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死んだら猫った!  作者: 青藍蒼
猫の暮らしも楽じゃない
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15.見えない影がうろちょろり2




不意に、思った。


(そういや、猫なのになんでシャルロットの言葉わかんないんだろ?)


人間とコミュニケーションできないのは仕方ないと、思う。猫が「ハァイ、俺想良っ!」なんていきなり喋ったら夢かなんかだと疑いたくなるのでそれはいい。


だが、シャルロットは同じく動物で、何やらあちらさんはこっちの言葉を理解している節がある。


(んー、他の生き物が喋ったの見たことないし、コイツもしくは俺が特別?)


「ぐぇえげ?」


(ないない)


この間抜けな鳴き声を持つ生き物が特別な訳ない。


(無駄なことは考えない。面倒ごとは知らんぷり、これ、鉄則)




がぷ。




『おいこら、何ひとの尻尾くわえてんだ、あーん? 喰うつもりなら容赦しねぇぞ』


爪をキラリと光らせる。


「ぐ、ぐげぇ」


シャルロットは「違う」と言いたげに首を振る。


『じゃあ、なんだよー、ぶぅぶぅ』


「ぐえ、ぐえ」


翼をバサバサと動かすが、理解できない。必死にやられるほど理解できない。


『さっぱり、ぽん』


(わからないことはわからない。深くは知らない、考えない、これ鉄則)


『あ、俺超名案思いついた。厨房見張ろっと』


シャルロットが何を言いたいのかを理解するのをやめ、厨房へ向かう。ずっとあそこに居れば絶対に会えるはずだ。


「げげぐわぁああ」


切なく鳴かれても、理解できないものはできない。


『置いてくぞー』


だから、シャルロットの赤い目に二人以外の人物が映ったなんて想良に理解できるわけなかった。

できたら、きちんとその姿を見ることができただろうというのは、言っても意味の無い話である。






☆★☆★☆★






『あーあー、こちら厨房。こちら厨房。えー、現在、異常なし』


誰に知らせるわけでもないが、言ってみる。


『間もなく昼の準備のために敵はやって来ると思われるので、絶対に目を離さないように!』


「ぐげっ」


厨房の入り口で猫と鳥もどきはしゃんと背筋を伸ばし、あの黒い謎の液体を作る料理人を待つ。






五分経過――猫は小さく丸まって寝息を立てていた。


『ぐぅ』


「ぐげ」


くちばしを使ってシャルロットは想良を起こす。


『ふへ、っ、寝てない、俺、寝てない』


ぶるぶると首を振ってしゃんと背筋を伸ばす。




『くわぁあ』


大きなあくびを一つこぼす。口をもぐもぐさせながら、想良は青い目をきょろきょろとせわしなく動かす。


『シャルロットー、そっちなんか居ないわけぇ?』


想良は人を待たせることはしても、待つことは大嫌いだった。

暇なのが苦手なのだ。


どんなに重要な場面だろうが、どんな場所だろうと一定以上のめんどくさいことや暇なことがあると寝る。

まさしく、駄目人間の鏡である。


前回の神殿の時もそうだった。十分した時点で興味が完全にあの場所からなくなり、ふかふかクッションの誘惑に屈した。


『料理人が美人さんじゃなくても、今現れてくれさえしたら許すかもぉ』


冷たい床の上をごろごろと転がる。

このまま汚れたらエクラと風呂で一線交えることになるのだが、頭の中からそれは削除されている。


『あー、あー、あー、つまんないー』


「ぐげげえ」


くちばしで体をがばっと抑えられる――風呂決定の瞬間。


『なんだよ、なんか一芸披露でもしてくれんのかよぉ、暇なんだよ、暇俺嫌いー』


羽根で覆われている翼を見る。


(抜いてたらいい時間つぶしになるんじゃないだろうか、あれ。でも、周りぬるっぬるだしなー)


「ぐええ」


一歩、身の危険を感じたのかシャルロットが下がる。
















『た、い、く、つ』


眠たいのを我慢して待つが、目蓋がしゅぱしゅぱして徐々に、起きていられなくなる。


すぐ近くなのに、かすかな足音が聞こえた。足に羽根でも付いているみたいに軽い足音。


「ここで寝てはいけませんよ」


『ひゃぁい?』


髪の色が見えたけれど、赤色なのか金色なのか違うのかわからない。

優しすぎる声だったので、フィオ―レだろうと決める。


抱きしめられた感覚が少し違う気がしたけれど、甘い匂いがした。



はい、新キャラ! 顔はそのうち見えるよ。うん。

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