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知らない間に、魔王崇拝者の教祖になっていました

タワマン風洞窟の快適なソファで、俺が生成ジェネレートしたモーニングコーヒーを啜っていた時のことだ。  

敷地内に設置したセンサーが反応した。


[Alert: Intruders Detected]

Count: 50

Affiliation: Cult_of_Diabolos (Non-Hostile?)


「……なんだ? またモンスターか?」


 俺がモニター(空中に浮かべたウィンドウ)を確認すると、そこには黒いローブを纏った怪しい集団が映っていた。  彼らは俺の領地の境界線で立ち止まり、震えながら何かをブツブツと唱えている。


「主様、不法侵入者です。掃除(消去)してきますね」


 エプロン姿のリリスが、笑顔で包丁(攻撃力999)を構える。  今日の彼女は「新妻モード」らしい。


「待て。敵対反応が出てない。様子を見に行くぞ」


 俺たちが家の外に出ると、ローブの集団が一斉にこちらを向いた。  

そして先頭にいた老人――恐らくリーダー格――が、俺の顔を見るなり、目を見開いて叫んだ。


「おお……! その禍々しい魔力、そして隣に控えるは伝説の『銀の魔姫』様……! 間違いありませぬ!」


 ザッ!  五十人の男たちが、一糸乱れぬ動きで地面にひれ伏した(土下座)。


「我らは『ディアボロス教団』! ギルドに持ち込まれた『古の魔王の角』の波動を追い、馳せ参じました! 偉大なる新魔王様、どうか我らを下僕としてお使いください!」


「……は?」


 俺は眉をひそめた。  

どうやら先日換金した素材の中に、とんでもないレアアイテムが混ざっていたらしい。  

それを俺が持ち込んだ=俺が魔王、というロジックか。飛躍しすぎだろ。


「主様、こいつら頭の処理落ち(バグ)が激しいようです。やはりフォーマットした方が……」 「いや、待てよ」


 俺は彼らのステータスを鑑定した。


<Unit: Cultist_Worker>

Job: Dark_Mage

MP: High

Strength: Moderate

[Skill: Earth_Magic (Construct)]

[Loyalty: Blind_Faith (Movable)]

</Unit: Cultist_Worker>


……使える。  こいつら、土魔法が得意だ。しかも「盲信」状態だから、命令すれば何でも聞く。  今、領地開発で人手が足りないと思っていたところだ。


「おい、お前ら。俺の下僕になりたいんだな?」 「は、はいっ! 命すら捧げる覚悟です!」 「命はいらん。……労働力を提供しろ」


 俺は指をパチンと鳴らし、広大な荒れ地の一角を指さした。


「あそこの土地を整地して、トウモロコシ畑を作れ。魔法を使えば半日で終わるな? それが『試練』だ」


「お、おお……! 破壊の王が、我らに『創造』を命じるとは! なんと深遠なお考えか!」 「直ちに掛かりまする!!」


 教団員たちは感動の涙を流しながら、くわの代わりに杖を振り上げ、猛烈な勢いで畑を耕し始めた。  土魔法で岩を砕き、水魔法で土を潤す。素晴らしい効率だ。


「……チョロいな」 「主様、あんな低解像度の男たちを庭に入れてよろしいのですか?」


「いいんだよ。NPC(労働力)は使いようだ。リリス、今日のおやつは人数分追加な」


 こうして、俺の領地に「黒装束の農夫集団」というシュールな光景が生まれたのだった。

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