして遊ぶことだよ。みんながもうちょっと大きくなったら、一緒に行こうな?」


「うん!あたし、はやくおおきくなるの!」


「マナカ兄ちゃん、俺、海っての見てみたい!」


「アタシは【歌の都】って所に行ってみたいわ!マナカ兄さん、連れてってよ!」


ははは!

分かった分かった!


「ああ、約束するよ。みんながもっと元気になって、ちゃんと良い子にしてたら、連れてってあげるからな。」


空を漂いながら、あれが見たいだの、あっちに行きたいだのと大騒ぎしてしばらく遊んで、俺は孤児院の庭へとみんなを降ろした。


「それじゃ、また来るからな。お母さんの言うことを、ちゃんと聞くんだぞ?」


「「「「はーい!!」」」」


「また来てね、マナカ兄さん。」


「まってるの!」


俺は、メイリーンの家の雑貨屋で買い漁ったあれやこれやを、魔法鞄(マジックバッグ)に移して、マリーに渡す。


「色んな日用品とかが入ってるから、好きに使ってくれていいよ。それと、人を雇うのも好きに決めて良いからね。」


「はい。この子達が健やかに成長できるように、頑張りますね。」


うん、よろしく。


でも無理だけはしないようにね。

休みもちゃんと取ってくれよ?


「それじゃみんな、またなー!」


みんなの笑顔に見送られて、俺は孤児院を後にした。




〜 六合邸 リビング 〜



「という訳で、孤児達はみんな元気にしてたよ。他の保護してる人達はどうかな?」


俺は家に帰り、先程子供達と遊んで来たことを報告する。


ケイルーンの町での騒動が一応の決着を見せ、我が家での束の間の休息ってところだ。


「皆様、落ち着いて過ごされています。ですが心を病んでしまわれた女性達は、変わらずですね。」


「でもでも、冒険者のお姉ちゃん達やルージュさん達は、早く街で過ごしたいって言ってくれてたよー!」


アネモネとマナエが現状を教えてくれる。


心に傷を負った女性達に関しては、まあ時間を掛けて様子を見ていくしかないだろう。


ルージュ一家や冒険者達は、かなり前向きになってくれたみたいだな。

本当に良かったよ。


「それじゃあ、近い内に彼女達の引越しを手伝おうか。ああ、それとフリオール。アグネスの帰還についてだけど、そっちはどうかな?」


保護した貴族の娘、アグネスの問題も有ったんだよね。

穏便に事を済ませるために、フリオールにも頼み事をしてたんだった。


「問題無い。頼まれた物は用意したし、外に居るシュバルツにも連絡はしてある。近日中には返事が来る筈だ。」


なら大丈夫そうだな。


「フリオールはアグネスと話はしたのか?1人だけ身分が違うから、肩身の狭い思いとかしてないかな?」


施設に保護した女性の中で、貴族身分を持つのはアグネス1人だけだ。


気軽に話せる相手が居なくて、寂しいんじゃないだろうか?


「あー、それなんだがな。王族で、尚且つこの街の統括官でもある我が下手に介入すると、またややこしい事に成りかねんのだ。助力は惜しまぬ故、その辺りのことはマナカに頼みたい。今は、レティシアが話し相手になっている。」


俺でいいのか、それ?

まあ、フリオールが言うならそうなんだろうけど……


「さて、他には何か、確認する事はあるかな?」


みんなを見回す。


俺の方は、例の悪徳商人モンドールの件は既にみんなに共有しているし、子供達のことも先程伝えた。


郷に帰したメイリーンとラキアのことも一緒に話したから、特に伝え忘れたことは無い筈だ。


「ああ、そういえば……」


うん?

フリオール、まだなんかあったの?


「2つほど、マナカに伝えねばならん事が有ったな。」


2つも?

なんだろうな。


「1つは、父上からだ。言伝をそのまま伝えるぞ?『日々精力的に動いているようで何よりだ。遠からぬ内にお主の街に視察に参る故、承知置くように。尚、これは何処ぞの魔族が余の仕事を増やしたせいで苦労している余ら王族の療治も兼ねている故、お主に拒否権は無い!』だそうだ。」


……何言ってんだあの王様。


は?

来るの?

此処に?


しかもさり気に『余ら王族の』って言ってるってことは、家族で来んのかよ!?


「拒否権無しって……滅茶苦茶だなぁ。うーん……まあ、分かったよ。それじゃあいよいよ、捕虜収容施設の改築を急がないといけないな。それで、もうひとつは?」


俺への来客は、取り敢えずあそこに案内しておきたいからな。


まあそれは追々……そうだな、ルージュ一家や冒険者達の引越しに合わせてやるか。


「もうひとつなんだが…………コルソンが到着した。」


「…………………………は?」


ちょっと待てこら。

今なんて言ったんだよ?


「はぁ……いいか?我らの街に、コルソンが移住して来たと言ったのだ。」


え?


まじ?


「え、なんでですか。」


思わず真顔ですわ!

そして棒読みですわ!!


「なんでも、ウィール・クレイドルの新たな支部の支部長の座を、強引に捥ぎ取ったらしい。辞令を待たずに、細君と娘を抱えて1日で駆けて来たそうだ。『マナカきゅんに呼ばれた気がするのよん♡』と、言っていたぞ。」


呼んでねえええええええええええええ!!!!!


あ、でもドルチェとコリーちゃんの話はしたし、ゴンツォをとっちめるのにコリーちゃんと引き会わせようとか企んだりはしたな……


え、そのせいか!?

それを察知したってこと!?


漢女(おとめ)怖えええええ!!??


「……そ、そうか。んで、今はどうしてるんだ?」


しゃあない。

早い内に顔を出そう。


「今日のところは宿に泊まると言っていたな。明日1日掛けて、新居の選定と引越しをするそうだ。」


それじゃあ、引越し祝いでもしてやるか。


実際コリーちゃんが支部長になってくれるなら、心強いからな。


あと、ドルチェに勝手に情報漏らしたことも文句言いたいし。

いや、おかげで助かったけどさ?


「了解したよ。なんか……最後の最後で、どっと疲れたな……」


「マスター、まだアグネス様のお話し相手というお役目が残っていますよ?」


アカンです。

今日はなんだか、もう無理です。


「明日お邪魔するって、夕飯の時に伝えといてくれるか?今日はもう、ゆっくりしたい……」


こんな状態で会っても、アグネスに嫌な思いさせちゃうしね。


「お、お兄ちゃんが珍しく落ちてる……」


「まあ、気持ちは分からんでもないのじゃがのう。」


ふ。

そりゃあ、衝撃ニュース2連発ですもの。


流石の俺もゲンナリですわ。


「それはそうと、イチはどこ行ったんだ?朝から居なかったけど。」


「午前中は、また森へ間引きに行っていましたね。」


「午後は、『ダンジョンで特訓して来やす!』って言って出て言ったよー?」


まじかよ。

元気だな、あの戦闘狂め。


ていうか、お前居てくれないと、ガチで男俺だけなんだけど!?


うん、地味に肩身が狭いんです!!





全編通して100話まで、あと12話……


よくぞここまで辿り着いた!!


とかって、どなたか褒めてくれないものでしょうか?(笑)


あー、でもキャラ紹介や閑話を省くとまだまだですなぁ。


せめて閑話は、カウントしても良いですよね?


どうなんでしょうかね?


ポッキー食べたいです。


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