表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/54

閑話

事件後のお茶のひと時。


地味に気になっていたことを聞いてみた。

「夏目さん」

「ん?」

「夏目さんの下の名前って、なんて言うのですか」

何せ、自分はてっきり“夏目”が彼の名前だと思っていたのだ。

まだ記憶に新しい白百合事件(命名)で、夏目さんについて色々発覚したことがある。

・夏目さんの曾祖父らしき人は夏目青磁という。

・彼は黒髪黒眼

・夏目さんの言葉の中に出てきた「夏目の名を持つもの」とは何なのか

・その他、もろもろ夏目さんへの不信感


白百合事件は解決したのに、夏目さんの謎は深まるばかりだ。


「僕は、僕だよ」

「…意味わかりません」

「葵ちゃん。時として、敢えて知らなくてもいいモノが世の中には溢れていると思わないかい?」

それが、名前だというのか!

長い付き合いのくせに、名前すら教えてくれないってどうなの!?

「なんですか、それ。もしかして、私を疑っているのですか?別に、フルネーム聞いたからって悪用したりしやしませんよ!」

しゃらくせぇ

名前ぐらいで、悪用も何もない。

「葵ちゃんを疑うはず無いさ」

「じゃあ、問題ないじゃないですか」

むう。と睨みつけてやる。

夏目さんは、長い足を組みなおした後、ぷいとそっぽを向いた。

コラッなんだ、その態度は!お母さんは許しませんよ!白状なさい!

さらに胡乱な視線を投げてやる。

じと〜…

夏目さんは、横目で私をちらりと見る。そして嘆息一つ。

「恥ずかしい名前なんだ」

は?

今度は、しっかりと私を見据え、諭すように言いなおす。

「口には出せないくらい恥ずかしい。もし、その名で呼ばれたら僕は死んでしまうよ」

マ、マジでか。

…夏目さんに、ここまで言わしめる名前って…逆に気になる。

露未男ロミオとか、美氣欄璽櫓ミケランジェロとか?

謎です。

謎すぎます。夏目さん。


夏目さんの剣幕に押された私は、結局彼の名前を聞き出すことは出来ず。


今日も今日とて、夏目さんは、夏目さんなのでした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