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死んだら猫った!  作者: 青藍蒼
猫の暮らしも楽じゃない
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16.来訪者




嗅ぎ慣れた匂いと、感触にパチリと目を開ける。


『ありぃ? なして、ここに?』


丸いかごの中にビーズクッションのような触り心地のクッションが詰められたここが想良に与えられた寝床だ。

毎日、甘い香りの香水がふってあるようで、ここはとても良い匂いがする。


甘い甘い花の香り。

フィオ―レからする匂いと似ていてここは心地が良い。


(もう、ひと眠りぃ……)


『って、違う!』


(なんで、ここに! 俺は料理人を探しに厨房で見張ってたはずなのに!!)


ぴょんとかごから飛び出す。

窓から入ってくる陽の高さからいってあまり時間は経っていないだろう。多く見積もっても二時間、少なければ三十分程度ぐらいの時間だろう。


(つっても、時計がこの家の中にはないから正確な時間わかんないんだけど、ね)


この家には時計がない。それどころか、街でもそれらしいものはみなかった。

街では時間を知らせるために時々鐘の音がしたが、ここではそれもない。


『時計がないのって不便。ケータイ欲しい。ゲームしたい、って、これも違う、違う』


(今は、一体どうやって料理人を捕まえるかを考えないといけないんだった。どれだけ時間経ってるか知んないけど、もうそろそろ苦痛のあの時間だろうし)


食事の時間となると、どこで何をしていてもエクラがやって来て首をガッと掴まれ、その瞬間「ああ、食事ね」と思うようになっていた。


(いきなり毎回掴まれるからすっげぇビビるんだよね、メイドさん気配ないし)


ちょっと開けられたドアから出る。


(あ、そういやシャルロットはどこだろう? あの時、フィオ―レさんを見た気がするし、一緒にどっか行ったのかも)


探すべきかとも思ったが、何かあるとくわえようとするのを思い出して想良は一人で料理人を探すことにした。


(付いて来ようとするのを拒むのには骨がいるけど、居ないなら無理に探す必要はまったくないもんね)






想良の部屋から厨房には少し距離がある。

人間の姿ならそんなに感じないのだろうけれど、猫の足だと必死に動かさないと人と同じスピードにならない。

必死に体を動かすというのは、めんどくさがりには辛い仕事だ。


家は三階建てで、想良の部屋は二階にある。

フィオ―レとエクラは三階に部屋があるようだがそちらには行ったことがないというより、エクラに行かせて貰えていない。シャルロットと一緒に探検していても、三階の階段に足を掛けた瞬間、階段からひょいっと引き剥がされた。


(シャルロットは良くてなんで、俺が駄目なわけ? 不公平くないか? 性別差別とか、いじめ反対!)


下心があるのは棚に上げて憤る想良であった。




下の階に下るとすぐに、ホールが広がっている。大きな玄関を出ればすぐに、外だ。


(今回は厨房なので右手のほうに曲がるー、俺ー)


食卓のある部屋の隣が厨房である。

一々、運ぶなんてご苦労なことだ。日本ならキッチンでそのまま食べるのに。


『うやぁ? なんか、外騒がしいんでない?』


右に曲がり切ろうとしたところで、バンと勢いよく開かれた。


見ると、扉の外には子供が居た。金髪に青い目、フィオ―レを小さくして幻想的な部分を一切取り払ったらこんな感じになりそうな女の子だ。


(七歳ぐらい?)


「きゃああああああっ、猫さんだわぁあっ! ククも欲しいですのぉー」


ダダダと淑女にあるまじき走り方をした子供はそのまま想良をぎゅぅっと人形でも抱きしめるかのように、抱きしめる。


『ぎょへっ!!!!!!!!!』


「やあん、可愛いー」


抱きしめられ、振り回される。

どうしようもない呼吸の苦しさに想良は子供から離れようともがいた。


『め、目が廻るー、離れーろー、爪立てんぞぉおっー』


想良は女性にのみ優しい紳士である。子供も女の子ではあるが、生命の危機を感じた場合は女子供関係ない。


(敵は敵!!)


爪を出した。



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