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魔法学校で魔女と姿を入れ替えられて無実の罪で追放された私ですが、突然現れたドラゴンを下僕に従えて無双できました  作者: 秋名はる
第一章

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主従の契約

あまりにも唐突な申し出に、フローレンスは目をぱちくりとさせたまま、固まってしまった。


「わ、私が……あなたと?」


「嫌かな?」


「い、いえ……そんなことはないけど」


思わず口ごもりながらも、フローレンスは首を横に振った。


彼女にとっては、願ってもないことのはずだった。

現在の彼女は王都を脱出した逃亡者であり、しかも魔力の低い魔法使い。今後、生き延びていくには――目の前にいる黒竜・ニグレスの助けは、まさに天からの贈り物のような存在だった。


「ありがとう。実は……私も、あなたがそばにいてくれたら、とても心強いと思ってたの。

だけど……本当に、私なんかでいいのかしら?」


フローレンスは不安を隠せずに尋ねた。


「言っただろう。君は今の姿でいるときが、いちばん完璧なんだ」


ニグレスは真っ直ぐに言い切った。


「失った魔宝石の力以上のものを、俺が君に送るよ。……任せておいて」


そう言いながら、彼は情熱的な視線を向けてくる。そのまっすぐな眼差しに、フローレンスは思わず顔を赤らめた。


 


「――では、契約を行おう」


ニグレスの声が一転して真剣な響きを帯びる。


「フローレンス。魔宝石が付いている方の手を出して」


言われるままに、彼女は右手を差し出した。その掌に、ニグレスの細くしなやかな手が、そっと重なる。


 


「契約は魂の深奥を結ぶもの……汝が我を識り、我が名を刻むならば、魔の理に従い、この力を委ねん。」


低く呟かれた契約の呪文が空気を震わせるように響く。


手が離れると同時に、フローレンスの掌に埋め込まれていた魔宝石が、鮮やかに変化していた。


それはもともと、小指の先ほどしかなかった淡い紫の石だった。

けれど今や、コインほどの大きさを持ち、深く透き通る濃い紫色へとその姿を変えていた。


 


「……っ、これ……!」


フローレンスは息を呑み、目を見開いた。


歴代の大魔導士たちでさえ、これほど大きな魔宝石を誇った者がいたかどうか……

その輝きは、目に映るだけで魔力の奔流を肌で感じるほどだった。


彼女が呆然としたままその石をしげしげと眺めていると、隣でニグレスがにこやかに笑った。


「これで、君の魔力もだいぶ取り戻せたみたいだね」


「だいぶ、どころじゃないわ……。こんな力、私に扱えるかしら……?

私、闇魔法なんて、まだ何も知らないのに……」


不安げに告げるフローレンスに、ニグレスは自信満々の笑みを浮かべた。


「君ならきっと大丈夫さ。僕がついている。

それにさっき、この屋敷を歩いていたときに古い書庫をみつけたんだ。

この屋敷は今は空き家みたいだけれど、以前は魔法使いが住んでいたみたいだよ。難しそうな本がたくさんあった。」


「書庫……!」


「闇魔術の知識が記された書物も残ってるかもしれない。

それに……君の元の姿に戻るための“手がかり”も、あるかもしれないね」


その言葉に、フローレンスの瞳がぱっと輝いた。


「助かるわ……! あとで一緒に探してみましょう。

闇魔術の書に、きっとあの入れ替わりの魔法を解く術が――残ってるかもしれないもの!」


 


静かに、けれど確かに、フローレンスの中に力が灯る。

そして彼女の傍らには、黒き竜が静かに寄り添っていた。

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