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第一話 シム〇ティとかよくやったなぁ。

今話より、第三章スタートです。


そして遂にやってきたほのぼのの時間!


そうです。

この作品は、ほのぼのなのです!


いつもお読み下さり、ありがとうございます。


m(*_ _)m


〜 ダンジョン 六合邸 リビング 〜



「だーかーらっ! もうちょい真面目に考えてくれよおっ!?」


 本日何度目かの、絶叫にも似た懇願。


 俺の眼前にはお馴染み六合邸の面々。


 現在、俺達はとある課題に直面している。


「いやマジでさぁ。こんだけ騒いどいて未だにダンジョンの名前が決まってないとか、王国の連中に格好が付かないんだってば! もう移民計画の実行も間近なんだし……」


 そう。名前である。


 この度晴れて公の存在となった我がダンジョンだが、迷宮都市など国が把握、管理しているダンジョンには、全てに名前が付けられているのだ。


 俺の場合は、言わば同盟という形であるため他とは毛色は違って来るのだが、公文書にも記されるため形式上の呼称を定めて欲しい、と王国から要請があったのだ。


 ちなみに、今のところは名前の欄を空白にして待ってくれている状態だ。

 それに関しては姫さんが迷宮が産まれて間も無いことや、マスターである俺の療養を理由にして、引き延ばしてくれていたらしい。


 姫さんありがとうございます! もう足を向けて寝ません!


「じゃから儂らも何度も言っておるじゃろう? 主様のダンジョンなのだから好きにせよ、と。それが嫌ならマナエの案にすれば良かろうに。」


 シュラさんそんなご無体なぁ〜。それが思い浮かばないからこうして頼んでるのにぃ〜っ!


 それに、マナエの案は、ちょっと……


「あ! お兄ちゃんまた思い付いたよ! その名も【わくわく♪ マナカランド】!! どう? これなら来る人も何があるんだろうって期待が高まっていいんじゃない?!」


 これである。


 うん、テーマパークじゃないんだからね?

 あと俺の名前を入れるのは勘弁して欲しいな〜って。


 マナエはこの話題になってから、こうして次々と名前を考案してくれている。


 一部抜粋。


 【戦慄! 罠迷宮!!】

 特番か!! あとコンセプトバラさないで!?


 【フォレストリゾート・ニューマナカ】

 スパか! スパリゾートなのか!? 卓球台とか岩盤浴とか置けばいいの!? 入湯税は一律お幾らですかっ!?


 【ドリームジャンボ大迷宮】

 宝くじか!! 何なの! 1等だと何が当たるのっ!? ていうか何の1等なの!!??


 などなど。


 ごめんよマナエ。お兄ちゃん、こんな名前のダンジョンに住む勇気無いよ……!


 そんなこんなで事態は暗礁に乗り上げたまま、ずっと抜けられずにいるのです。


 ちなみに、既存の迷宮の名前がこんな感じ。

 【死王の墳墓】とか、【強欲の墓穴(はかあな)】とか、【災厄の箱庭】とか【混沌の回廊】とか……


 なんか、貫禄が有るというか、印象が強いというか。


「マスター。しかし現状最もこの迷宮を言い表せているのは、先程マナエが挙げた【戦慄! 罠迷宮!!】ではないでしょうか?」


 いやまあそうだけども! でもそれだとなんか報道機関が(こぞ)って来そうなんだよ! なんか深夜の特番で2枠くらい取っちゃいそうなんだよ!

 俺の迷宮に視聴率を期待しないでくださいッ!?


「でもさあ、わざわざ『ウチの売りは罠です!』って名前で宣伝するのもどうかと思うんだよ……」


 やめてくれよう。そうやって、さっさと決めなさい愚図! みたいな雰囲気を醸し出さないでよう。


「マナカ様。ここは、フリオール殿下に知恵をお借りしては如何でしょうか? 彼女ならこの世界の迷宮の情報も持っているでしょうし、一時とはいえ、此処で共に生活したのです。何かしら突破口を開いて下さるかもしれません。」


 それだ! アザミナイス!!


