閑話 世界の狭間より親しみと少しの悪意を込めて。
宣言通り閑話を挟みますねー。
短いですが。
m(*_ _)m
カランッと、グラスの中で溶けた氷が崩れ落ちる。
汗をかいたグラスを適当におしぼりで拭きながら、ちびちびロックの梅酒を飲む。
「なんでだろうー。美味しくないなぁー。」
神様の力で味も色も完璧に再現されたお酒。
なのに何故か無味乾燥。
いつか彼が座っていたカウンターの角の席で、彼の真似をしておしぼりをコースター代わりに使う。
ああ、そうだ彼だ。転生先の世界で、上手くやれているかなー?
彼が行った世界って、結構カオスになってて大変だと思うけど。
テレビの電源を入れる。
神様パワーで彼の転生した世界へチャンネルを合わせる。
「彼の魂の気配は〜っと、あったあった♪ よし!」
ポチッとな――――
私の眼に飛び込んで来たのは、アップに映る彼の顔と。
眉間に突き刺さったピンヒール。
「えっ、真日さんもう死ん――――」
『あぎゃああああああ〜〜っ!!!!????』
逆になんで今ので生きてるの?!
あっ! これあれだー。
私が悪ふざけでアネモネちゃんに付けた【真日さんお仕置機能】という名の瀕死で留まる暴力装置だー。
うん、見覚えのあるピンヒールだと思ったよー。
うわぁ凄ーい。あんなにのたうち回って……
あ、ちょっと! ハイボール、早く作ってよ! 今いい所なんだから!
そうだよ、カットレモンも入れるのー!
もう、バーテンホムンクルスのクセにちゃんとしたハイボールも作れないなんて……!
『いや、⑤と⑥うぅぅぅーーーーーーーーー!!!!!!!』
「ぶははっ! 今のは【神の見えざるお手♪ 機能】だねえ! 見事なツッコミだよぉ素敵だよぉ真日さんー♪」
いいなぁー。
真日さん凄く楽しそう……うわっ、目潰し痛そー♪
ねえ! グラスが空だよー!?
何を飲むかって? ハイボールおかわりだよー!
注文くらいサッと思考読みなさいよー。
あ、なになに?! え、真日さん何やってんの?? なにダンジョンコアに名付けしてんのー?
え、どーすんのこれー?
あ? なんか干渉してるー?
え、うそうそっ、これ創造神様の救済だぁ??!!
うーわー。真日さんマジパネェっすー。
あ、今度は梅酒サワーでー。
「おー! 初戦闘だねー♪ 争いが嫌いって言ってた割には動けてるねー。と言うか意外と好戦的ー?」
あー、身体に引っ張られてるかもねーこれ。
うわっ、えげつな……! 耳引っ張って膝って……うわー。
あ、そろそろ焼酎にしようかなー?
そうそれ、壱岐の水割り濃いめだからねー。
『きぃぃやああぁぁぁぁぁぁっ!!!??? おまわりさん俺じゃないですうううぅぅぅぅっ!!??』
「あっはははー♪ いやいやー♪ この人ですよーお巡りさーん♪」
あーもう、お腹いたーい♪ 真日さん楽しい〜♪
あ、遂に魔物造るんだね〜。
……あ? え、ちょっと待って?
なんか概念越えてないこれ?
うわー。これ魔物創造じゃなくてもう生命造っちゃってるけど。
大丈夫かなぁー?
……まあいいやー! 私何も見てなーい♪
おおう、真日さんえげつない……!
ちょっとこれは神様である私もドン引きだよー?
罠に引き込んで大量虐殺とか……しかも何気にリアルタイムで罠の配置変えてるよね?
うわなに今のコンボ?!
ちょっとー!
次はワインー! 赤のー!
あー! また女の子泣かしてるー♪ 真日さんいけないんだぁー。
しかもこの子王女様なんだぁー。
……楽しんでるなぁー、真日さん。
ここからが難しそうだけどねー。
アネモネちゃんとも仲良くやれてるみたいだしー。
一応勝手に種族決めちゃったことのお詫びで造ったんだけどー。
アネモネちゃんもだいぶ人らしくなってきたねー。
いいなぁ。楽しそうだなぁ。
あー、今はここまでかぁー。
まだほろ酔いくらいなのになー。
まあいっかー♪ また今度飲む時に観よーっと♪
今はその世界を楽しんでねー♪
真日さんが楽しんでくれたらー、私も嬉しいんだからねー♪
それにアネモネちゃんに仕込んだお助け機能はまだまだあるんだからねー♪
楽しみにしててねー、真日さーん♪
真日「?!……なんか今、背筋に嫌なものが走った気が……?」
王女「なんだ貴様?風邪でもひいたか?魔族のくせに軟弱な男だな」
真日「いや、これは……なんと言うか形容し難い悪意を感じる……」
王女「なんだそれは?意味が分からんぞ?」
真日「具体的には、俺の身体並びに精神に重大な損害を与えてきそうな悪意を感じる……」
王女「ますます分からん」