第五話 な、なんだこの妹力は……?
全話に引き続き、王城での晩餐会話です。
〜 王都ユーフェミア ブレスガイア城 王族居住区 迎賓室 〜
晩餐会は続く。
王族だけあって酒も高級品ばかりで、口当たりが良く飲みやすい物が多い。
明日二日酔いかもなぁ。
っていうか、俺アネモネに夕飯要らないって連絡してないよ!?
あー、どうしようどうしよう!? アネモネに怒られるぅ〜ッ!
また、あの凍えるような無表情で懇々とお説教されるよぉ〜ッ!
「何を一人芝居をしているのだ、マナカ?」
そんな俺の所に、弟のミケーネ王子を連れて姫さんがやって来る。
「おい、姫さん! 俺アネモネに何も言ってないよ!? どうしよう!? 城でご馳走になるなんて思ってもいなかったから、何も連絡してないよぉぉ!!」
き、恐怖のお説教が……!!
い、いやだ……! いやだ、いやだ!!
ピンヒールはもう嫌なんだああぁぁっ!!
「なんだ、そんなことか。それなら心配要らない。支度している間に、我がお前の仲間達には連絡しておいたからな。今日は城で饗す故、帰りは明日になる、と言っておいたぞ。」
ほんとに!? あ、ありがとう姫さん!!
た、助かったぁ……!
「ああ、そうそう。アネモネ殿から言伝だ。『毎度の事ながら、思い付きで急に行動する癖を何とかして下さい。マナエの教育にもよろしくありません。帰って来られましたら、しっかりとお話させていただきますからね』とのことだ。アネモネ殿の苦労が偲ばれるな。」
助かってない!? 結局お説教かよおぉぉッ!!??
はあ……
俺の人生……魔族生は、明日までかもしれないな……
うん、飲もう。
「さあ、そんなことより、我の自慢の弟のミケーネだ。仲良くしてやってくれ。」
「よ、よろしくお願いします……」
うんうん。幸先悪い俺で良ければ、話し相手になりますよ?
〜 ミケーネ王子の場合 〜
「改めてよろしくな、ミケーネ王子。緊張しなくていいから、気楽にお喋りしような。」
こういう内気そうな子にはこっちから歩み寄るのが一番だ。
伊達に前世で、近所のガキンチョ共のオモチャにされてたわけじゃないからな!
「は、はい! ミケーネ、です。姉上達からは、ミケって、呼ばれてます。」
うーん、まだ硬いな。
あ、そうだ。
俺は無限収納から、ある物を取り出す。
そして、半ば強引にだが、ミケーネの手を取り、それを渡す。
「こ、これは……?」
ミケーネは戸惑いながら、自分の手に置かれたそれを眺める。
「お近づきの印に、ってな。ミケーネくらいの歳なら、そういうの好きかなって思ってね。それは【ウルブズチョーカー】っていってな。惑わしの森の、フォレストウルフの上位種、【クリーピングウルフ】の牙を使って作ったチョーカーだよ。御守りにどうだ?」
はいこちら、魔物狩りで、フォレストウルフに混ざってたんだよね。
フォレストウルフの群れを操って獲物を陽動して誘導し、隙を見せたところに忍び寄って襲い掛かるのが得意なウルフ種の魔物だ。
フォレストウルフの体毛より深い緑色で、牙が真っ黒だから森林ではより見付け難い厄介なヤツなんだよ。
そいつの黒い牙で何か作れるかなーってダンジョンメニュー見てたらこれがリストアップされてたから、カッコよくてつい作っちゃったのさ。
「フォレストウルフの、上位種の牙……!」
手に持ち、翳すようにしてその漆黒の牙に魅入るミケーネ。
「気に入ったか?」
鑑賞の邪魔をしないように、そっと声を掛ける。
するとミケーネは。
「はい。真っ黒で力強くて、吸い込まれそうで、でもとても綺麗です!」
そうかそうか。可愛い顔してるけど、やっぱり男の子だな。
「貸しな。着けてやるよ。」
そう言ってチョーカーを受け取り、ミケーネの首に着けてやる。
うん、我ながら良いセンスだ。
そう思って。
「おお、凛々しくなったな! ミケーネの綺麗な白髪との対比でどっちも引き立って、良く似合ってるぞ!」
そう、心から褒めてやったのだが、何故かシュンとするミケーネ。
その指先は今俺が褒めた自身の白髪を弄っている。
「やっぱり、変……ですよね? 家族はみんな金色の髪なのに、僕だけ真っ白で……」
あー、こりゃやっぱ1人だけ白髪ってことで、過去に何か有ったな?
