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神々の泉  作者: tamap
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選別と治癒

 私に認められ、その力を使って貰えれば、神としての格が上がるのだそうです。

かつて、最大の泉である(命の泉)に憧れ、寄り添っている内に私に認められ大きな力を得た(癒しの泉)の女神のように。

 使えない者はさっさと切り捨て追い返しなさいと創世の女神に言われたけれど、十把一絡げにする訳にも行かず残業続きで絶賛調査中です。

 水の能力を視るのは前世で散々やって来たのでそう苦労もせずに表面上は判る。

ただ、潜在能力と言うものがあるので厄介です。

実は(癒しの泉)の能力も最初は大したことは無く、別段そこにあっても無くても構わなかったのだけど、その色が大層美しくて、巫女達の人気が高くそのままその場所に居る事を許されている内に突然化けました。

本当に、恋の力と言うのは凄いものです。

 こういう事があるので調査は怠れません。それがどんなに大変でも。

「君、それは毒だよ。使えません」

「お酒ねぇ?でもそれを飲むのは誰?竜なら大丈夫だと思うけど、人間がうかつに飲むと死んじゃうと思うよ、90度もあったら息に火が付いちゃうから」

「夢ねぇ。夢見ている内に魔獣に食べられちゃうね。ああ、魔獣も夢を見ちゃうのか。でも、夢を見ている内に死んじゃうね。餓えと乾きで」

「強すぎる快楽は毒です。中毒や依存と言う事になったらどうするの?」

検証して、助言して、全く使えない物はお引き取り願って、ようやく半数にまで減ったのは1年後でした。

 面白い能力を持つものも結構居たのだけれど既存の泉の力の劣化版だったり、まったくの能力無しって物さえあった。

確かに何ら能力の付与が無くとも砂漠の真ん中のオアシスに湧き出す泉ならば旅人は有難がるだろうし、信仰も集めそうだけれど、それはそこにあってこそ必要とされるものなのだ。


 1000年のブランクで一般の人々から忘れ去られていた(神々の泉)の存在がやっと周知の物となって来たのか、王族貴族、神殿関係者以外の人たちが現れるようになった。

 忘れもしない、最初に現れたのは血まみれの子供を抱えた母親だった。

この地の事を知らずとも無意識に祈ったのだろう。

たちまち現れた門を潜ってここに来たのだ。

「すぐに子供の体をその泉の水の中に浸しなさい!」

へたに怪しまれてグズグズされて、手遅れになる前にと、私は強い口調で女性に命じた。

声に強制力でもあったのか、ビクッとなった女性は子供を泉の中に放り込んだ。

「あっ!ああっ!!」

すぐに我に返り慌てて自分もザブザブと水の中に入り子供を救い上げようとする。

だが、彼女が水の中から救い上げたのは千切れかけた腕と引裂けた腹や半分つぶれた顔のさっきまでの我が子ではなく、そうなる前の元の姿の健やかな子供だった。

「神様!、ああ、神様!感謝します、感謝します」

母親は泣いた。

ついうっかり目を離したすきに裏山の崖から転落するという事故にあわせてしまった我が子が死ねば自分も死んでしまうと思い詰めるほど追い込まれていたのだ。

私は新たに水を処方した。

子供がトラウマにならないように、けれどその危険を忘れないように、(忘却の泉)の水をほんの一滴、(知恵の泉)の水を数滴と、その他神々の恩恵を幾つも詰合せて。


 彼らがやって来たのは4つの箱庭世界の中で一番平和かもしれない牧歌的な世界。

前世の私が生まれたその世界でも、私が両親を失ったような災害もあるし、子供が重傷を負ったような事故もある。

母親にも水を処方する。

子育てに怯えないように、強い母であるように。


 来たばかりの時は子供の姿の私に驚く人々も、治療が終わる頃には子供だという不安も侮りも無くなって帰って行く。

でも、早く大人になりたいな~と思う。

まだまだ、『大人の巫女様は?』と聞く人の多い事。

ここは、私一人だってば!

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