甘くも苦くも儚くも切なくもないバレンタイン
はぁ…
ついに1年間で最も辛い日がやってきてしまった。
そう、モテる男には最高の日である『バレンタイン』だ。
さて、このうざったい日をどうやって過ごすか…
憂鬱な気持ちで学校に向かった。
~~
やはり、この日の学校は異常な空気だ。
女子はテンションが異常に高いし、男子はいつになくソワソワしている。
そして、目立つ男子は目立たない男子を必死に馬鹿にして、自分が優位であるとアピールしようとする。
そんな、非常に不快な一日である。
そう、そんな日は非常にイラつく。イライラする。最高に不快だ。
何がバレンタインだ。ふざけんな。人を馬鹿にするのもいい加減にしろ。
そんな事を考え、さっさと帰ろうと思っていたときだった。
「あ、ちょっと蒼河?」
「何ですか?」
「放課後残ってくれる?」
「断る」
「!?ど、どうして!?」
「だってさ、お前友達とそうやって男子を騙して馬鹿にしてたじゃん」
「あ、あれは違うの!」
「違くねーよ。俺にもそれやる気だったんじゃないの?断ります。」
「ま、待って!」
「いやです。俺もう授業終わったし帰ります。」
「あ…」
~~
「おい!一緒に帰ろうぜ!」
「いいよ」
正直今の生活も悪くない。だけど人を、誰かを好きにはなれない。それが結局人を傷つける事になってしまうから。
「いや、でもありがとな。俺アイツにいやな目に会ったからさ」
「気にしなくて良いよ」
「じゃ、俺はこっちだから」
「じゃあな」
~~
人を好きになれるはずが無い。なれるわけがない。好きだと思ったのは…
一人だけだ。