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6話

「いいの? でも、ただで住ませてもらうのは申し訳ないから、メイドとして雇ってもらえないかしら」


 これはグッドアイデアだわ! これで沁の側にいられるし、守れる。


「わかった。田神に伝えておくよ! メイドとして働くのは上辺だけで、僕の話し相手を優先してもらいたいんだ! 君と話していると楽しいし心が安らぐ。気も使わないしね」 


 沁は鐘をチリンチリンと鳴らすと執事の田神さんが部屋へ入って来た。


「沁様、お呼びでしょうか」


「田神、明日から彼女はメイドとして働く事になったが、1番の目的は僕の話し相手だ。彼女の部屋を用意してくれ」


「かしこまりました。雅様、それではこちらへどうぞ」


 執事にそう言われると、


「雅、これからからよろしく。今夜は一緒に夕食をとろう」


「え?でも私、メイドとして働かないと」


「話し相手が1番と言ったろ」


 沁は微笑んでそう言った。


 なんだかその瞬間、胸がきゅ~んとなった。


「雅様、沁様の笑顔や笑ったところを見たのは、本当に久しぶりでございました。わたくし、田神は嬉しくて嬉しくて、どうか沁様の事をよろしくお願いいたします」


 そう言うと涙ぐんでいた。


「雅様のお部屋はこちらになります。今夜は沁様とお食事をお楽しみくださいませ。ご用意が出来次第、お呼びに参ります。では、失礼いたします」


 部屋に通されると、


「きゃ~!! 何? この部屋。お姫様になった気分! 素敵~!!」


 とても広い部屋だった。大きなベッドにふかふかの布団。


 テラスまであって、そこから薔薇園が見渡せる。


 薔薇園も素敵~!!


 私は嬉しくてはしゃいでいた。


 これから沁の側にいて彼を守って行こう!


(あら、雅、あなたはもう彼を幸せに導いたわ)


「ん? エクスシア!? もうってどういう事?」


(彼は皆に気を使われ過ぎてうんざりしていたはずよ。それをあなたが一瞬で壊したの。彼にとってこんな嬉しい事はないはずよ。だからこそ、あなたを話し相手にした。そう思わない?)


 そっか、そう言う事ね!


「エクスシア、私、何だか分かった気がする。守るだけじゃなく、沁を幸せに導く…それが守護天使の役目ね」


(そういう事よ)


 そうか、これが守護天使の役目。

 沁のために私、頑張る!!


 コンコン!


 ドアをノックする音が聞こえた。


「雅様、お食事のご用意が出来ました。沁様がお待ちしております」


「はい。わかりました」


 執事に着いて行くと、大きなテーブルのある部屋に通された。

 そこにはもう沁が1人で座っていて、私を待ちかねている様子だった。


「沁、いつも1人で食事するの?」


「ああ、そうだよ。いつも1人だったからね。慣れっこさ」

 

 そんな…


「そんなのに慣れないでよ! 沁は1人じゃないわ! これからは私がいるもの!」


 沁は嬉しそうに私を見て微笑んでいた。


 私、沁の1番になって見せるわ! 

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