表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
163/225

第二話 そりゃあ、そう簡単にはいかないよね。

昨日は更新できず、申し訳ございません。


寄せられた感想に、どうしても看過できない物があり、感情的になってしまっていました。


全ての感想は、貴重なご意見としていつも有り難く読ませていただいていましたが、創作をする作者すべてを否定するかのような文言に耐えられず、ムキになってしまっていました。


この場をお借りして謝罪いたします。


また、該当の感想につきましては、他の拙作を楽しんで下さっている読者様のご気分を害しかねないため、誠に勝手ですが、削除させていただきます。


ご理解をお願いいたします。


これからも、どうか拙作にお付き合いくださいませ。


〜 ノクトフェルム連邦 【神樹の森】入口 〜



「止まれ!! 貴様等、一体何者だ!? 森に何の用か!?」


 殺気立って弓を構えるエルフの兵士達。

 その鏃の先端は、俺の眉間や心臓など、どれも一撃で致命傷を与えられる箇所へと向けられている。

 いやいや、何で俺ばっかり狙ってるのッ!?


 現在()()()は、ノクトフェルム連邦のエルフ達が守護する広大な森林地帯、【神樹の森】に踏み入る許可を得るために、国境線というか森林地帯との境界線に位置する砦へと、先駆けとして訪れていた。


「我々は、神皇国ドロメオより諸君らの同胞を保護し、帰国させるために来た者だ! 森への立入りの許可を願う! 代表は、国王の名代であるフリオール・エスピリス・ユーフェミア第1王女である! 砦の指揮官殿への親書をお預かりしている! お目通り願う!」


 全員非武装の丸腰で、代表して砦の前で口上を述べるのは、王国からの使節団の文官の人だ。まあ、簡単に言えば外交官だね。


「話は聞いている! 人を遣る故、親書を渡されよ! (あらた)める間は、これから案内する部屋にて待機願う!」


 こうして俺たち……外交官二人と俺、アザミ、そしてエルフで冒険者のミラの五人は、砦の内部へと案内され、その一室にて待機させられた。


 人員の選定基準は、種族差別が無いと見せるための演出である。

 代表はあくまで王国の使者である人間族だが、それを魔族、獣人族(に見えるだけだけど)、そしてエルフが護衛することで、異種族への偏見が無いことをアピールする狙いだ。


「いよいよね……同族として連邦には前々から興味が有ったし、いったいどんな暮らしをしているのかしらね。」


 待機する部屋の中で、自身も同じエルフであるミラが、そう口にする。


「そういえばミラは、他のエルフの里出身だったっけな。集落ってあれか? 大木をくり抜いて家にしたり、金属は使ってなかったりとかするのか?」


 俺の中のイメージといえば、自然を活かした、森と調和するようなファンタジー風味溢れるエルフの里。


 大木の中をくり抜いたウッドハウスだったり、樹々を蔦の吊り橋で繋いで行き交ったり、石斧や石のナイフを用いて金属製品を使わない、自然を崇拝する神秘的なエルフ達……


「大木をくり抜く……? なんでそんな面倒なコトをするのよ。普通に伐採して切り拓いた、普通の集落に決まってるじゃないの。鍛冶師だって居るし、金属も普通に取り扱うわよ。」


 あ、左様ですか。

 どうやらファンタジーなエルフの里は、そのまま幻想(ファンタジー)だったらしい。


 そっかぁ……無いのか、ファンタジーなエルフの里って。残念だ……


 そんなエルフ談議を繰り広げる俺たちと違って、王国の使者である外交官二人と、俺たちを監視している砦のエルフ兵達は緊張しっ放しだ。

 そんなに緊張しなくても、何かするつもりは無いんだけどなぁ。


〘アネモネ、船のみんなの様子はどう?〙


〘マスター。皆様寛いでおいでです。エルフの皆様も、すっかり空の旅に慣れたご様子です。〙


 念話を使い、遠く離れたアネモネに残してきた人達の様子を訊ねる。


〘ありがとう。マナエには合図したら頼むって、伝えておいてくれ。〙


〘承知致しました、マスター。〙


 俺たちは現在、エルフ達を護送している魔導戦艦【ムサシ】から先行して砦に来ている。いきなり巨大な船が空を飛んで現れたら、連邦で暮らすエルフ達に無用の混乱と警戒を招いてしまうからね。

