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第3話
聞こえた声は、男性の声だった。
声のした方を向くと、いつの間に現れたのか、長身の男性が、そこに佇んでいる。でも、そっちの方角は、私が歩いてきた方角だ。足跡は、私の分しかない。彼は、いつの間にここに現れたんだろう。男性は、日本人だと思うけど、服装は日本人ではなかった。白のフードで全身を包み、目元が見えないけれど、まだ若そうだ。フードの隙間から、ズボンとブーツが見えた。コスプレじゃないよね?人がいたことが信じられなくて、ただただ男性を見つめていると、男性はもう一度言葉を放った。
「馬鹿なんだね、可哀想に」
なんだ、こいつ。