 俺は早速、安置してあるダンジョンコアを操作し、姫さんに渡したダミーコアへとパスを繋ぐ。


「おーい、姫さん! 今暇かー?」


 繋がったそばから声を掛ける。携帯電話みたいに着信音が流れたりする訳じゃないからね。


『ま、マナカ!!?? 待て! い、今はダメだ!! 直ぐにこちらから連絡する故、待っていてくれッ!!』


 返ってきた声は、何やら酷く慌てているご様子。


「ん? なんだよ、誰かと話でもしてたのか? あー、それとも、トイレの最中とか?」


 わははは、と冗談を返す。


 まさかねえ? トイレの中までダミーコア持ってくわけないよなぁ。


『ば…………バカものおおおおおぉぉぉっ!!!!』


 あ、切られた。

 急に大声出すなよー。びっくりしたなぁ。


「マスター……」


「お兄ちゃん……」


「マナカ様……」


「主様よ……」


 ん? なんだよお前ら?

 なんでそんな、とても残念な物を観るような目で俺を見てるの?


「え、なにその反応? ……え? 待って? もしかして……俺、やっちゃった……?」


 一斉に頷かれてしまいました。


 マジで!? そんなことある!!??


「うっわー……どうしよ……え、どうする? 謝った方が良いよね?」


 とりあえず一番気安いシュラに助けを求める。


「知らぬわ。まったく、でりかしぃの無い……己の失態は己で挽回せい!」


 ああん! 取り付く島も無いよう……!


 マナエ! お前はお兄ちゃんの味方だよな?!


「お兄ちゃん、あれはあたしもどうかと思うの。フリオールお姉ちゃん、きっとすっごい恥ずかしがってるよ?」


 The! 真顔!!

 マナエさんがアネモネさんのような無表情になっちゃってる!?


 くっ! 助けてくれ!

 さっきみたいに鋭い助言を頼む、アザミ!!


「マナカ様、アザミでしたらあのような冗談も一向に構いませんが、それを王女殿下にまで求めるのは如何なものかと……一般の女性からは普通失望されるかと思います。」


 救いが無いっ!!??

 そうですよね! 自分でも無いなって思うもん!!


 アネモネ! 最早お前だけが頼りなんだ!!


「マスター。貴方はもう少し、女性の心の機微というものを学ぶべきです。他者に気を遣われるのも結構ですが、それよりも身近に、貴方に泣かされた者が大勢居ることを忘れないで下さいませ。」


 ぐうの音も出ねぇ……!

 アネモネの正論の刃が俺の心をズタズタに切り裂いていく。


 はい。誠心誠意謝らせていただきます。

 今から土下座待機します。


 そしてタイミングが良いのか悪いのか、姫さんからの折り返しの通信が届く。


『あー、す、済まない。待たせたな、マナカ。』


 だいぶぎこちないな。やっぱり俺の冗談は的を得てしまっていたらしい。


「姫さん! 済まなかった! 配慮に欠ける事を言って、申し訳ない!」


 見えていないのは分かっているが、土下座をして謝る。


『あ、ああ。気にしないでくれ。我は気にしていないからもうそのことは――――』


「いいや! 俺の考えが甘かったんだ! まさか姫さんが、ダミーコアを肌身離さずにトイレにまで持ち込んでいるとは思わずに、気軽に連絡したのがそもそも間違っているんだ!」


 怒涛の如く謝罪する。

 社会人にとって、謝罪とは言わば最後の手段だ。何が悪くて、何が原因で、そしてどのように是正、対策するかを(つまび)らかにしなければ、先方に誠意は伝わらない!!


『い、いや……我も不注意だったと思っているから……だ、だからもうやめ――――』


「迂闊だったよ! 姫さんが真面目で責任感の強い人だと知っていたのに、俺は、トイレにまで持ち込む可能性を考慮できなかったんぐぼげあっ!!??」


 ――――な、何が起こった!?

 なぜ!? 何故俺は仲間たちに吹っ飛ばされているんだっ??!!