 だから先駆けとして予め報せるために、こうして少ない人数で森を護る砦へとやって来たのだ。


「マナカ様。何名かがこの部屋に近付いて来ています。」


 パッと見は狐の獣人族で通用する俺の家族のアザミが、そう報せてくる。

 意識を部屋の外へ向け、感知スキルを使用すると……三人の人物が、この部屋に向かって歩いて来てるね。


 接近を察知してから大して間を置かず、俺たちが待機する部屋の扉が、ノックされる。


「失礼する。この砦の管理と森への入口の守護を任されている、【ノッチ】という。見知り置いてほしい。」


 砦の指揮官であるエルフの男性が、そう言って部屋へと入って来た。


 うん。護送しているエルフ達を見た時から思ってたけど、やっぱエルフって、美男美女ばっかりなんだな。

 この指揮官のノッチさんというエルフ男性も、映画俳優みたいに整った顔で、超イケメンだ。


 く、悔しくなんかないもん……ッ!


 ノッチさんは、先程入場する前に提出した、王国からの親書を手に持っている。

 部屋の中央に置かれたソファに促され、ノッチさんがまず腰を下ろし、その対面に外交官の二人が着席した。


 俺たち三人は護衛役なので、ソファの後ろに立って控えている。


「さて。親書に拠れば、貴殿等は我等エルフ族の同胞を、かのにっくきドロメオの手から救い出し、護送して来たとのことだが……『千名の人員を、空を飛ぶ船で運んで来た』とは一体……?」


 ノッチさんからは、困惑した様子が見て取れる。

 外交官さん達も、どう説明したものかと悩んでいるみたいだね。


「それは俺から説明しますよ。」


 ので、僭越ながら俺が代わりに声を上げた。


「……貴殿は……?」


 ノッチさんが訝しげに、俺へと視線を寄越す。

 そりゃあただの護衛の男が急に口を挟んで来たら、そんな顔にもなるわな。


「し、失礼。この方は、我がユーフェミア王国と友好関係にある、迷宮の主殿でございます。名を、マナカ殿と申します。此度の護送計画も、この方の協力を得て行っているのです。」


 外交官の一人がそう紹介してくれたので、俺はソファの脇に移動して一礼する。


「初めまして、ノッチ殿。ご紹介に与った、マナカ・リクゴウといいます。王国の北に広がる【惑わしの森】にて、迷宮の主をしています。」


「ふむ……」


 俺の自己紹介に対し、目で返してくるノッチさん。

 なるほど。いかにもプライドが高いっぽい仕草だね。


「現在、ここから二日程行った場所を、俺が迷宮の権能で創った空飛ぶ船がこちらに向かって航行中です。こちらをご覧下さい。」


 そう言って予め取り出しておいたダミーコアに魔力を通し、離れた場所にあるもう一つと繋ぐ。

 宙空に四角いウィンドウ画面が現れ、現在妹であるマナエが観ている光景が、映し出された。


「こ、これは……!」


 ……イケメンって、驚いた顔も絵になるよなぁ。


 映像に映った、空を航行中の魔導戦艦【ムサシ】の姿を見たノッチさんが、驚きの声を上げる。

 室内のエルフ兵達も、同様に驚いていた。


「これが親書に(したた)められている、空飛ぶ船です。陸路であれば二日程の距離ですが、一日も掛からずにここまで到達できます。」


 先程念話でアネモネに頼んでおいた、マナエのお仕事です。

 あれこれ口で説明するよりも、実際に目で見た方が分かり易かろうと、飛行魔法が使えるようになったマナエに撮影をお願いしておいたのだ。


「こ、コレに……千名もの人が乗っているというのか……?」


 困惑しきりなノッチさんが、疑いつつも俺に訊ねてくる。

 まあ、いきなりこんな非現実的なモン見せられても、そうなるよね。


「そうですね。この度保護し帰国を望むエルフが八百四名、ユーフェミア王国からの使節団が、この人達を含めて十名、護衛について来てくれた騎士や兵士が百五十名、俺の仲間たちが三十五名、っていう内訳です。


 まだ収容人数には余裕がありますが、なにしろそんな大きさの船ですからね。事前に説明をして混乱を避けるために、こうして訊ねて来たってわけです。」


 ふっふっふっ。ノッチさんめ、改めてムサシの巨大さを説明されて、目を白黒させておりますな。

 創造者として、実に良い気分だよ!


