聖女の書いたラブレターが、重すぎて物理的に質量を持ちました
作品評価&ブックマークをお願いします!
俺がアイテムデータとしての「便箋」を生成し、送信元情報を改竄する。 その横で、聖女エリアは鬼気迫る表情でペンを走らせていた。
「うぅ……愛……情熱……神への帰依……自己犠牲……」
ブツブツと呟きながら、羊皮紙に文字を刻み込んでいく。 数分後。
「で、できました……」
エリアが震える手で便箋を差し出した。 俺はそれを受け取ろうとして――
ズシッ。
「……ん?」
重い。 たかが紙一枚のはずなのに、鉄板でも持っているかのような重量感がある。 よく見ると、便箋全体が淡い金色の光を放ち、書かれた文字が物理的に浮き上がっていた。
『愛しき貴方へ。 貴方の魂は私の祭壇。 貴方の鼓動は私の賛美歌。 たとえ肉体が滅びようとも、この愛は永遠の鎖となって貴方を縛り続けるでしょう……』
「……エリア。これ、ラブレターっていうか『呪いの契約書』じゃないか?」 「だ、だって! 教会で教わった『最高の愛』はこれくらい重いんです!」
どうやら聖女基準の愛は、一般人には致死量の重さ(物理・精神両面で)らしい。 だが、書き直している時間はない。8時が迫っている。
「ええい、ままよ! 行くぞ!」
俺は「激重ラブレター」を抱え、食堂の隅にいるガトの元へ走った。 ガトは深いため息をついている。
「はぁ……今日も来ないのか……」 「待たせたな! 隣町から手紙だ!」
俺は手紙をテーブルに叩きつけた。 ドゴォォォン!! テーブルが重みで軋む音がする。
「えっ……手紙? こ、こんなに重厚な……?」
ガトがおずおずと封を開ける。 中から金色の光が溢れ出し、食堂全体を照らした。
「こ、これは……ミランダ(パン屋の娘)からの言葉か……?」
ガトが手紙を読み始める。 その瞳孔が開いていく。
「『肉体が滅びようとも』……『永遠の鎖』……」
ゴゴゴゴゴ……。 ガトの身体から、凄まじいオーラが噴き出した。 愛の重さに共鳴し、彼のステータスが異常上昇していく。
[Warning: NPC_Mutation]
Name: Gato
State: Love_Berserk (Yandere_Mode)
ATK: x500
Status: Awakening
「うおおおおおッ!! ミランダァァァッ!! 僕もだ! 僕も君を永遠に縛り上げるぞォォォッ!!」
ガトが咆哮した。 聖女の文章が重すぎて、彼の中の何かが弾け飛んだらしい。 ただの村人Cだった凡人のスペックしかないNPCに、聖女クラスの情念データを流し込んだ結果、処理落ちを起こして暴走してしまったのだ。
「主様! あいつ、バグって暴れ始めました!」 「エリアの文章が難解すぎたんだよ! 処理しきれてねえ!」 「私のせいですかぁ!? 高尚な愛だと言ってください!」
ガトが白目を剥きながら、涎を垂らしてこちらへ突っ込んでくる。
「愛イィィ! 鎖デ縛ッテェェェ!!」
覚醒したガトが、衝撃波と共に突っ込んでくる。 俺は即座にリリスに指示を出した。
「リリス! 鎮圧だ! ただし絶対に殺すなよ! 気絶させて『手紙を受け取った状態』で固定しろ!」 「少々手荒になりますが、構いませんね?」
リリスが構え、錯乱する男の前に立ち塞がった。
どんどん更新していきますので作品評価&ブックマークをお願いします!




