閑話 捻くれ王子の奮闘記 その④
いつもお読み下さり、ありがとうございます。
冬の閑話祭りでございます(笑)
どうぞ、お楽しみください。
m(*_ _)m
〜 ユーフェミア王国 王都ユーフェミア ブレスガイア城 〜
《ユリウス第3王子視点》
「父上、お願いがあります。」
王城の奥、王族の住まう区画に設けられた、食堂。
家族揃っての夕食は、父であり国王陛下である、【フューレンス=ラインハルト=ユーフェミア】の拘りだ。
先の王位継承争いの末の動乱を、省みてのことらしい。
「ふむ。ユリウスよ、申してみよ。」
食事中は静かなものだ。
基本的に上流階級の食事ってのは、あまり喋ったりしないもんだからな。
そんな中で、無作法にも口を開いたオレに、父上は窘めることはせずに、フォークとナイフを置いて、聞き返してきた。
「近々、件の迷宮の都市を、視察に行かれると聞きました。」
件の迷宮とは、この国と同盟関係にある魔族の男、マナカの支配する迷宮のことだ。
マナカが、自身の迷宮の中に創り上げた都市、【ウィール・クレイドル】って言ったか?
そこに視察に行くと、父上が話していたそうだ。
「ふむ、その通りであるな。療治を兼ねての視察である。最近腰と肩が痛くて敵わんのだ。」
いや、肩腰が痛いのは明らかに政務のせいだろ?
四六時中椅子に座って、書類と睨めっこしてりゃあ、そりゃあ身体にもガタが来るだろ。
「ああ、勿論家族皆を連れて赴くつもりだ。故にユリウスよ、お主の休校期間に合わせるつもりである。」
ありがたい。
そうしてくれれば、アイツらも……
「心配せずとも、お主の学友も、同行を許すぞ。マナカの出した条件のことであろう?」
ああ、そういえば、既に父上には話したんだっけな。
フリオール姉上にも話をしたわけだし。
「ありがとうございます。同行させたい者達に、伝えても?」
「うむ、構わんぞ。道中は長い故、休校となった翌日に発つつもりだ。ああ、くれぐれも……」
「はい。内密に、ですね。承知しています。」
お忍びの旅行のつもりなんだろうな。
それについては一向に構わないけどよ。
しかし、急ぐようなタイミングといい、俺の休校に合わせることといい、もしかしたら、俺のために口実を作ってくれたのかもしれない。
だとするなら、心から感謝します、父上。
〜 ブリガント王立学園 修練場 〜
翌日、オレは旅行のことを仲間に伝えることにした。
今日も自主訓練のために、放課後の修練場に、いつものメンバーが集う。
騎士としての士官を目指す、ミハエル。
ミハエルの双子の妹で、魔法使いとして士官を目指す、ミカエラ。
商会の娘で、魔法の素養も有るモリナ。
不屈の根性を持つ、僧侶見習いのマルコー。
そんな彼らに、迷宮の主とした約束を話して聴かせた。
「それって、本当に大丈夫なのか?魔族なんだろ?」
「そんなことは関係ないわよ!それってアレでしょ!?移民を触れ回ってた例の都市なんでしょ!?」
最初に反応したのは、マルコーとミカエラだった。
マルコーの疑問は尤もだな。
王国にとって、魔族は古くからの仇敵だし。
現在も、魔族の侵攻に備えてって名目で、王国最強の呼び声高い【軍神】が、辺境に詰めてるんだからな。
「アイツは問題ない。あの父上が友誼を交わしたほどの男だぞ?俺も直接話したが、なんていうか、歳の離れた兄貴みたいな奴だったぞ。」
マルコーの懸念は尤もだが、アイツが王国をどうこうするイメージってのが、どうも湧かない。
そんなことしてる暇があったら、妹のマギーや弟のミケと、日向で昼寝でもしていそうだ。
ダメだ。
そっちの方がしっくりき過ぎてて、本当にやりそうで怖い。
「ねえ!それで、そこに行けば、アンタみたいな魔法を教えてもらえるの!?」
ミカエラの食い付きが凄い。
まあ、本職の魔法使いの卵だし、俺が教わった結界魔法で一番痛い目見てるからな。