「な、なるほどな……確かに斯様な巨大な物が飛んで来たりしたら、混乱は必至であったな。配慮に感謝する。」


 こちらの誠意は伝わったようだ。

 納得はしきってないみたいだけど、ノッチさんが控えめに頭を下げて、お礼を言ってきた。


「当方の希望としましては、氏族達の取り纏め役である、【シルウァ氏族】の里に着陸しエルフ達を解放。使節団並びにマナカ殿と、氏族長との対談を求めるところであります。」


 俺から説明を引き継いだ外交官が、そうノッチさんに希望を伝える。


 事前に集めた情報によれば、ノクトフェルム連邦は大小十三のエルフ氏族達による、合議制で成り立っているらしい。

 その内の十二の氏族を取り纏める【シルウァ氏族】の長が、実質的な連邦の代表になるわけだ。


【シルウァ氏族】は、エルフ達の信仰を集める巨大樹【神霊樹(ウーラ・シエロ)】の守護をしていて、その巨大樹を祀る巫女を代々排出している氏族だ。

 エルフの信仰の中心になっている重要な役割を与えられているため、各氏族のトップという扱いになっているとのことだ。


「それは難しい。我らエルフの(おきて)に反する。そもそも森の中には、斯様な巨大な物が降りられるような拓けた土地など存在しない。」


 出たよ、エルフの掟。


 彼らエルフ達の纏め役である、シルウァ氏族へと目通りを叶えるためには、それ以外の十二の氏族の内、五つの氏族の長から紹介を受けないといけないらしい。

 しかも部外者は各エルフ氏族の里の中では武装も認められず、厳しい監視の下での行動を余儀なくされるとか。


 ほんと、面倒臭いしきたりだよね。


「そこをなんとかお願いし申す。此度の使節団の長は、ユーフェミア王国の国王の名代であらせられる、フリオール第1王女殿下でございます。友好的な訪問でありますし、一国の王族にまで掟を当て嵌めるのは、国際情勢的にも些かながら問題があるかと愚考しますが。」


 おお、外交官さん強気だね。


 確かに一国の王家の人間を、掟だからと国の代表者に会わせないのは問題があるよね。しかもこっちは彼らの同胞であるエルフ達を保護し、護送して来たのだから。


 そういった立場上の強みを説き、砦の指揮官であるノッチさんに説得を試みること暫し。


「ううむ……分かった。各集落に遣いを出し急ぎ伺う故、まずはこの砦前にて待機を願いたい。空飛ぶ船とやらも、一度此処に降ろしていただく。各氏族の長らの判断が下り次第、改めて返事いたす。」


 ノッチさんの返事は、上にお伺いを立てるといったものだった。

 まあ、ただの砦の指揮官である彼に、国際問題に関する判断なんて難しいだろうからね。


 この砦前の拓けた土地なら巨大なムサシを降ろすのにも不足無いし、俺たちは取り敢えずは、ノッチさんの指示に従うことになった。




「まずまず、といったところだな。」


 砦に到着したムサシの中の貴賓室で、報告を受けたフリオールが、計画の進展にホッと息を漏らした。


 王様の名代として、責任があるからね。

 知らずの内に、肩に力が入っていたんだろう。


「どういった返事が来るかはまだ分からないけどね。ともかく、俺たちの誠意は相手方には伝わった筈だよ。」


 事前に報せたにも関わらず、到着したムサシを目にした砦のエルフ達は大混乱に陥った。

 指揮官のノッチさんも、映像とは比べ物にならないそのムサシの威容に、目と口をあんぐり開いて呆けちゃってたね。


 既に各氏族に向けて使者を走らせたと言ってくれた彼を案内して、ムサシの中で過ごしていたエルフ達と会わせもしたし、これで俺たちが何一つ嘘偽りを言っていない事が分かっただろう。

