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神々の泉  作者: tamap
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異世界ツアー1

 今日は楽しい遠足、と言うよりは修学旅行?

この神々の地を旅立つための見聞旅行なのだから。


 まずは剣と魔法の世界!と男の子達は煩いけれど、最初に行くのは元の世界に似た、ライト魔法の文明世界。

元の世界に似た場所だから、そこで少し過ごしてみて違いを知るのだそうだ。

最初にあまりに違う刺激的な世界を見てからだとちゃんとした物が見えなくなるし注意して細部を見る事が出来なくなるらしい。


 母が付いて来てくれると思ったのだけれど、母は巫女長なので動けないそうだ。

昔から籠の鳥と称されていたとか。

よほどの引きこもり体質じゃなきゃ勤まらないのよと母は笑った。

確かに母には引きこもりっぽい所があった。

家が一番好きで旅行等を誘っても二の足を踏む。

買い物でさえすぐに帰ってくる簡単な物なら大丈夫だけれどバーゲンなんて行ったのを見た事が無い。

時間のかかりそうな買い物はネットで済ましていたもの。

「最近は便利ねぇ、買い物が家で出来て届けてくれるんだもの」と嬉しそうに言っていた。


 旅行は本当に簡単でした。

門を潜るだけ。

門を潜るとそこは神殿で、初老の神官が出迎えてくれた。

まるで人の生臭みの無い神官はニコニコしながら言った。

「ようこそ、異世界からのお客人。

この世界には今まで多くのあなた方と同じ世界からの旅人が訪れました。

その方々の影響で発展してきた世界ですから、きっと馴染みやすいでしょう」


 (神々の泉)の地にあった神殿とは全く違う造りの木造りの神殿は古い教会の様だった。

ただ、木造としては桁外れの規模で造られている。

天井はおそろしく高い。

複雑な木組みが装飾の一つになっていて美しい。

(命の泉)のおかげで目が素晴らしく良くなっているのでその美をじっくりと堪能する事ができた。

壁も床も磨かれた立派な木で造られているので日本人からすると靴を脱がなくて良いのだろうかと思うのだけど、保存と清掃の魔法が掛かっているので大丈夫と言われた。

魔法!凄いです。


 協会は内側から見て想像した通り尖がり屋根の教会の形をしていたが天辺の十字架は付いていなかった。

高い塔屋に鐘があるわけでも無さそうだ。

案内は出迎えてくれた神官長ではなく、若い神官が二人付き添ってくれた。

神官長はこの世界のすべての神殿の神官長でもあり、お忙しいらしい。


 「初めまして、僕はユーイと言います。

僕の曽祖父があなた方と同じ国の出身でユーイチローと言う名前でした」

神官の一人が自己紹介をしてくれる。

黒髪の日本人の面影のある顔立ちをしているが、目は有り得ない紫色だった。

「初めまして、僕はアルフィー。

僕の祖父も転移者ですが国が違うみたいですね。

祖父の国は何処なのかは聞いて無いのですが、この神殿の設計者でもあります。

最初は自分の神様を捨てきれなくって余所の神様の神殿なんて造れないってごねてたそうですが、こちらの神様の愛に触れて改宗し、神殿を精魂込めて創り上げたそうです」

銀髪に緑の目をしたまだ少年のような神官が自己紹介した。


 「この世界には5つの国があります。

どの国も似たような物なのですが、気候風土や立地が違うので文化も違います。

ここはアキツと呼ばれる国で、建国者は転移者だという伝説があります」

「秋津なら日本人かも知れないな」

孫を連れた元老人の男性が言った。

「爺ちゃん、何で日本なの?」

大好きな爺ちゃんが若返って最初はちょっと戸惑ったものの、亡き父にそっくりだと言うその顔にすっかり馴染んでいる孫だった。

「日本は大昔秋津島って呼ばれてたのさ」

「ええ、そうなんだ!」

声を上げたのは近くの少年たち。

少年よ高校生くらいなら古事記や日本書紀くらい習っているはずだぞ。


 「この世界は大海に浮かぶ五つの大陸と大小3千余りの島々からなっています。

一つの国が一つの大陸に作られているので争いはありません。

争いどころか大陸は巨大なわりに人口が少なく、いくつかの都市の周りは自然のままの姿をしています。余所の大陸に手を出すなんて余裕はありませんね。

島々の中のいくつかには自治国家らしき物も最近現れて来ているようですが、島の数も多く、大陸の国々も近辺の島をリゾートにするくらいで開発などする気は無いのでそこにも争いはありません。

 皆さんは此処のような都市に住む事もできますし、島を丸々一つ占拠する事も自由です。

大陸の中の森を切り開く事も許されています。

これから、5つの大陸全部を10日くらいで回ろうと思っていますが、気に入った場所があればじっくりと滞在して見る事も可能です」

二人の神官のガイドで至れり尽くせりの異世界ツアーが始まった。

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