「その筈だ。態々、仲間を作って連れて来いって言ったんだ。まとめて面倒見てくれるとは思うぞ。」
面倒見は良さそうだったからな、アイツ。
マギーにはせがまれるがままに話をしてやってたし、ミケには贈り物までしていた。
何より、腐ってたオレに、本来の願いを思い出させてくれた。
常に兄や姉に比べられ、何をしたら良いかも分からなくなっていたオレに、目標を、歩む道を照らし、与えてくれた。
……こんなこと、絶対に本人には言わねえけどな。
「行く!絶対行く!!ミハエルもモリナも行くでしょ!?」
ミカエラのヤツ、オレより熱心に勧誘してるな。
圧がすげえわ。
「僕は、少しでも実力が上がるなら、行きたいかな。」
「私もぉ、特に実家に帰れとは言われてないし、良いかなぁって〜。」
よし。
後はマルコーだけど……
「マルコー、お前はどうだ?」
単刀直入に訊いてみると、マルコーは難しそうな顔をする。
「……本音を言えば、俺も行きたい。だけど、長期休暇の間は、世話になっている教会で、手伝いをする予定だったんだ。」
マルコーは、王都に在るユタ教会の孤児院で育った。
教会の司祭に治癒魔法の素養を見出され、なけなしの金を掻き集めて教育を受け、奨学金まで借りてこの学園に入ったという。
治癒の担い手は、教会では貴重だからな。
言い方は悪いが、手っ取り早く信仰や布施を集めるには、民に治癒魔法を施すのが、最も目に見えて効率が良い。
初めて学園の医務室で治療を受けて、治療費の心配をしていた理由が、それだった。
持つ物も持たず、学園支給の最低限の恩恵で、学生生活を送っているのだ。
「そうか……なあ、マルコー。オレがそこに口を出すのは、余計か?」
打ち明ければ、マルコーの事情はオレも把握していたし、こうなることも予見はしていた。
だから、それをなんとかするために動く用意はしてある。
「いや、それは悪いだろ。俺の事情で、ユリウスに迷惑は掛けられない。」
そして、こう返されるのも。
「オレとしては、お前が一緒に来てくれないことの方が困る。別に事を荒立てようってんじゃない。お前の代わりに、教会に治癒魔法の使い手を送るだけだ。勿論オレ個人の我儘だから、オレの小遣いでな。王族の権力を振り撒いたりはしねえよ。」
めぼしい人材に当たりは付けてある。
後は、父上に許可をもらって、本人にも相談するだけだ。
「オレ達はパーティーだろ?仲間が苦しいなら、支え合うのは当然だ。心苦しいなら、その分お前が強くなってパーティーを支えてくれれば良い。」
これは、オレの偽らざる本心だ。
折角仲間になったんだから、一緒に強くなりたい。
何もおかしくないだろ?
「……本当に、良いのか?」
マルコーに確認される。
そんな気にすることじゃないぞ?
言ってみれば、全部がオレのための、我儘だからな。
頷きを返してやると、マルコーも心を決めてくれたようだ。
「分かった。すまないが、世話になる。」
気にすんなよ。
精々一緒に強くなって、マナカの度肝を抜いてやろうぜ?
「これで決まりね!じゃあ早速出掛ける計画を立てましょ!!ユリウス、またあのお店に連れて行きなさいよ!」
「いや、なんでだよ!?別に計画くらい、此処で立てれば良いじゃねえか!?」
「解ってないわね!女の子は、考え事をする時には甘い物が必須なのよ!!そうよね、モリナ!?」
聞いた事ねえわそんなこと!!
いや、モリナも激しく頷いてんじゃねーよ!?
「あのお店、高くて私達だけじゃ入れないんですよぉ〜。」
しかも奢らせる気満々だとおっ!?
「あははは……ユリウス、ごめんね?」
「その店、そんなに美味いのか?」
コイツら……確かに遠慮無く対等に接してくれるのは有難いけど、女共は図々しくなり過ぎだろ!?
ってか、ミハエルはもうちょい妹を制御してくれよ!?
