狩る物と死に逝く者
「ほらほら、もっと逃げろ!」
僕は逃げる。怖いからじゃない。奴らを狩場に誘うため。
「さあ、どうする?もう逃げられないぞ」
僕は裏路地の行き止まりまで追い詰められた。三人の男はニヤニヤといやらしい笑いを浮かべながら僕にゆっくりと近づいてきた。彼らと僕の合間は約3m。
「金を出せば痛くしないでやるぞ」
「わかりました」
「お、物分かりがいいな」
僕はポケットに手を入れると彼らに近づいて行く。
「はは。いいね、今日は久しぶりに女でも買うか」
「いいですね、兄貴」
「それじゃあ。金をにせt...」
「あれ兄貴?」
”兄貴”男の後ろに居た男が”兄貴”の肩を掴むと”兄貴”の頭が首から落ちた。
「ひ、ひいいいい」
「テメエ!兄貴に何しやがった!」
「何も。ただナイフを投げただけです」
僕は壁から、血の付いた折りたたみナイフを引き抜くと残りの二人にゆっくりと歩き寄った。
「次はどちらが死にますか?」
「「ひいいいい」」
男達は踵を返し来た道を逃げ様とする。が....
「ぐわあああああああ!!!!!」
無駄だった。
「て、テメエ何しやがった」
「うるさいですね」
僕は2人の中、後ろにいた方の背中に投げつけたナイフを抜くと、首に突き刺した。男の首から血が吹き出し僕の白い服に付いた。
「ああ、汚い。新調したばかりだったのに」
最後の男は余りの光景に腰を抜かしていた。
「貴方も”兄貴”の元へ送ってあげますよ」
「ヒ、ひいいい」
僕が声をかけると、男はまるで赤子の様にハイハイで逃げ始めた。そんな男の背中を踏みつけると地面に押し付けた。
「それでは、さらば」
「う、うわわわ」
次の瞬間、彼の首は胴と一生の別れを告げる事と成った。彼の首のあった所からは噴水のように血が吹き出し僕を包み込んだ。
「はあ、またシャツを新調しなくては..う....」
僕は立ち上がり、歩き出そうとすると、めまいがし、前向きに倒れ込んでしまった。
「何が.....」
僕は男3の血を見るとそれは赤では無く黒かった。さらに黒い血はだんだんと触腕の様にうねりながら男1,2,3と僕を地面に引きずり込み始めた。
「ここを出なくちゃ....」
僕は手を伸ばしはい出ようとした瞬間、僕の意識は闇に沈んだ。