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ジュラルミン×加工=超利益

「これが、ジュラルミン……話には聞いていましたが、改めて手にすると違いが歴然ですね」

「だろ。大型でこの軽さだ、ブランドにしても充分売れると思うんだがな」

「勿論です。これならそうですね……2段階魔力加工された物と同じ値段を付けたとしても安いと思える程ですよ」


 ダンジョンの下見を済ませた一同は一度街へと戻り、町長の家で正式な書面を纏めつつ改めて特産品となったジュラルミンで作られた物を拝見する。従来の鉄よりも軽量且つ頑強である素材で出来た防具、これほど魅力的な存在を逃す事など出来ないのかウィンデルの瞳は酷く輝いている。


「通常の鉄に『軽量化』を二つ追加した並に軽い上にこの硬度……何て素晴らしい……」

「商人としての血が騒ぐか?」

「ええ、今すぐにでも卸して欲しいぐらいです……!!」

「軽量化って確か、武具とかに施される魔力加工の一つだよなレイ?」

「ああそうだ。魔力によって付与される特殊効果の一種だ」


 魔力加工は道具や武具に対して特殊な効果を付与する加工の事を指す。効果は様々でより硬くする『鋼鉄化』や本来の重量より軽くする『軽量化』、術式を使用する際に消費魔力を軽減する『魔力コストダウン』などの効果などが存在する。

 ダンジョンより産出されたジュラルミン鉱石は豊富にダンジョンの魔力を含んでおり、通常のジュラルミンよりも質が高くなっており、異世界にて作られる本来のジュラルミンよりも遥かに良い物になっているのも関係しているが。


「それにこれは……スロット加工にも適しているのではありませんか!?」

「流石ギルドの調査員だな、分かるか」

「そ、そりゃ分かりますよ!豊富に魔力を含んでますから……これ程までに加工に優れているとは……ミスリルまでとは言いませんが、十分すぎるほどに加工は安易だと思われます」


 魔力加工を施す為にはその前段階に『スロット加工』という物を行う必要がある。施されたスロットに魔力加工を行い、特殊効果を齎すという仕組みになっている。が、この『スロット加工』は施す物の中にある魔力を操作する事でスロットが付けられるので、魔力量が少ないとスロットを付ける事は困難になる。魔力を含んでいない場合は魔力内包する加工を施す事が多い。そして数を増やせば増やすほどに対象とのバランスを取るのが難しくなるので、基本的にスロットは一つにするというのが当たり前とされている。

 よって豊富に魔力を含んでいる素材であれば、操作できる魔力量も多くなって加工も容易くなりスロット数も増やし易くなる。現存する中で最もスロットを多く持っているのも、希少鉱物指定がされている『アダマンタイト』によって鍛造された伝説の剣だとされている。


「すげぇなジュラルミン……希少鉱物並の物なのに鉄並に取れるってもう頭可笑しいな」

「んでよ、ジュラルミンの流通にはトルネード商会を頼るってのは如何よシモン。こいつの商会なら俺は信用に値するぜ」

「俺としては良いぜ。レイの知り合いなら信頼に値するだろうし」

「有難うシモン君、では早速契約を結びましょう!!」

「ええ、んじゃこっちの部屋で契約を……」


 とトルネード商会と提携を結ぶ事を決定したシモンは自分の執務室にウィンデルを通してそこで契約書を作って、一緒にサインや詳しい内容の決定を行う事にした。残された応接室にはレイとリーブ調査員が向かいあっていた。


「しかし……まさかプラチナランカーのSSS級のギルドカード保持者と対面出来るなんて……私、ギルドに所属して20年経ちますけど、初めてで、凄い光栄です!!」

「そんな畏まらなくて良いぞ。俺は元冒険者だからな、今じゃ研究者って言った方が正しいだろうし」

「でもまさか……貴方があの伝説の冒険者だったなんて……未だに興奮が冷めませんよ……」

「伝説伝説言ってくれるなっての、俺は大した事なんてしてないっての」


 本人はそう言っているが、リーブからしたら無理という物。特別な功績を立てなければ与えられない栄誉的な階級、しかもプラチナとなれば国を救うような偉業を成し遂げなければ与えられない物。そんな相手を前に普通にしろというのも無理な話である。


「そう言えばよ、ダンジョン経営資格の証明のコピーを取る必要とかあるんじゃねぇの?」

「そ、そうでした!?すいませんが、も、ももももう一度カードを……」

「緊張しすぎだっての、ほい」


 再び差し出されたプラチナに輝くギルドカード。震える手でそれを受け取り、コピーを取る為に魔力を編み上げて作られた特殊な用紙にそれを置くと同じ色と見た目が用紙にコピーされていく。悪用がされない様にカードを横断するようにギルドのマークが薄く表示されて、コピーが終了する。


「んでよ、俺が運営するのは恐らく許可されるだろうけどギルドってなんかちょっかい出してくると思うか?」

「そ、そうですねぇ……あれだけ素晴らしい物が産出されますから、何かしらしてくるとは思います。まあ取り敢えず、ダンジョン評価の為にパーティ派遣は絶対ありますよ」

「まあそりゃな、評価されないとまともに潜ろうって奴は来ないからな」


 この時、ギルドは思っても見なかった。ジュラルミンという特殊鉱石が、ダンジョンにとんでもない変化を齎すという事を……。

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