第十九話《暗殺の準備》
「ん〜、もう少し下かな」
「この辺か?」
「違うわよ」
「うるさい奴だな」
「ちょっ!そんないきなり!ん、ぁぁぁ、ちょっと痛いけど……気持ちいい」
「これでどうだ」
「あ!いいぃぃぃ、あん……すご、んぅぅぅ」
「おい美沙」
「何?」
「変な声を出すな」
「だってシンが仕事前の肩もみをしてくれるって言うから」
「だれが18禁みたいな声を出せと言った」
美沙が下になりシンが上で体重をのせている。
「あんた重いんだから手加減してよね」
シンの殺しの技はツボ。
人を一瞬で死に至らしめるツボをマスターしている。勿論、それで人を癒す事も朝飯前である。
「仕事前にあんたのマッサージは最適だわ」
「ふん、嬉しい言葉をどうも」
「これなんかどうだ」
「MINIMI か。自衛隊が良く扱う機関銃だな。よく入手出来たな」
「まぁな。日本じゃ対した武器は入って来ないが、これは結構いい品だぜ」
山奥の廃墟になったビルの地下の中にダークはいた。
「しかしお前がここに来るなんて久しぶりだな」
「そうだな、最近来たといえば……半年前になるな」
MINIMIを品定めし終わりダークは現金を男に渡した。
「おいおい、こんなにはいらないぞ」
「いいからとっとけ。美味い飯でも今度おごって貰えればそれでいい」
MINIMIを黒いバックの中に収納する。弾は1000発、100発ずつ小さい箱におさめダークに手渡す。普通の銃弾よりやや細めで鉄板などの貫通に適している。
「MINIMI は連射に適しているが長時間使用すると弾の火薬が銃口に詰まるから注意したほうがいい。下手すれば壊れちまうからな」
「言われなくても分かってる。銃を扱う者としての常識だ」
「ついでにこれはサービスでお前にやるよ」
男が手渡したのは64式小銃。型は古いが新しい89式に比べ殺傷能力が高いのがこの銃の長所であろう。難点は重量があるところだ。89式小銃は約3キロと身軽に動ける重さだが64式小銃は約6キロあり89式小銃の2倍の重さがあるのだ。
「古い品だが十分人は殺せる」
「遠くからの射撃距離の限界は?」
「弾は3キロ飛ぶが人間の目で遠くから撃つとなると……300〜400メートルの距離だったら正確に当たるだろう。まぁ古い銃だからな、最新式のは格段にレベルが違うがな」
「いや、十分だ。それと弾を100発と弾裝《弾を込め銃に取り付けるもの》をお願いしたい」
「もちろんだ」