もしかしたら今もか?
それでこんなに内気な性格になったってことか。
でもな、ミケーネ。
「そうだなぁ。確かに、白髪ってのは珍しいが、別におかしいとかは思わないけどな。」
だから、教えてやる。傷付いた心を、労るように。
「良いこと教えてやるよ。俺が転生する前の世界ではな、この世界よりもずっと、医学が発展していたんだ。数え切れない程の医者や学者が、ずっと色んな研究をしててな? お前みたいに、両親と違う身体的特徴を持って産まれる子供のことも、研究されてたんだ。」
顔を上げ、俺をじっと見詰めるミケーネ。
その顔には、辛さや悲しさは勿論浮かんでいるが、同時に俺の話に興味を持ったことも伺えた。
「隔世遺伝って言ってな。両親の親、そのまた親のさらに親……遠いご先祖さまの特徴が、稀に産まれた子供に顕れるっていう現象のことなんだが、まあ簡単に言えば、先祖返りってヤツだな。」
「かくせい……いでん……」
ミケーネが呟いて反芻する。
ちゃんと理解できてるみたいだな。
「そう。だから何もおかしいことなんかじゃないんだ。寧ろお前のその白髪は、お前の父上や母上をこの世界に産んだ両親の、それを産んだそのまた上の両親の。遠い遠い、昔居たユーフェミア王国のご先祖さまの誰かと、同じ髪なんだよ。」
だからさ、ミケーネ。
「だから誇れ、ミケーネ。お前が白髪を持って産まれたってことは、お前が、お前の兄弟達が、お前の両親達が産まれるのに欠かせなかった人の証なんだ。偉大なご先祖さまと同じ髪なんだよ。」
そう締め括り、頭を撫でてやる。
「だからさ。そんなに綺麗な白髪なんだから、寧ろ胸を張って、そのチョーカーと一緒に見せびらかしてやれよ!」
そう言ってやると、恥ずかしいのか、頭を撫でる俺の手にそっとその小さな手を添えて、動きを停めてきた。
そして俺の手に隠れるようにして、その口元が、微かに笑みを浮かべていた。
〜 フリオール王女の場合 〜
「割愛します!」
「おいこら!!」
えー、だってさぁ。親睦を深めるったって、姫さんとは今更じゃん?
「我が来た途端に一気に気を緩めたな……! まったく、折角礼を言おうと思っていたというのに。」
お礼? 俺、なんかした?
「姫さんに礼を言われることなんて、心当たり無いなぁ。あ、あれか? マナエのお土産渡したことか?」
それなら連絡の時にマナエに直接言ってやれよ。
作ってくれたのはマナエなんだからさ。
「そうではない。いや、それも有るのだが、別件だ。迷宮でのこと、王国のこと、兄上のこと、我は何度もお前に助けられているのだぞ?」
いやいや姫さんよう。それこそ今更だよ?
「俺は何も大層なことはしちゃいないよ。あれは、全部姫さんが、国王様がしっかりと誇りを持って、真摯に事に向き合ったから成し得たことなんだから。俺は、ちょこっと手伝っただけだよ。」
実際そうなんだよな。
俺は裏から、ちょこちょこ引っ掻き回して改竄してお膳立てして、手伝っただけ。
最終的に事を成したのは姫さん達だ。
「まあ、マナカならそう言うとも思っていたさ。それとは別に、まだ礼を言いたいことが有るのだが、聞いてくれるか?」
あん? なんだよ汐らしくなっちゃって。
「心当たりは無いけどなー。言いたいなら聞きますよ?」
姫さんのグラスにワインを注いでやる。
姫さんは、俺のグラスに注ぎ返しながら、口を開く。
「礼を言いたいのは、弟達のことだ。ユリウスにミケーネ。先程マナカと話してから、何か吹っ切れたような、清々しい顔をしていたように感じたのだ。」
えー?
