表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

閑話、精霊ソフィアの一日

「魔物と戦うなんて、冗談じゃない! 早く家に帰してくれ!」


 ダンジョンの一階層に、男の取り乱した声が響く。


「……わかりました。元の場所に送ります。しかし、忘れないでください。いずれ、世界に魔物が出てくるということを――」


 そう言うと、涼しげな雰囲気を纏う精霊の少女――ソフィア――は、あまり話しを聞いていない男をダンジョンから日本へ《転移》させる。 


 男がいなくなったことで、ダンジョンは静けさを取り戻す。


(上手くいかないものですね……)


 ソフィアは思い悩む。


 精霊がダンジョンで現在の状況を説明した人の中で、ダンジョン探索を行っている人は半数にも満たない。


 このままだと、ダンジョンの出現日から一週間ほどで二階層の魔物が世界に出てきてしまう。


 低階層の魔物は《スキル》を持たないため、通常より身体能力が高くなった動物のような存在とはいえ、

銃は二階層の魔物までしか通用しない。


 装備を身につけて身体能力を上げなければ、人間が魔物に対抗することは難しい。

 

 そのため、多くの人にダンジョン探索を行ってもらい、装備や《スキル》を得て強くなって欲しいのだが――


「魔物って怖そう……私は無理! 他の人が魔物を倒してくれるよね……」 


「何で俺がそんなことをやらなきゃいけないんだ!? 他のやつに頼め!」


――と、このような他人任せな人が多かった。


 また、ダンジョン探索を行ってくれる人の中には、


「狼なんて、この装備があれば楽勝だって!」


 そう言って、精霊が支給した狼の装備を過信して死んでしまった人。


「クソッ! 屑アイテムじゃないか! 次はレアアイテムをドロップしろよ!」


 ゲーム気分が抜けないまま、魔物を倒した瞬間に油断し、死んでしまった人。


「こんな数の狼、相手にできるか!」


 狼との戦闘中に新たな狼が加わり、そう思いながら死んでしまった人などがいた。


 まだ、ダンジョンが出現して間もない。


 ダンジョンの情報が広まれば、人はそれに適応することができるだろう。


 ソフィアは、精霊がダンジョン探索の手助けしかできないことを心苦しく思いながらも、人間にダンジョンについて説明する作業を続けるのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