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眠り姫の末裔  作者: 剣持真尋


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大精霊に抱かれて

 事態の深刻さにジルベール・ボドロギは魔法陣から祖父が契約した精霊を喚び出した。普段自分が使役している火の元素霊よりも上位の存在である彼女は、人間界へ顕現するのも久方ぶりだろう。

「召喚に応じてもらえたことを感謝する。レミリア。俺はアンリの孫、ジルベール」

 彼の左手には幽契の指輪が嵌められている。

 一族を加護するレミリアの化身は、提供された魔力を消費して外見を成した。現れた美少女は床に描かれた円を踏み越えてジルベールに近寄って、上目遣いで顔を観察してくる。

「ワリドの坊やから、息子に要請されたら生命の危機だから、力を分け与えてほしいと切に願われたものだから。私に望む役割を答えて」

 十五年前、マレシャル王国に宣戦布告したヴォルケ王国。その敵国に魂を売り渡しているメルテンス公爵によって、密かに抹殺命令が下されているドルエ伯爵の令嬢の守護を命じられて、大精霊のレミリアは素直に従った。

 三女コラリー・キャンデロロの護衛二人を強化する。

 ジルベールとアメリ・コンデは鉄の武器を防ぐ膜を纏い、同時に多少の魔法耐性も付与される。不意打ちの一撃程度なら相殺できるため、危機があれば身を挺して依頼人を庇うことも可能だ。

「あなたにも、加護を」レミリアが抱擁し、優しい輝きが令嬢を包み込む。

 コラリーは一時的だが不死身へと肉体が進化した。十四夜が過ぎるまで、不死性を授ける大精霊レミリアが消失して存在が退化するか、守り手の魔法使いが全滅して魔力供給が途絶え、契約が破棄されない限りは生存が確定した。

 十五年の寿命を代償に、少女は限られた安堵を得た。

 敵国と癒着する反逆者、メルテンス公爵を始末すればドルエ伯爵への妨害は衰退すると予測し、陣営は逆襲を開始する。

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