第2章〜歩〜
今章まで紹介となります。
深夜の古ぼけた商店街は、人どころか灯りすらもない。
真っ暗の中を、月明かりだけで俺と水色たち計5人は並んで歩く。
―――数分前
「お前らなぁ・・・今何時だと思ってんだよ」
光と草原の草を混ぜて色をつけたような草色の髪を1つにまとめて後ろにたらしている佐祐は、腕を組んで笑みを浮かべた。
笑みを浮かべているがそれは嬉しい、という感情とは別もののようだ。その証拠に額にはうっすら浮かび上がっている青筋。
髪と同じ色の瞳には、にこにこ笑っている水色と鈴音と苦笑いを浮かべている俺の姿が映っている。
「もー良ちゃんと同じこと言う――っ!!」
頬を膨らませて鈴音が佐祐を上目でにらむ。それを見下ろすように佐祐も鈴音を見る。
こんなこと考えている場合じゃないとも思うが、この2人が一緒にいるとそこだけ神秘のベールに包まれているような感じがする。
鈴音同様佐祐も綺麗な容姿をしているし、長い髪の手入れは欠かさない。今はため息を出しているその口から発せられる声は、低くよく通る澄んだ声だ。
「ってか常識ってもんをなぁ・・・」
「何やってんのよあんたら・・・」
ふいに佐祐の後ろから佐祐のより若干高い声が響いた。
「あ、夏澄ちゃんやっほー。あっそぼ〜」
闇夜に映えるオレンジ色の髪を佐祐のより高く結い、灰空色の目は今は呆れ顔をつくっている。
親父たちが死んだ原因である飛行機墜落事故の唯一の生還者であり、野生そのものの生活をしていたこともある。
殺人屋をしていたこともあって、俺らの中で1番黒い過去をもっている奴だ。
「遊ぶって・・・どこで」
「いつもんとこーっ!」
鈴音と水色が声をそろえて言う。それを制するように口元に人差し指を持っていって、夏澄は靴を履いた。
「別にいいけど。どうせ暇してたとこだし」
佐祐はどうする?と夏澄が佐祐を見上げる。佐祐は少しだけ口を尖らせてから、目をそらせて言った。
「・・・夏澄がいくんなら俺も行く」
――――というわけで今に至っている。
鈴音は水色とひっついてバカップル発揮してるし、佐祐は夏澄にひっついて離れない。
・・・俺だけ1人ものではないですか。
深夜なので誰も口を開かずに歩くから、風の音が耳に心地よく響く。
不ぞろいに聞こえる5人分の足音。
時々雲で月が隠れるたびに
一瞬だけの闇夜が生まれる。
次章から話が大きく動き出します。
小分けにしてしまってすいません。次章から気をつけます。
ここまで読んでくださってありがとうございます。よろしければ次章もお付き合いください。
あなたさえよければまた。三沢でした。