宰相の決断 02
テイールームで、時間を潰す事、約1時間。件の女性が退出してきた。
うん・・・・・なんだろう?睨んで行ったな。姫様恨まれてる?
「姫様。今の方と何かトラブルでも?」
「いや? 初対面のはずじゃが?」
他の貴族達と同じかな? まあとりあえず保留か。
皇太子の寝室に入れるのは、本来なら姫様一人。
勿論クラウは此処で引き続き待機だけど、あたしはメイドの立場を利用して、城のメイドと一緒に給仕をする。城に来る度に何度もキッチンに足を運んでメイド達を手伝い、仲良くなった甲斐があるというもの。
「失礼いたします」
皇太子付きの侍女ソフィアに続いて、お茶セットを載せたワゴンを押しながら、皇太子の寝室に入る。
姫様は、あたしを見てちょっと左の眉を上げたが、何も言わなかった。よっし!セーフ
「おや?そちらの侍女は見覚えが無いですね。新人ですか?」
皇太子にバれた! まあ当然だわね
「ああ。いや、妾のメイドじゃ。 妾の茶の好みを知っているので同行させたが、ルール違反じゃな。退出させよう。」
「それには及びません。勇者殿の使用人に間違いがあるはずもありませんから。そのまま続けて下さい。」
姫様がフォローしてくれた。うう、申し訳ありません、姫様。
「それにしても、やつれたのう。ちゃんと食事は取っておるかや?殿下。」
「いえ・・・取らないといけないのは判っているのですが・・・・・」
「いかんな。それでは益々弱ってしまうぞ?」
姫様が席を立ち、ベッドに近づく。
私の隣に立っている侍女、ソフィアがそれを制止しようとするが、私はそれを邪魔するように移動する。
「アマネさん?」
「姫様のすることに間違いはございません。邪魔なさらないよう」
私は精一杯の眼力でソフィアを止める。コレでも実戦経験者、その位の睨みは出来る。と思う、多分、きっと。
「ああっ?!」
ソフィアの悲鳴に私も姫様のほうを振り向く。
おうっ!姫様が殿下に覆いかぶさっている。
不意をうたれた殿下がピンと固まっているのがちょっと可愛いw
あ・・・自分の顔も赤くなっているのが判る。
あれは治療あれは治療あれは治療・・・・・・・ううー判っててもこれは!! 何でマウスtoマウスなんですか!姫様!!
「・・・・・すまぬな、妾の力では直接聖気を送り込まねば呪や瘴は払えぬのじゃ」
「いえ・・・・ありがとうございます。勇者殿、楽になりました」
「・・・・・・名前を呼んではくれぬのかや?殿下・・・・・」
「・・・・・・・・セーナ姫・・・・・」
おっとお!いい雰囲気じゃん。 涙目になってる侍女が騒ぎ出す前に退出するのがいいかしら!
・・騒ぎ始めたわね、邪魔よ?ソフィア!
口を押さえても静かにならない侍女を腹パンチでぐったりさせて
引きずって退出!
ドアを開けるとそこには宰相が待っていた。
うおっ! やべ!現行犯じゃん ワタシ