戦後から始まる その4
「では行きましょうかな。皆様」
「うわ!びっくりした!!」
くっ不覚! まさか真後ろにロドリゲスのオッサンが立っているとは!!
って言うか、一緒に行くの? おっさん!!
「別に、無理に同行しなくても良いぞ?ロドリゲス」
「いえいえ、重要な配達がありますから。御気になさらず」
あたし以外の二人は、おっさんの接近に気づいていたようで全然驚いてない。なんか悔しい。
ロドリコ商会は港湾地区が見下ろせる高台に建っている。
店の正面からは緩やかな石段が、港まで伸び、途中に建つ倉庫群へ次々と荷物が出入りする脇を 我々4人は港に向かう。
眼下に広がるのは巨大な内海。そして石垣で作られた広大な港湾施設
石段を降りきった場所は、ロドリコ商会に割り当てられた専用の埠頭だ。
「うーん・・・これは、派手じゃのう」
「悪趣味だな、おい?こいつは」
「散々な言われようですな。これでも気合を入れて作らせたのですが」
うん・・・あたしもこれは無いと思うわ
埠頭には、外洋貿易船2隻と帝都内運搬用の河用小型船3隻が並んでいるが、そのうちの1隻がいつのまにか改造されている。
河用3隻の中の一番大きな船。2本のマストを持ち、河を逆行できる
三角帆をそれぞれに装備したケッチと呼ばれる船。
元々はマホガニー色だった船体は、姫様のエンブレムの地色と同じ青に塗りなおされ、船首から船尾まで、手摺部分から1フイル程の厚みで金モールが施されている。
ミズンマストの白い小さな帆にロドリコ商会のマークが入っているのは以前と変わらないが、白かったメインセイルがやはり青く染め直され、姫様のエンブレムである黄色いグリフォンがでかでかと描かれている。
赤く塗られたマストと その頂点にはためく赤地に黒い竜の帝国旗。
河上に向かうため張られた2枚のジブセイルも赤。
あげく前部甲板に、以前は無かった小屋と屋外テーブルセット。
あそこでお茶でもするのだろうか?
一見馬鹿な貴族のヨットって風だがベースは貨物船。
なんだろう このコレジャナイ感w
長さの単位
1インク(1.5cm)
1フィル(30cm)
1ヤル (90cm)
1ミレー(1.5km)