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途中
わたしは、こどもの頃から
どこかおかしいこどもだった。
いつもどこか空虚で、とても寂しかった。
その理由はいまいちわからない。
親は、愛情を与えてくれていたと思うし、
弟もいる。
祖父や叔母も同居とあって
家のなかは賑やかな方だったと思う。
でも、とても寂しかった。
幼稚園や、小学校でも
ともだちは少ない方ではなかった。
休憩中も、放課後も、いつも誰かといっしょだった。
けれど、ふと思う。
わたしがいなくなっても、
だれひとり困るにんげんは、
どこにもいない。
いつもそうだった。
腹を抱えて笑っていた数秒先でも、
そのことが脳裏を掠める。
暖かな夕食を家族で囲んで
好物を頬張っている最中でも。
そして、その瞬間から
周りにいるすべてのひとびとは、
わたしにとって別世界のひとのように思えるのだ。
自分だけが切り離されたような
ひんやりとした感覚に、
わたしは目が醒める。
勘違いしてはいけない。
わたしは、特別ではない。
これらがどこから生まれてきたのか
今考えてもやはりわからない。
なにかあったような。
なにもなく、もとからあったような。
とてもふしぎで、暗い感覚。