「この、戯けが!! そういうところじゃこの愚鈍めがッ!!」


「マナカ様、流石のアザミもドン引きです……!」


「お兄ちゃん! 正座だよ!!」


 ええぇぇっ!!?? 社会のルールに則って、ちゃんと謝ってるのにぃ!?


「フリオール殿下。主が大変失礼いたしました。この女心の欠片すらも理解できない主は、我等がしっかりと教育致しますので、平に御容赦を……」


 アネモネさん!? ちょ、なんで靴脱いでるの!?


 ちょっと待って、その構えは怖いよ?! そのまま振り下ろしたらそのピンヒール刺さっちゃうよね!?


『あ、ああ、分かった。それよりも、物凄く鈍い音がしたが、マナカは生きているのか……?』


 いや、姫さん助けてくれ!!


 あ、ちょ!! マナエさん、ハンマーはらめえええぇぇぇ!!??


「問題ありません、フリオール殿下。少々教育的指導に熱が入っているだけですので。」


 いやちょっと!? これのどこが少々なんですかあぁぁ!?


 あ、待ってシュラさん!? ちょっと今アザミの尻尾に捕まってて防御出来ないから殴らないでええええぇぇえぶしぐぼあっ!!??




閑話休題(鉄拳制裁)




『ふむ、迷宮の名前か。そういえば、まだ決まっていなかったな。』


 15分に及ぶお説教(物理)の末、ようやく本題に入れました。


「そうなんだよ……なかなかコレ! って言うのが浮かばなくてさぁ……なんか良い名前無いかな?」


 少しばかり姫さんの唸る声が聴こえるが、それが止まり、咳払いに変わった。


『そうだな。【惑わしの揺籃(ゆりかご)】という名はどうだ? 惑わしの森の、新たな生を育む場所という意味を込めてみたのだが……』


 【惑わしの揺籃】か…………


「素敵な名前だと思います、マスター。」


「うん! とってもいい名前だよ!」


「優しい気持ちになりますね。」


「言い得て妙じゃのう。良いのではないか、主様よ?」


 4人も気に入ったみたいで、口々に賞賛の言葉を挙げる。


『い、いや、ただの思い付きだぞ? マナカなら、考えればより良い名などすぐに思い付くだろう?』


 またまた〜。謙遜すんなよ、姫さん。


 うん、でも悪い! 俺も気に入っちゃったんだわ!


「よし! 今日から俺達のダンジョンは、【惑わしの揺籃】だ!」


 いえ〜いッ!


 みんなが拍手して喜ぶ。今夜はお祝いだな!!


『ええ〜……本当にそれにするのか……?』


 ただ一人、姫さんの困惑した声だけが、リビングに溶けていった。




〜 ダンジョン【惑わしの揺籃】 最深部 〜



 さてと! ダンジョンの名前も決まって、まさに意気軒昂!


 そのままの勢いで、王国に提供する階層の整備に訪れた。


 ダンジョンコアよりも奥に位置するこの階層は、一応階段で繋がってはいるが、中に人が居る状態では、常に隔壁が降ろされ、閉じ込める形になる。

 つまり、住人が居る限り、ダンジョンのボスを突破しても入れないってわけ。


 出入りの手段は、当初の予定通り砦に設置する転移罠のみ。

 そこで砦の兵士に交代で目を光らせて貰えば、怪しい輩の侵入も防げますって算段だ。


「とりあえず、拡げられるだけ拡げてみたけど……無茶苦茶広くないか、これ?」


 どのくらいの規模の移民が来るかは未だ不明だが、後のことも考えて、階層領域を最大にしてみたら……うん、これ端から端まで何日掛かるんだろう……?


