スライム水集め
昨日、ソフィアと別れたダンジョンの一階層に結斗は訪れた。
結斗の自宅とダンジョンの行き来にかかる時間は、《転移》を使うと一瞬だ。
結斗は今日一日をダンジョン一階層で過ごすつもりでいた。
身につけている武器と防具に慣れるためというのもあるが、スライム水を集めることが一番の目的だった。
ダンジョンで長時間の探索を行う際に問題となる食事を手早く済ませることができ、十分な栄養を摂取できるスライム水はダンジョン探索の必需品だ。
食事の度に家に戻るという方法もあるが、《転移》を使う度に魔力を消費するので、魔力が足りなくなる。
そのため、魔力を少しでも増やしたいという思いもある。
先程、結斗が武器と防具を装備した状態の自分のステータスを《鑑定》で確認した。
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【新村 結斗】
【魔力】:3/6(9)
【スキル】:《鑑定》《隠蔽》
【装備スキル】:《転移》《異空間倉庫》
【装備】:《精霊のペンダント》《狼の長剣》《狼の鎧》《狼の盾》
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結斗が長剣、鎧、盾を装備したことで、魔力の最大値である9が6になり、家からダンジョンに移動するために《転移》、武器と防具を異空間から取り出すために《異空間倉庫》、ステータスを確認するために《鑑定》のスキルを使ったことにより、魔力を3消費した。
さらに、家に帰るために《転移》、武器と防具を収納するために《異空間倉庫》のスキルを使う必要があるので、魔力を2残さなければいけない。
すると、結斗は魔力を1しか使えない。
なので、魔力が足りないと考えた結斗は、魔力がある程度増えるまで二階層の探索をする気にはなれなかった。
スライムしかいない一階層を探索するだけなら、魔力を使わずとも危険はない。
スライムを倒すことでスライム水が現れる――ゲームでのドロップアイテムのような仕様になっている――が、それを毎回《異空間倉庫》に集めることは魔力消費の関係上難しい。
なので、家から持参した鞄――試験管が割れないように衝撃を吸収する素材を詰めている――の中にスライム水の入った試験管を入れている。
スライムを倒して魔力を得たことで、ある程度魔力が回復したと感じたら、鞄の中に溜まったスライム水を《異空間倉庫》へと移す。
結斗はスライムを400体倒すと、自分のステータスを《鑑定》で確認した。
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【新村 結斗】
【魔力】:5/10(13)
【スキル】:《鑑定》《隠蔽》
【装備スキル】:《転移》《異空間倉庫》
【装備】:《精霊のペンダント》《狼の長剣》《狼の鎧》《狼の盾》
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(魔力は2残せばいいから、あと3回《異空間倉庫》が使える魔力があるな)
それまで、結斗はスライムを倒し続け、スライム水を収集した。
(これだけあれば、スライム水一年分くらいにはなっているだろう)
そう思いながら、結斗はダンジョン一階層から家の玄関に《転移》で移動する。
そして、スライムという的を使うことで慣れてきた長剣、鎧、盾の装備を《異空間倉庫》に入れた。
明日は二階層に行こうと考えながら、結斗は携帯でダンジョンについて調べ始めた。