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主人の部屋の前に立つと僕は扉を押し開けた。扉は鉄以上に硬い物質で出来ていて、やはり黒い。しかも、重さがハンパない上に高さが10m近くある。扉を開けるとそこには数時間前と同じ綺麗な赤いマットが王座まで一直線に引かれていた。が、王座の周りにはさっきまで鎧を着込みきちんと立っていた女騎士たちが、王座を中心に裸で床に横たわり息を切らしていた。主人は王座に変わらず座っていたが何やら満足そうに女たちを見ていた。

「クロお前、なに帰ってきてんの?」

「は、勇者を一組捕まえてまいりました」

「へ?もう捕まえたの?ちょっと俺の前まで持ってきてよ」

「は」

僕は王座の近くまで行くとキサラギと仲間の女3人を王座前の階段下に降ろした。

「お、上玉だね」

主人は女たちを舐めるように見ると笑った。

「勇者の方はどうしましょう?」

「ああ、勇者ね。こちに持ってきて」

「はい」

僕は勇者を主人の足元まで持って行く。主人は足で勇者を蹴り上げると顔を鷲掴みにした。

「ああ......ハズレ」

「ハズレ....ですか?」

「なんでこんなクズを俺の元に持ってくるんだよ!」

主人は僕を怒鳴りつけると顎をけられた。僕は宙に10m近く浮くと一回転し地面に着地した。一瞬自分の顔が吹き飛んだのかと思った。地面に着くと僕は主人の前に土下座をした。

「申し訳ございません」

「なんだってハズレを俺に持ってくるんだよ!」

「申し訳ありません。しかし、ハズレとは何でしょうか?」

「は?そんなことも知らないの?」

主人はため息を吐くと、王座の横にある巻物を僕に向かって投げた。

「それが勇者の書」

「勇者の書ですか?」

「ああそうだよ、さあそれ持っていけ。こんなクズ連れてきたらお前の腕をボキボキの細々にしてやる」

「は、以後きをつけます」

僕は立ち上がり、王の前から去ろうとした時、足に違和感を感じ、下を見ると3人の女の内の一人、シフォンと呼ばれていた女が僕の足首を掴んでいた。

「主人」

「何なんだ今度は」

「この女をもらい受けてもよろしいでしょうか?」

「は?その白髪の女?ちょっと顔を見せてみろ」

僕はシフォンの顔を持ち上げると、主人が見えるように持ち上げた。すると、主人は唾を吹き捨てた。

「あ、そいつなら持って行っていいよ。無表情なやつは趣味じゃないしさ」

「は、ありがとうございます」

「あんまりグズグズすんな!早く行け!」

「は」

僕はシフォンを足首から取るとお姫様だっこの様に持ちあげ、主人の部屋を後にした。


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