月と男
初めまして、天月咲夜です。初投稿です。
月を見て、私は溜め息をついた
私は今はただの村娘だ。前はお嬢様だったけれどある事情でこの村までやって来た。
私の家は燃えてしまったのだから
その日は月が綺麗な日で私は侍女と私の部屋で話をしていたのだから。
「今日も綺麗な月ね。明日も晴れると良いわね。」
「そうですね、お嬢様。」
「今日は三日月だわ。ねぇ、アリスはどの月が好き?私は満月が好きよ」
「私は今日みたいな三日月が好きですね。」
「どうして?満月の方が明るくて綺麗じゃない。」
「なんとなく…でしょうか?落ち着くのです。」
「そう…。」
そうして、侍女のアリスと他愛ない話をしていつものように寝ていつものように起きると思っていた。
そして、その時が来た
「お嬢様…お嬢様!!」
「なに…。まだ夜中じゃない…」
私はアリスに起こされた。まだ月が天上にあり、朝とは到底思えない、夜の闇だ。
「起きて下さい…!屋敷が…」
「…?…っ!!そんな…」
少し嗅げば鼻から喉を刺激するような感じ、そして至る所から臭う、焦げた臭い。このニオイは…
「どうして!?なんで屋敷が燃えてるの?!お父様とお母様は…」
「分かりません…ですが速く逃げませんと…!」
お父様達のことは心配だけど、まずは屋敷から逃げないと…そう考え、私はアリスと一緒に部屋から玄関まで逃げようと走る。途中で使用人が慌ただしくしていたが、私を見ると安心してくれた。
そして、しばらく走っていると大きく屋敷が揺れ、私は転んでしまった。それに気付いたアリスが私の無事を確かめる。そしてまた走り出した。
…どうしてこんなことに…
私はアリスと一緒に逃げながら思い、走り続けた。使用人はお父様達のところへ向かっていった。
「お嬢様、もうすぐ階段です。そこを降りれば玄関です。」
「ありがとうアリス。」
私の部屋は二階の一番奥にある、見晴らしの良いところだ。そこから階段で降りればすぐにつく。
もう少し…もう少しで…!
私達は玄関につき、扉を開けた。そこに…
そこには黒い服を来た、黒い髪と赤い瞳を持つ男が立っていた。
「貴方…誰…?」
「…この屋敷の娘か?」
そう、問う男は無表情のままで見つめてきた。私は頷いた。そうしなければいけない気がした
「名は?」
「…ルイナ・アルテミス」
「お嬢様!得体の知れない者に名を明かすなど…!」
「貴方は?」
「オレは…ノワール」
そう答えた男は私を見て、こう言った。
「屋敷を燃やしたのはオレだ」
アリスが私を背に庇った。私は話をした。恐怖はあるが、それよりもこの男に聞かなければならない。
「何故燃やしたの…?答えて…!」
男は私を見ると首を振り、
「オレの大切なモノを奪われたから。」
「大切なもの…?」
「あぁ、この屋敷を燃やさなければいけなかった」 そう言うと男は屋敷に向かって歩き出した。
「待ちなさい!貴方の大切なモノってなんなの?!」
男は振り返らずにそっと言った。
「それは…」
屋敷の崩れる、大きな音で男の声は聞こえなかった。そのまま男は炎に包まれた屋敷に向かって歩いていった。
その後のことは私の記憶は曖昧だった。ただ、分かったのは助かったのは私とアリスだけということと…
炎が消え、崩れ落ちた屋敷だけがそこにあった。
その後いろいろあり私とアリスはある村に行き、二人で生活をし始めた。最初は初めてだらけで戸惑い、失敗ばかりだったが今では馴れたものだと思う。
ただ、失ってしまった両親が戻ってこないことだけを思うと悲しくなるし、辛くなるが来たときのように泣いてばかりもいられないし、自分のことは自分でしないといけない。そう思うと頑張れるのだ。
「お嬢…ルイナさん、ご飯の準備がととのいましたよ。」
「今行くわ。アリス」
アリスも最初はお嬢様と言ってしまい、今でも言い掛けるが最近ではルイナさんと言ってくれる。さて、行きましょうか。そう呟いて私はリビングに向かっていった。
ノワールは一人、思った。それは自分とは違う、白い髪に青い瞳を持つルイナ・アルテミスのことだ。あの後燃える屋敷に向かい、彼は奪われたモノの前にいた。屋敷の主はもう助からず奥方も同じだろう。彼はそのモノを眼を細めて言った。
「やっと取り戻せた。」
彼はそう言うとそれを見つめた。
彼が取り戻したかったモノは屋敷でもなければ宝石でもない。屋敷のあった場所だった。アルテミス家の者には悪いことをしたと思う。だが、そろそろこの場所を返して貰わないといけなかった。なにせ此処はかつて追い出された自分の住処なのだから
奪われたモノを取り返しただけだ。そう、自分に言い聞かせた。
「ルイナ・アルテミスか…」
長く生きる自分には、初めてあった少女…。自分の都合で全てを奪ってしまった少女…。そう思い、燃え盛る屋敷と共に彼も巻き込まれていった…
ルイナ・アルテミス…すまなかったな…
呟きは炎と共に消えていった…。
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初めてなろうに書いた小説がこんなに暗くてすみません…。取りあえず思いつきで書いてみました…。
それでは失礼いたしました。