「良いのではないですか? 今はまだ草のみの平地ですが、資源となる物を色々と設置するのでしょう?」


 アドバイザーとしてついて来てくれたアネモネが言う。


 まあ、それもそうだな。


「街は階層の中心で良いよな? それから必要なのは……水資源に湖と川と、鉱物資源が取れる山と森林、畑が作れる農耕地に、家畜を飼育する牧草地も欲しいな。」


 あ、気候も調整しないとな。

 1日は外と同じ時間で、季節はどうしようか? まあ、それは追々でいいか。


「それから、街の方は……責任者に住んでもらう館と、街全体に行き渡る水源装置を造って、そこを中心に上下水道を走らせて、と。大通りを十字に敷いてメインストリートにして……通りの素材は石材の方が良いかな? 浄水設備は地下に造って川に流す……と。」


 ダンジョンメニューをポチポチ操作する。

 うん、目の前で石畳やら館やらがニョキニョキ生えてくるのはとても異様な光景だね。


「マスター、公営の入浴施設も造った方が良いと思います。衛生観念を行き届かせれば、病の発生も予防できます。それと、目的毎に区画分けをされては如何ですか? 汎用性の高い施設や設備は中心付近に。そこから放射状に各専門区画を用意すれば、住人の動線もスムーズになるかと。」


 なるほどね。学業区とか、工業区みたいな感じか。


 上から見ると蜘蛛の巣のように通りを張り巡らせて、生活しやすいように施設を配置していく。


 中心の行政府の近辺に、まとめて学府や医療機関などの、公共施設を配置。

 それを囲むように飲食店、宿場、商店を配置して基本はこれで良いな。


 あとは、北に山などの鉱山・森林エリアを、西に牧草地などの畜産エリアを。南に田畑を敷き農耕エリアとし、北東の山間に巨大な湖を湧かせて、東に川を流す。


 これで東西南北に、それぞれに特化した施設を配置してやれば専門区画は良さそうだな。


 折角だから住居も、景観のコンセプトとして予め造っておくか。

 最初の移民の分くらいは余裕で賄えるだろう。


 イメージは、そうだなぁ……ドイツの、ローテンブルクなんかが良さそうだ。一度女の子と行ってみたかったんだよねぇ。……行けなかったけど!


 三角屋根の可愛いメルヘンチックな建物が建っていく。

 あくまで外観を整えただけで、内装はかなり近代的だったりするけど。

 移民のみんな、使いこなせるだろうか……?


 あ、これは俺の拘りとしてだけど、東西南北にそれぞれひとつずつ、公園を配置した。住民の憩いの場や遊び場になれば良いし、緑の少ない街は雑多感が増す気がするんだよね。


 ちなみに、北の公園は西洋風、西は運動公園みたいにして、南は花で溢れた植物園的な感じにし、最後に東は日本庭園にしちゃった。

 後悔はしていない。


 さて、だんだんとDP(ダンジョンポイント)が心許なくなってきたかな?

 暇を見ては魔物を引き込んで稼いでいるけど、使えば無くなるからね。


 これで住民が多く確保出来れば今後は心配要らなくなるから、もうひと踏ん張りってとこか。


「なかなか街らしくなってきたかな? どうかな、アネモネ?」


 一区切りつけ、アネモネに感想を訊ねてみる。女性の目から見た意見も、参考にしたいしね。


「素敵な景観の街だと思います。今から、住民達の笑顔が目に浮かぶようです。」


 お世辞……というわけでもなさそうだね。そう言ってもらえて嬉しいよ。


 さて。とりあえず今日はここら辺にして、最後に転移施設を設置して終わろうか。


「そういえば、マスター。ダンジョンの名前が決まったのは良いとして、この街の名前はどうするのですか?」


 ん? ナンダッテ?


 街の名前…………?


 か、考えてなかったああああああぁぁぁ!!!???

 姫さんヘルプミーっ!!!




妹様「マナカシティ」


シュ「桃源郷」


アザ「修羅の國」


アネ「機動要塞都市メトロポリス」


真日「真剣に考える気ないよねぇ!!??」


妹様「黄金都市バビロニア」


シュ「享楽の街シカゴ」


アザ「迷宮都市ラビリントス」


アネ「伝説の都アトランティス」


真日「版権が!世界の圧力が!!??姫さん助けてえええぇぇ!?」


フリ『幸福の揺籃(ウィール・クレイドル)でどうだ?』


一同「「「「「それだ!!!」」」」」



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― 新着の感想 ―
[良い点] >この作品は、ほのぼのなのです! オイッ!(※突っ込まないといけない気がした
[一言] ほのぼの....?
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