カジノのルーレットが絶対当たらない設定だったので、確率を100%に書き換えました
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泥沼化した盗賊団を放置し、俺たちはカジノ都市「ベガス」に到着した。 そこは、夜だというのに昼間よりも明るかった。 魔導ネオンが煌めき、欲望と歓声が渦巻く、この世界で最も金が動く街。
「うぅ……空気が悪いです。街全体から『搾取』のエラーログが見えます……」
聖女エリアが口元を押さえている。 彼女の「悪探知」スキルにとって、この街は悪臭漂うゴミ捨て場のようなものらしい。
「搾取、ですか? 気に入らないなら街ごと更地にしましょうか?」 「リリス、お前は一旦『破壊』という選択肢を捨てろ。……とりあえず、一番デカいカジノに行くぞ」
俺たちは街の中央に聳え立つ、黄金のビル「ロイヤル・カジノ」へと足を踏み入れた。
◇
店内は熱気に包まれていた。 スロットマシンの電子音、ルーレットの回る音、そして客たちの悲鳴と罵声。
「くそっ! また外れだ!」 「おかしいだろ! なんで赤が20回連続で続くんだよ!」
負けている客が圧倒的に多い。 俺はフロアの中央にある、巨大なルーレット台に目を付けた。 そこには人だかりができており、一人の貴族風の男が顔を真っ赤にしてチップを積み上げていた。
「次こそは『黒の36』だ! 全財産を賭ける!」
男が叫ぶ。 ディーラーが冷ややかな笑みを浮かべ、球を投げ入れる。 カラカラカラ……。 球は勢いよく回り、減速し――そして『黒の36』のポケットに入ろうとした瞬間。
フワッ。
不自然な軌道を描いて弾かれ、隣の『赤の1』に落ちた。
「あ、あああ……っ! 無一文だぁぁぁ!」
男が崩れ落ちる。 俺は眉をひそめ、管理者コンソールを展開した。
<Object: Roulette_Table_VIP>
[Function: Anti_Win_System]
If (Bet_Amount > 1000) -> Activate_Magnet(Repel)
Win_Rate: 0.0001% (Fixed)
「……やっぱりな。完全に黒だ」
高額ベットがあった瞬間、磁力で球を弾くプログラムが組まれている。 これでは客が勝てるわけがない。
「ひどい……! 神聖な勝負の場を汚すなんて!」 エリアが憤慨する。 俺はニヤリと笑った。
「エリア、金貨を貸せ。俺が少し『調整』してやる」 「えっ? は、はい……なけなしの金貨1枚ですが」
俺はエリアから受け取った金貨を握り、ルーレットの席に座った。
「おや、お客さん。遊んでいかれますか?」 ディーラーが侮蔑の色を隠そうともせずに笑う。カモが来たと思っている顔だ。
「ああ。……『緑の0(ジャックポット)』に一点賭けだ」
俺は金貨を置いた。 倍率は36倍。だが、この台の設定では絶対に入らない場所だ。
「フフッ、強気ですねぇ。では……ノーモア・ベット!」
球が投げ入れられる。 俺は指先で空中のコンソールを弾いた。
Target: Roulette_Table_VIP Delete Function: Anti_Win_System Add Function: Absolute_Guide (Target: 0)
Enter.
カラカラ……。 球が減速する。 ディーラーがテーブルの下でスイッチ(磁力操作)を押す動きが見えた。 だが、球は弾かれるどころか、まるで意思を持ったかのように急カーブを描き――
カコンッ。
吸い込まれるように『緑の0』に落ちた。
「なっ……!?」 ディーラーの目が飛び出る。
「おっと、当たりだな」 「ば、馬鹿な! 磁力は作動して……いや、まさか故障か!?」
騒然となる周囲。 俺は獲得した36枚の金貨を、そのまま全て『緑の0』に積み上げた(コロガシ)。
「もう一回だ。……外す気がしないんでね」 「ふ、ふざけるな! 二度も続くわけがない!」
ディーラーが力任せに球を投げる。 だが結果は――
カコンッ。(緑の0)
「……は?」
「次も頼む」
カコンッ。(緑の0) カコンッ。(緑の0)
5回連続ジャックポット。 配当金は天文学的な数字になり、チップの山がテーブルに収まりきらず崩れ落ちた。
「あ、ありえない! イカサマだ! こんな確率はありえないぞ!」 ディーラーが絶叫する。 俺は冷ややかに言い放った。
「イカサマ? 俺はただ『確率を収束』させただけだ。お前らが今まで散々イカサマで吸い上げた分を、今ここで吐き出させたんだよ」
その時、横で見ていたエリアが震える手でチップの山を触った。
「こ、これ……全部私たちのものですか……?」 「ああ、山分けだ」 「神よ……! ギャンブルとは、なんと素晴らしい『祈り』の形なのでしょう!」
聖女の目が「¥」マーク(あるいは金貨マーク)に変わった。 まずい、聖女がギャンブルの沼に落ちた。
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