「……しゃあねえ。マルコーの加入祝いも兼ねて、行くとするか。」
「やたーっ♪ケーキ、ケーキぃ〜♪♪」
そうしてオレ達は荷物をまとめ、王都の街へと繰り出した。
「ところでユリウス。条件では、仲間は5人必要なんだよね?1人足りないけど、どうするの?」
その道中でミハエルに、オレも悩んでいたことを訊かれた。
「なんとかしたいが、時間も無え。かと言って、適当に選んだ奴はパーティーに加えたくねえ。正直に話して、大目にみてもらうしかねえな。」
実際、休校までの時間は残り僅かだ。
そんな少ない時間で信頼できる仲間を見付けるなんて、不可能に近いだろう。
こればっかりは博打だ。
あの男――マナカが、それでも良いと頷いてくれることを、祈るしかねえ。
今夜辺りに、父上に頼んで話をさせてもらうか。
〜 ブレスガイア城 王の執務室 〜
「――そういう訳でして、治癒魔法士の1人を、お貸し願いたいのです。勿論、報酬はオレの頂いている金銭の中から支払います。」
あのケーキ屋で、仲間達と休校中の計画を立てたオレは、早速その日の夕食後に、父上に直談判していた。
オレが父上に願い出る望みはふたつ。
ひとつは今話している、治癒魔法士のことだ。
休校中、僧侶見習いのマルコーは、孤児院の在る教会で奉仕をする予定だった。
それを曲げさせ、同行させるために、マルコーの代わりとなる人材を派遣したいのだ。
「ふむ。言いたいことは解った。だがな、それは出来ぬ相談だ。国に仕える者を私利のために使うというのは、たとえ王族といえど許される事ではない。そこで、お主に打開策を与えよう。」
やっぱダメか。
オレに割り当てられた近衛の中からなら、出来るかと思ったんだけどな。
「父上、打開策とは……?」
「うむ。本来ならばお主自身に気付いてほしかったが、時間も無いことだしな。簡単な事だ。冒険者ギルドに、お主個人として依頼をすれば良い。お主に与えた金銭を使うのならば、悪事に使うのでなければ、余は構わぬでな。」
うわ、気付かなかった……
その手が有ったか!
「治癒魔法士で、教会での奉仕を任せられる者となると、数はそう居らぬであろう。ギルド職員と話し合い、繋ぎを付けてもらうのが良かろう。お主の望みのためならば、指名依頼という形を取るのが、最も好ましいであろうな。」
なるほど……
確かに、ただ依頼を貼り出すだけじゃあ、確実じゃないな。
ギルドから適した人材を斡旋してもらう、か。
早速明日取り掛かるとするか。
「感謝します。それと、もうひとつお願いがあります。」
「うむ。申してみよ。」
もうひとつの願いは、マナカと話をしたい、ということ。
マナカの出した条件は、仲間を5人作って連れて来ること。
現状1人足りないが、アイツらにも言った通り、間に合わせで入れた適当な奴を、仲間だとは言いたくねえ。
「なるほど。確かに、信の置ける友を探すには、時間が足りぬな。よかろう。」
父上に、正直にオレの胸の内を話す。
少し前のオレだったら、有り得ないことだよな。
そして父上は、オレの願いを聞き届けてくれた。
父上が取り出したのは、マナカから贈られたという宝珠。
一見するだけなら、なんてことのないただの水晶玉だ。
しかしそれは、迷宮の核の模造品だという。
そんな貴重品をホイホイ配って回っているというマナカには、正直呆れしか浮かばないぞ。
父上がオーブに魔力を込めると、少しの間を置いて、そこからアイツの声が聴こえた。
『あら?王様?俺に直接とか、珍しいね。なんか有ったのか?』
仮にも一国の王に対して、この語り口。
呆れてものも言えないが、この関係は、他ならぬ父上が望んだものだ。
「急にすまんな、マナカよ。実は、ユリウスがお主と話をしたいと言うのでな。」
父上も、明らかに砕けた口調になっている。
どうやら、両者の関係は良好らしい。
『ユリウスが?そこに居るのか?ああ、ちょっと待ってくれ。今映像を繋ぐからさ。』
