09.神殿、神官、美人が居ない!2(side:フィオ―レ)
書類がほとんど書き終わった時だった。
「今、なんとおっしゃいましたの?」
フィオ―レは戸惑いを隠すこともできずに、目を瞬かせながら若い神官に問うた。
神官長のお墨付きも貰い、書類の申請は滞りなく進んでいた。
あとは、書き終わった書類を提出し、不備の修正等があるだけのはずだった。
「は、はい、ですから、……申請ができないのです」
言葉の意味が理解できなかった。
想良は確かに珍しい白色一色の猫だが、登録をされていないと言われたのだ。ならば、発見者が所有権を求めることは可能なわけで拒否される理由がない。
「やはり、どなたかの猫でしたの?」
「いいえ、その……違うのですが……」
若い神官は視線を様々なところへ動かしながら、しどろもどろに言葉を紡いでいく。
「ならば、一体理由は何なのですか? そのように時間を無駄にとられると、こちらとしても対応を考えさせていただきますよ」
エクラの強い口調に若い神官は俯く。
「わ、たしもよくわからないのです。上から……書類を受け取るなとそれだけ言われまして……」
気が相当弱いのだろう、もごもごと尻つぼみになっていく。
「それは神官長様がおっしゃったのでしょうか?」
「い、いいえ。……他の神官の方が……の方から言われたと」
「誰ですって? 聞こえませんでしたが?」
「ヒっ」と、エクラが口を開くと若い神官は小さな悲鳴を上げる。
「で、ですから……」
周りをきょろきょろと窺った後、さっきより少しばかり大きな声で若い神官は言った。
「リュズギャル様付きのからと……」
フィオ―レとエクラは顔を見合わせる。
リュズギャルと言えば風の神である。ここは、四神を祀る神殿ではあるが特別どの神を贔屓するわけでもなく、どちからと言えば神がらみの事務的な処理を行ってくれるための場所だ。
更に言うなら、神の傍付きといったものの名前が出てくることなどあってはならなかった。
じ、時間の関係上短くなっております。すみません。