まあ、ミケーネに関しては励ましてはやったけど、ユリウスぅ?
俺アイツのこと弄った挙句、根性叩き直してやるって言ったんだけどなぁ。
アイツ……Mなのか……!?
「ユリウスは、昔は素直だったんだ。『俺も姉上や兄上のような強くて立派な大人になる!』と、いつも言っていてな。だから剣の訓練も、魔法の練習も、座学も、張り切って行っていたんだ。」
そこで一旦切り、ワインをひと口飲み、口を湿らせて、また続ける。
「それが学園に入ってから、学業に身が入らなくなり、何処の馬の骨とも分からん輩共と付き合うようになり、街に繰り出しては粗相をしていると聞く。幸い今のところは大事には至っていないが、我だけでなく父上や母上もいつも頭を抱えていたのだ。」
は、はあー? そんなこと?!
「む。なんだその呆れたような顔は?! 実際何度も諌めたのだぞ? 王族としての自覚と責任を持て、王国の名に泥を塗るな、とな。だが益々意固地になったのか、一向に聞く耳を持たなかったのだ……!」
いや、まあ……なんていうか……
「しょうもなっ!」
うん、これに尽きるな。
「な、なんだと!? 我がどれだけ、王家のために、王国のために心を尽くしてきたと思っているのだ?!」
はぁ……! やれやれだぜ、姫さんよ。
「なあ、それって、誰のためにやったんだ?」
問い掛ける。
姫さんの間違いを、正すように。
「誰って……王家の誇りのために――――」
「そんなもんはどうでも良いんだよ。」
遮り、被せる。
これは姫さんのためにも、キチンと言ってやらねば。
姫さんは言葉を遮られて、ポカンとしている。
「なあ、姫さん。姫さんは、一度でも良いから、ユリウスと本音で語り合ったか? 王家の一員ではなく、ただの姉と弟として話をしたか? ユリウス第3王子とではなく、ただありのままのユリウス個人と、声を交わしたか?」
俺の言葉にハッとする姫さん。
まったく、厳格な家庭も良し悪しだな。なまじ上が優秀だから余計に拗れるんだよ。
「アイツは、才気溢れる兄や姉達に劣等感を覚えていたんだよ。学園に入って、散々比べられたんだろうさ。『ウィリアム殿下は凄かった。セイロン殿下も飛び級までしたのに……』ってな。そこに更に社交界からエスケープして、華々しく軍功を挙げた姫将軍からのお小言だぞ? 誰だって嫌になるだろ、そんなもんよ。」
おいおい落ち込むなよ。言ってる俺も良い気分じゃないんだからさ。
「アイツは、ユリウスはな? 根は凄く素直なんだよ。だから比較する言葉に、自分を出来損ないだと思い込んだ。兄や姉に比べて、自分は劣っていると諦めた。だからさっき言ってやったんだよ。お前はどう成りたいんだって。王家とか国とか脇に退けて、兄貴や姉貴は放って置いて、ただのユリウスとしてどんな男になりたいんだ、ってさ。」
姫さんは俯いたまま話を聞いている。
そんな俯く姫さんに、俺はつい抗い難い衝動に駆られ……
「――――あいたっ!? な、何をするのだッ!!??」
デコピンかましてやったぜ。
「聞けよ姫さん。アイツ、俺に何て言ったと思う? 『強い男に成りたい。兄上や姉上よりも、強く成りたい』ってな。姫さんと同じ、真っ直ぐな目で、ハッキリ言ったんだぜ? だから俺は言ってやったのよ。辺境伯のおっさんを軽く捻れるようにしてやるってな!」
きっと鏡を見たら、意地の悪い顔をしているんだろうな。
そんな俺に、姫さんはおデコを擦りながら。
「そ、それはまた、大きく出たな。生半な事ではないぞ? あの【軍神】であるおじ様と渡り合うなど……」
まあ、そりゃそうだろうな。あの人ホント半端ないもん。
姫さんも、想像も付かないって顔してるな。
「でだ。それを請け負う代わりに、条件を二つ出したんだけど、それは姫さんが自分で聞いてみな。今度は間違えないようにな。」
ビシッと、指を突き付けてやる。
気合いを入れろよ、姫将軍なお姉ちゃん? うかうかしてると、あっという間に抜かれちまうぞ?