王都から辺境を越えたマナカの迷宮までは、2週間以上の距離だと聞いた。
それを大した魔力消費も無く、こんなに気軽に声を遣り取りできるなんてな……
迷宮ってのは、本当に凄まじいもんなんだな。
そんなことを考えていると、オーブから宙に光が伸び、四角い窓のような物が浮かび上がった。
そこには。
『よし、と。おー、ユリウス、久し振りだな!ちょっと背ぇ伸びたか?王様も顔を見るのは、例の男爵の騒動の時以来か?髪の毛大丈夫?』
「ハゲとらんわ!いや、禿げてはいるが、進んではおらん筈だ!まったく!マークといいお主といい、顔を合わせる度に髪の事を言うでないわ!!」
……言葉が出ねえ。
いきなり目の前で始まった言い合いもそうだが、宙に浮かぶ窓の中には、あの日城で別れた魔族の男――マナカが、相変わらずの人を喰ったような笑みを浮かべて、動いているのだ。
「ち、父上、これは……」
絞り出すように声にした。
それを聞いた父上は、まるで悪戯を成功させた子供のように、得意気に口を笑みに変えて、説明してくれた。
「おお。そういえば、お主はこの力を観るのは初めてか。このオーブ――ダミーコアには、遠く離れた場所の光景を映し出す力も有るのだ。驚いたか?」
『いや、なんで王様が得意気にしてるのさ?俺が創ったダミーコアなんだからな?』
まあ、それはマナカの言う通りだな。
けど、父上のこういう顔を観るのは、酷く久し振りな気がする。
……それだけ、オレが父上と本音で向き合ってこなかったってことか。
『それで?俺に話が有るんだろ?どうしたんだ、ユリウス?』
そうだ。
オレは、オレのために、仲間のために、マナカにしっかりと話をしないといけないんだ。
「実はな、前にアンタに告げられた、仲間を5人作るっていう条件なんだが、遂げられそうにない。4人は出来たんだが、あと1人足りないんだ。大口を叩いといて情けないが、それでもオレは、今一緒に居る仲間達と、強く成りたい。どうか、現状で赦してくれないか?」
まさかオレが、父上の目の前でこんなことを言うなんてな。
この男のおかげで、オレも随分変わったみたいだ。
『ん?別にいいぞ?』
そんなオレの一大決心の下に絞り出された懇願は、アッサリと、あっけらかんとした声によって、承諾された。
「……は?いや、ちょっと待てよ!?なんでそんなアッサリ……!?」
『元々5人集めろって言ったのは、本当にバランス良く戦力を整えるなら、6人欲しいなと思ったからだからな。別に、互いの弱点を補い合えるなら、その限りじゃないし。』
なんだよ……!
そういう意図が有るんなら、そう言ってくれりゃあ良いのによぉ!
『最初からそう言えって思ったか?そんな妥協で集めたメンバーで、あの【軍神】を超えられるとでも?必死に募ったメンバーだからこそ、真に強力に力を合わせられるんだ。そんな簡単なこっちゃないんだぜ?』
「うぐっ……」
この野郎、人の心を見透かしたように……
『そう考えれば、4人も集まったのなら上出来だろ。どんな奴らなんだ?俺に聞かせてくれよ。』
そう言われたオレは、学園で出来た、対等に接することの出来る仲間達のことを、マナカに話した。
名前や出自、戦闘技能なども伝え、一頻り喋り終えると、マナカは。
『いや、想像以上に面白いメンバーだな!特に双子が鍛え甲斐がありそうだ。楽しみにしてるよ。それで、ひとつだけ訊きたいんだけど。』
エイゾウ?の中のマナカが、急に真剣な顔をして、オレを真っ直ぐ見詰めてくる。
「な、なんだよ……?」
その視線に思わず尻込みしながらも、なんとかオレは視線を逸らす事無く、それと向き合えた。
『どうして、1人足りないって状態で良しとした?オレに頭を下げてまで、どうして現状に拘ったんだ?それを教えてほしい。』
ああ、そんなことか。
そんなの今更じゃねーか。
アンタが、オレに言ったんだぞ?
