表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/12

10話

 皆が寝静まった頃、私は噴水の所で妖精達と沁を待っていた。


「待たせたかな?」


 沁がそう言って待ち合わせ場所にやって来た。


「そんな事ないわ。妖精達と話しをしていたの」


 そう言うと、沁が私の手を握り始めた。


「妖精さん、こんばんは!」


「こんばんは、沁」


「さてと。妖精さん、雅が上手く飛べるようになるように、練習を手伝ってくれるかい」


 沁は妖精達にそう言った。


「もちろんよ。任せて!」


「何とか飛べるようになったけど、長く飛べないの。難しいわね」


 私は苦笑いしながらそう言った。


「雅なら大丈夫だよ! 妖精さん達もついてるし、僕も応援するから」


 沁の言葉に勇気付けられた。


 それから毎晩、私が上手く飛べるように練習が始まった。


 もちろん楽しく会話もした。


「その調子、その調子、頑張って! 雅!」


 沁が応援する。


「あ~。また落ちちゃった~もう!! 頭でイメージするって難しいわね」


 練習は大変だったけど、沁と過ごす時間はとても楽しかった。


 毎日、練習しては沁といろんな話をした。


 そして、ある晩の事。


 ようやく上手く飛べるようになった私は、


「沁、私につかまって! 行っくわよ~!」


 そう言って、沁をしっかりと抱きしめて飛んだ。


「凄い! 凄い! 雅! 僕、飛んでる!」


 沁は心から喜んでいた。

 私は沁の喜ぶ顔を見て、凄く嬉しい気持ちでいっぱいだった。


 私達の周りを妖精達も飛んでいる。


「そうだ! あそこの灯台まで行ってみよう」


 私は一生懸命飛んで、灯台の上まで行き、そこに沁を座らせて、私は沁の隣に座った。


「沁、見て! 海の向こう側の町明かりが見えるわ。綺麗ね~」


 沁は目をキラキラさせながら、夜景を見ていた。


 なんだかロマンティックだわ~!

 いい雰囲気。


 私は沁の横顔をうっとりと眺めていた。

 そして、沁の頬にキスをした。


「あ、急にごめんなさい。女からこんな事…」


 妖精達はそれを見て、キャーキャー言っている。


 そして、沁は私を見つめると、今度は沁のほうから私の唇にそっとキスをした。


 それから目が合って、お互いに顔を赤くしていた。


 沁は恥ずかしそうに


「なぁ、雅、俺と付き合ってくれないか! 恋人になって欲しいんだ! 君といると僕は幸せなんだ!」


 その瞬間、妖精達が


「とうとう言ったわ」


「付き合っちゃえ!」


「ヒューヒュー」


 と騒いでいる。


 私は妖精達に向かって


「ちょっ!! 恥ずかしいからやめてよ……」


「自分からキスしたくせに~」


「そうよ。そうよ」


 妖精達に笑いながらそう言われると、急に顔がか~っと赤くなるのがわかった。


「私は沁が好き! でも、私は人間じゃない。それでもいいの?」


 と言うと、沁は


「そんなの関係ないさ。好きだよ! 雅」


「きゃ~~っ」


 また妖精達が騒ぐ。


 私は照れながら、思わず


「うるさい!!」


 と言っていた。


「お願いだから、せっかくのロマンティックなところで、ちゃかすのやめて~」


 妖精達は


「つまんないの」


 そう言って、やっと静かになってくれたのであった。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