 あとは、エルフ達の誠意ある対応を期待したいところだ。


「うむ。マナカもご苦労であったな。使者の護衛をしてくれて、礼を言うぞ。」


「何を水臭いこと言ってんだよ。俺の頼み事に王国が協力してくれてるんだ。あの程度、どうって事ないよ。」


 俺を労ってくれるフリオールに、手をヒラヒラと振って応える。


 これで上手くいけば、かねてからの目標であった魔族達の保護も終わりを迎える。

 あとは交渉して、大陸に張っている結界の中にノクトフェルム連邦も入れられるかどうかだ。


 邪神マグラ・フォイゾとの戦いが始まるまでに、やれるだけのことはやっておかないとな。


「そうか。そう言ってくれると助かる。あとは、砦から返事が来るまでは、ゆるりと過ごして待たせてもらおう。」


「そうだな。マクレーンのおっさん、みんなの様子はどう?」


 そうフリオールに返事を返して、俺は今度はマクレーン辺境伯へと声を掛ける。


「皆落ち着いて過ごしておる。現在(いま)はお主のメイド達が作った料理で、夕餉を取っているところじゃ。」


 空を飛び始めた当初は恐怖に混乱していたエルフ達だったが、ユーフェミア王国を発って一日中船に乗って空の上に居たもんだから、もう既に慣れ切って、食事を楽しむ余裕も出来てきたらしい。


 船内にはいくつかの食堂が存在し、そのそれぞれに分散して食事を摂ることになっている。

 本来は利用者の階級によって利用する食堂が変わるのだけど、まあ今回はみんな入り交じって、全ての食堂で一斉に食事をすることにしたんだ。


「そっか、なら良かったよ。それじゃあ遅くなっちゃうし、俺たちもメシにしようぜ? もうお腹が空いて背中とくっつきそうだよ。」


 (おど)けて見せながら、今日の仕事はここまでにしようと暗にフリオールに促す。

 こうやって適度に力を抜いてやらないと、責任感の強いフリオールが参っちゃうからね。


 妻(未来のだけど)を支えるのも、旦那の責任ってな。


 俺たちは連れ立って部屋を移動して、国家首脳級のために造った豪華な食堂へと辿り着く。

 そこには既に我が家の面々と、同じ冒険者パーティー【揺籃の守り人】のメンバーであるエルフのミラ、虎獣人のミーシャ、熊獣人のベレッタ、そして僧侶のオルテが、席に着いていた。


 アネモネの指示で、メイド達数人がテーブルに料理をどんどん並べていく。

 フリオールとマクレーンのおっさんも着席し、そうして集ったみんなを見回してから、俺は言葉を発する。


「みんな。取り敢えず俺たちは、ノクトフェルム連邦へと到着できた。一先ずはお疲れ様。各氏族からの返事にどれだけ時間が掛かるかは分からないけど、まずは目標の一つを達成したということで、ゆっくりしよう。お酒も有るけど何があるか判らないから、気持ち控え目にしておいてね。それじゃあ、食事にしよう。」


 そうして手を合わせ、「いただきます」と挨拶をする俺に倣って――マクレーンのおっさんやミラ達は不慣れだったが――唱和し、エルフ達の帰国の叶ったその日の夜は、ゆったりと更けていった。




前書きにも書かせていただきましたが、読者様から寄せていただいた感想に関して、トラブルがございました。


感想には、勿論率直なご意見も書かれても構いません。


ですが、他の読者様が不快に思われるようなお言葉や、根拠すら示さない単なる否定のお言葉を書き込まれるのは、出来ればご遠慮願いたく思います。


多くの人目に付く感想欄に、悪意しか感じることのできない言葉をお書きになるのでしたら、そんな事をされる前に拙作を読むのをお止めください。


私の作品を楽しみにして下さっている多くの読者様の、妨げとなってしまいます。


どうか、ただ罵倒や否定がなさりたいのであれば、作者に直接メッセージでお伝えください。


他の多くの読者様や、多くの創作者の方々の活動を妨げるのは、おやめ下さい。


勿論、作品に関する指摘は、真摯に受け止める心構えでいます。


批判を送るなという事ではなく、根拠も示さない否定を拒否したい、という思いでおります。


様々な作品が日々産み出されている小説家になろうで、全ての作者様や、読者様が、気持ち良く活動をされることを、願っております。


長々と失礼いたしました。


テケリ・リ



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] まあ感想欄は荒らされることもしばしばですけどね。 もちろんムカつく主張も多いと思いますが、批判するにしても其処まで読み進めてくれた一人として、それもまた一つの意見として受け入れることも大事で…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