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神々の泉  作者: tamap
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行く場所

 すでに半数以上の人たちが住む場所を決めたようだった。

さすが文明世界が一番多い。

その中にはアメリカっぽい国やヨーロッパぽい国もあるのだがそれらは選ばれなかった。

やはり馴染のある文化が良いみたいだ。驚いた。


 意外だったのが農業と牧畜をやりたいと言う人が5人もいた事。

魔法にどうしても馴染めないという人がその内で二人もいた。

彼らには最低限の文化的生活ができるように冷蔵庫やトイレ水道関係の魔道具等が贈られる事になったが、魔法が馴染めない人たちも魔道具は構わないらしく5人一緒にアパートかシェアハウスのような家を建てて牧場と農園をやるらしい。

5人ともが若い時に農業をしていたが、歳をとって体の自由があまり利かなくなり、都会に出ていた子供に引き取られていた老人だった。

今は若い頃の体を取戻し、やはり農業がやりたいと希望したのだ。

5人は体が不自由なせいで引きこもりがちだったので、近所に同じような境遇の人がこんなに居たのかとこちらに来て初めて知って驚いたようだった。


 剣と魔法の世界を望んだのはパン屋さんとシェフだけではなく、女性が二人そこを選んだ。

世界を選んだと言うよりも、実はパン屋さんたち、二人の男性を選んだのだ。

一人は結婚できないオールドミスのお局だと嘆いていた女性。

もう一人は戦争中に許婚者が戦死してそれ以来結婚もせずに年老い寝たきりになっていた86歳の女性だった。

二人とも今は二十歳前後の若々しさで、異世界ツアーの間にすっかり男性たちと仲良くなり、結婚する事になったのだ。

 婚約者を失ったお婆さんはその後一人で頑張って会社を興し、妹の息子を養子にして跡を継がせた後、少しボケていたそうだ。

養子とそのお嫁さんが献身的に介護してくれたのだが記憶が段々と後退して来て最近の事など殆ど思い出せなくなっていたとか。

「許婚者を失った女は貞操を守って一人で居る物だと思っていたのよ」

元お婆さんは現在の姿のままの若々しさでそう言った。

「でも、許婚者の方に対する思いがただの未来の夫と定められた事への義務感のような物だったって、彼に出会って判ったわ。

私の赤い糸は彼に繋がっていたのね」

ポッと顔を赤らめた彼女はとても可愛らしかった。


 そして、最後に訪れた妖精魔法の世界に10人もの人が住む事を決めたのには驚いた。

あまり文明世界っぽい娯楽は無さそうなのだが、静かで、それなりに文化的な生活ができそうだった。

10人の人が決めた一番の決め手はなんと、妖精に懐かれた事。

(神々の泉)の妖精が見えて無かった人が大半なのにここではその10人すべてが見えていて、妖精に懐かれて即、決めたようだ。

その中にはあの元撮影監督の男、今は美少年もいて驚いた。

彼、魔法使いにでもなるんでしょうか。

陰陽師姿が異様に似合いそうな今の美少年顔を思い、成長した時のゴツイおっさん顔と引き比べてちょっと笑ってしまった。


 元々から妖精を見る事が出来たお爺ちゃんと二人でやって来た少女は私と同じく妖精塗れになりながらも、心を決めかねているようだった。

今は壮年になっているお爺ちゃんは農業をやってみたかったようだが元サラリーマンで盆栽すらいじった事の無い素人だから、諦めたようだ。

技術者でもなく、職人でも無い人たちはこれからの仕事の見当がつかないらしく住む場所を選べないでいた。


 確かに、良い世界だと思う。

危険は少なく広々していて、妖精との兼ね合いでタブーは幾つかあるけれど、静かに暮らして行きたい人にはピッタリかもしれない。

 でも、私は嫌!

何、この妖精たち。

何がしたいの???

ウザい!まぶれつくなーーーーー!

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