「オレは、アイツらを対等な仲間だと思ってる。アンタがあの時言ったように、笑い合い、言い合えるような、そんな仲間だ。アイツらも、オレのことを認めてくれている。
オレは、そんなオレ達の間に、間に合わせで適当に選んだ奴を、加えたくなかった。
たとえこの先メンバーが増えるとしても、オレは勿論、アイツらとも信じ合えるような奴じゃなきゃ、嫌だったんだ。」
我ながら、よくスラスラと言えたもんだな。
けど、これがオレの本心だ。
アイツらにもちゃんと伝えた、オレの気持ちだ。
『うん、良く解ったよ。ちょっと見ない間に、随分と素直になったじゃねえか。お兄ちゃんは嬉しいぞ!』
「う、うるせえよ!誰が兄だ!?」
きっと、オレは今、顔を赤くしているんだろう。
顔がメチャクチャ熱くなってる。
けれど不思議と、嫌な気分ではなかった。
いや、そんなことは口が裂けても言わねえけどな!
『本当に信じ合える仲間っていうのは、そういうもんだ。俺も常日頃、身に染みて感じてるよ。俺もだけど、お前もソイツらを、大事にしろよ?それじゃあ、街で待ってるからな。ビシバシ扱いてやるから、覚悟しとけよ?』
嫌味の無い、本心だと判る笑顔で、そう言ってくるマナカ。
そんなアイツの姿に、オレの口の端は自然と吊り上がって。
「上等だ。アイツらと一緒にさっさと強く成って、アンタに一泡吹かせてやるぜ。そん時になって、驚くんじゃねえぞ?」
気付いたら、自信を持ってそんなことを口走っていた。
正直に言えば、楽しみでしょうがないんだ。
『ははっ!言いやがる。吐いた唾は飲み込めねえぞ?だけどまあ……うん、楽しみにしてるよ。』
その男は。
マナカは、本当に楽しそうに、そう言った。
「どうでも良いが、お主ら、余を無視し過ぎではないか……?」
いや、父上?
そんなイジけられても、困るんですが……
ミカ「やっぱりあのお店のケーキは絶品ね!美味しかったわぁ♪」
マル「いや、本当だな。俺、あんなに美味い物初めて食ったぞ。」
モリ「そうだよねぇ〜♪しかも今日はお土産も買ってくれたしぃ〜。」
ミハ「それはミカが我儘言ったからでしょ?ミカ、ちょっとユリウスに甘え過ぎじゃない?」
マル「確かにな。ミカエラはユリウスには、かなり頼み事が多い気がするぞ。」
ミカ「うっ……い、良いじゃないのよ!ユリウスだって、ホントに嫌ならそう言うでしょ!?」
モリ「そうだねぇ〜。それで、また口喧嘩になるんだよねぇ〜。ホント仲良しだねぇ〜。」
ミカ「仲良しって、誰が誰とよ、モリナ!?そんなことより、迷宮よ、迷宮!!」
ミハ「確かに楽しみだよね。休みが待ち遠しいなぁ。」
モリ「マナカさんって、どんな人なんでしょうねぇ〜?」
ミカ「なんか性格悪そうよね?あのユリウスが、兄貴みたいって言ってたんだし。」
ミハ「ははは……ど、どうなんだろうね?」
マル「お前ら、楽しみなのは良いが、休校前の試験は大丈夫なのか?俺は落ちる訳にはいかないから、ちゃんと準備出来ているが……」
ミミモ「「「…………はっ!!??」」」
ミハ「わ、忘れてたああああ!?」
モリ「どうしよう!?規定の点数取らないと、休み返上で補講だよぉ!?」
ミカ「マルコー!勉強教えてよっ!」
マル「いや、俺も自分の試験範囲で精一杯だ。他の科の内容までは、とても無理だな。」
ミハ「そうすると、ユリウスにお願いするしか……」
モリ「だねぇ!ミカちゃん!ユリウスくんにお願いしてね!」
ミカ「な、なんでアタシが頼まないといけないのよ!?」
モリ「大丈夫だよぉ〜。ミカちゃんのお願いなら、ユリウスくんも聞いてくれるってぇ〜。」
ミハ「モリナ……君も案外、図太いんだね……?」
マル「さすがは商人の子ってとこか?女ってのは、怖いな。」
ミカ「し、しょうがないわねぇ!みんなのためよ!?飽くまでみんなのために!アタシがユリウスにお願いしてあげるわよ!?」
モリ「うんうん〜。ちゃんと可愛くお願いしないと、ダメだよぉ〜?」
ミカ「かわっ……!?い、いいわよ!やってやるわよおおおっ!?」