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君は誰?

 鼻の奥に火薬がしみる。無意識に舌で喉の奥を擦ってしまうその臭いは、かき氷の頭痛や蝉の声のような、不快をもって癒されるノスタルジーを帯びた夏の風物詩のひとつだ。

「打ち上げもうないのー?」

無言で打ち上げ花火を担当していた野口くんが首を横に振る。

 七組メンツで花火をやろうと言い出したのは結姫だ。高校二年の夏の思い出をつくるため、クラスの半数近い十八人が参加した。日暮れの夏の河原はなんだか不思議な魔力があるようで、皆リミッターを外して大いに騒いだ。途中、結姫が用意した花火では足りないとなって小太郎と野口くんと奏太が特大花火を買いに行ったくらいだ。しかし、嵐のあとの静けさというやつで、今は静まり返っていて奏太は芝上でアスリープ。小太郎と久地さんは川沿いで無言でバドミントンをしていて、慎一朗は岳や彰たち五人に人気アイドルグループのプロデューサーと下の名前が同じだと自慢している。野口くんと結姫は残りのロケット花火がないか探しており、鞠たちは女五人で恋ばな中。秀吉と可奈子はふたりで線香花火。できてんのかな。

 ともあれ、十八人で花火なんて。今日は良い一日だった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 読ませていただきました。 一度読んだだけではわからなかったのですが・・・こういうタイプの小説好きです。 これからも楽しみにしてます
[一言] 茄子と、もひろさん はじめまして。くろねこという者です。 初めて読んだときどの辺が怖いのかわからなかったけれど、ポイントが隠されていておもしろかったです。 短い中に凝縮されていてすごく良い…
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