「そう……だな。やってみよう。ただのフリオールとして、ただのユリウスに、今度聞いてみるとしよう。」
よし。良い顔になったな。
俺は背中を押すように、波々とワインを注いでやった。
「あ、こら! そんなに入れるなバカもの!! ……まったく、お前はいつもそうやって我を揶揄うのだな。いい迷惑だまったく。それで? ユリウスは解ったが、ならばミケは……ミケーネはどうだったのだ? あの子も何か、悩みを持っていたのだろう?」
ミケーネはねぇ。
あの子は、自分じゃどうしようも無い問題だったからなぁ。
そう思いつつも、ミケーネの悩みや、それについてのあれこれを説明してやる。
髪色の違いを思い悩んでいること。
家族の中で疎外感を味わっていること。
それは隔世遺伝で、何もおかしな事ではないこと。
それを受けて、姫さんは。
「なるほど、先祖返りとはな……確かにあの子が、髪色のことで兄達に虐げられたり、周囲から心無い言葉を浴びせられていたのは知っているが。しかし、我はちゃんと護ってきたのだぞ? 背に庇い、相手を叱責して。そしてミケにも、髪色など気にするなと、姉である我が護ってやると、再三真摯に伝えてきたつもりなのだが……」
そこでもかよ、姫さん……!
いや、これは家族全員に言えることか。
「あのなぁ。物心付いた男の子が、いつも女に護られててどう思うよ? しかもそれが、自分と違う金髪のお前だぞ? そりゃ素直に喜べやしないって。だから姫さんは、姫さんの家族は、先ずはあの子に誇りを与えてやらないと。
隔世遺伝のことを家族にも教えてやれ。それが誇り高いことだって、あの子を褒めて、認めて、背中を押してやれよ。あの子だって姫さんの弟なんだから、きっと前を向ける。護ってやるだけじゃ、あの子いつか、どうしようもなく歪んじまうぞ?」
それこそが懸念だ。
幼い頃の鬱屈した感情は、容易に人に道を踏み外させる。
そんなニュースは、前世ではしょっちゅうあったのだから。
「……分かった。忠告、有難くいただこう。やはり、礼を言わねばならんな。ありがとう、マナカ。」
お、おう。なんか、酒のせいかやけに素直でドキッとしたわ。
「あと、姫さんには教えとく。ミケーネに渡したチョーカーなんだが、あれには特殊な効果があってな?――――」
酒を酌み交わし、時に語り合い、時に言い合い。
姫さんとの話は、楽しかったよ。
〜 マーガレット王女の場合 〜
「やっとわたくしの番ですのね! 待ちくたびれましたわ!」
開口一番、元気一杯に。目をキラキラさせて、俺の隣の席に座るマーガレット王女。
「悪い悪い。姫さんと思いの外話し込んじまってな。それで、マーガレット王女?」
「マーガレットで構いませんわ。」
あらそう? んじゃ、遠慮なく。
「マーガレットは、俺に色々聞きたいことがあるらしいけど。どんなことだ?」
単刀直入にいこう。
そんで、終わったら俺のダンジョンに連れて行こう。
これで可愛い妹が増えるぜぇ……!
はっ!? お、俺は今何を考えていたんだっ!?
「全部ですわ!」
……はい?
「マーガレットや。ワシはだいぶ耳が遠くなってのう。もう一度言ってもらえんかのう?」
「全部ですわ!」
うわぁ。曇り無き眼をキラキラと……!
全部ったって長いし、中にはRー15推奨な描写もあるし……
「分かったよ。でも全部だと長いからな。今回は、俺が転生して来た辺りまでにしような?」
無意識に俺の手は、マーガレットの頭を撫でていた。
くっ!? なんて恐るべき妹力だ!!
マーガレットの顔を見ると、話が短いのは不満そうだが、聞けるのは嬉しい、といったところか。
「それじゃ先ずは、俺が転生するきっかけになった出来事なんだが――――」
そうして俺は、前の世界で死ぬことになったこと。
女神様に会ってこの世界に導いてもらったこと。
アネモネと出会いダンジョンコアと契約を結んだこと。
その際うっかり名付けをしてしまい、緊急事態に陥ったこと。
そして半身と書いて妹と読むマナエと出会ったこと。
その辺りまで話してやった。
「――――とまあ、こんなもんかな? どうだ? 面白かったか?」
正直俺としては、やらかしたり死にかけたり、散々な目に遭ってばかりな話だから、聞いていて退屈じゃなかっただろうか?
「素晴らしいですわ! わたくしとしては、女神様が幼女のお姿だったことと、その女神様と、仲睦まじくお酒を飲み交わしたということに驚きましたわ!」
あー、そりゃそうだろうねぇ。
「まあ、普通は神様と酒盛りなんてしないわな。あれ? 今思うと俺、とんでもないことしてた……?」
だ、大丈夫なんだろうか……?
後から、天罰だーッ!! とか、やられないだろうか?
「とんでもないことですわ! ねえねえ、もっとお話を聞かせて欲しいですわ!」
ははは! このぉ〜可愛いヤツめ!
「ダーメ。今日はここまでって言ったろ? また今度会った時に、続きは聞かせてやるよ。だから、おしまい!」
またもやいつの間にか頭を撫でていた。
くっ、ダメだ! この子の妹力に抗えない!?
「それと、俺からもひとつ。これからは気軽に、兄として接してくれて良いからな! よろしくな、マーガレット。」
おっと。
つい絶大な妹力に圧倒されて、本音と欲望と願望が口を衝いて出てしまった。
「むぅ。仕方ありませんわね。今日のところはこの辺りで勘弁して差し上げますわ。また近い内にお聞かせくださいませね? 義兄上さま?」
うん?
お兄様とは素敵な呼び方をしてくれるものだが、何か違和感が?
「なあ、なんか今、ニュアンスが違わなかったか?」
訊ねてみるが、マーガレットは悪戯っぽい笑顔を浮かべるばかり。
「そんなことはございませんわ。それと、わたくしのことはこれからは、気軽にマギーと呼んで欲しいですわ。よろしくお願いしますね、義兄上さま?」
「あ、ああ。よろしくな、マギー。」
年齢の割にとても美しい笑みを見せるマーガレット……マギーだが、俺の返事を聞くと、元居た自分の席へと戻って行ったのだ。
「うむ。マナカよ、余の家族とも打ち解けたようで、何よりだ。さあ、残りの時間も是非楽しんでくれ。」
王様もニコニコして王妃様とお喋りしているし、後はお気楽にってことね。
こうしてこの日の晩餐会は、俺と王家の面々と、お互いの親睦を深め成功という形で幕を降ろした。
これは余談だが、晩餐の始めから早々、壁の花と化していたアザミさんは。
「このマフィンも美味しいですね。こちらのフルーツタルトも絶品です。特にカスタードの甘さが絶妙ですね。是非レシピを頂戴して、マナエに渡さなければ!」
晩餐に出されたスイーツの全種制覇を3周し、尚且つ、気になった種類を再度出してもらって、堪能していた。
妹様「はっ!この気配は!?」
シュ「どうしたのじゃ、マナエ?」
妹様「うーん、よく分からないけど、嫌な感じの気配をかんじたの」
シュ「なんじゃと?して、それはどんな気配だったのじゃ?」
妹様「分かんないよぉ。でも強いて言うなら、『お兄ちゃんを巡る第2の妹が顕れた気配』かな……?」
シュ「どんな気配じゃ。マナエよ、変なところばかり主様に似てきておるぞ……」
アネ「なんですって!?それはいけません!!まったくマスターは……帰ってきたらお説教倍増ですね……」
シュ「あー…………主様、すまぬ……」
〜 ブレスガイア城 〜
真日「――――!?な、なんだ今の悪寒は!?」




