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魔法学校で魔女と姿を入れ替えられて無実の罪で追放された私ですが、突然現れたドラゴンを下僕に従えて無双できました  作者: 秋名はる
第二章

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決勝戦前夜

決勝戦は翌週に行われることになった。

進出する二名の選手は、それまでの間に備えを整え、心身のコンディションを万全にすることになっていた。


前日の劇的な勝利を経て、フローレンスたちは久々に授業に顔を出した。扉を開けた途端、教室内は大きな歓声に包まれた。


「ヴィオレッタ様!」

「竜使いの大魔導師様!」

「一度でもあなたの力を疑った私たちを、どうかお許しください!」

「黒竜様に軽口を叩いた愚か者をお許しください……!」


「い、いいのよ。わかってもらえれば」


フローレンスは戸惑いながらも、その歓迎を受け入れた。これまでの冷遇が嘘のような、手のひら返しとも言える反応だったが、それでも素直に嬉しかった。


「この調子なら決勝戦も楽勝ですね!」

「相手は光属性寮のエース、フローレンスらしいけど」

「でも、あの子じゃさすがに勝ち目ないでしょ!」


その名前を聞いた瞬間、フローレンスの心がきゅっと強張る。


――そう、決勝戦の相手は“フローレンス”。

だがそれは、彼女に成り代わっている《偽りのヴィオレッタ》その人だった。


「あの子、ラファエル大魔導師様にちょっと気に入られたからって、調子に乗っちゃって」

「ヴィオレッタ様がいない間、本当に好き放題してましたよ」

「いっそニグレス様の炎で焼き払っちゃってください!」


心ない言葉が飛び交う中、フローレンスはただ黙ってそれを聞いていた。

そして、自分自身と対峙しなければならない運命に、内心は穏やかではなかった。


学園の雰囲気は、今や完全に変わっていた。


「……大丈夫かい?」


小声で尋ねたのはニグレスだった。


「も、もちろんよ。

私は――あの子が真実を語るまで、戦うつもりよ」


その瞳には、確かな決意が宿っていた。


「いつか全てが明るみになれば、みんなもきっとわかってくれる……」


* * *


午後。フローレンスは空き時間を使って、図書室にこもって課題に取り組んでいた。

一方、手持ち無沙汰になったニグレスは、気晴らしに中庭を歩いていた。


人の少ない中庭をぶらついていると、ふいに背後から声がかけられる。


「こんにちは。あなたがニグレスね?」


振り返ると、そこにいたのは明るい金色のショートヘアを持つ、見覚えのある少女だった。


「……ヴィオレッタ」


ニグレスが名を呼ぶと、少女はにっこりと笑った。


「その様子だと、あなたも全部知っているのね。」


「今すぐに彼女に体を返すんだ」


ニグレスは威圧的に言い放つが、ヴィオレッタは余裕そうな笑みを崩さなかった。


「そう簡単には行かないわ。

それより教えてくれない?あなたほどの力ある魔獣が、どうしてあの平凡な小娘なんかに従う気になったのかしら?」


ヴィオレッタは心の底から疑問に思っていた。元の自分の姿に擦り寄ってくるならまだしも、あんな世間知らずなフローレンスなんかに、ドラゴンが付き従っていることが到底理解できないでいた。


「君には関係のないことだろ。

 それよりも、そうやって余裕そうにしていられるのも今のうちだ。」


凄むニグレスに、ヴィオレッタは悪戯っぽく笑う。


「あら?私にそんな態度を取っていいの?私は今、“フローレンス”として生きているのよ。

大事なこの体がどうなってもいいのかしら?」


その言葉に、ニグレスは眉を顰めて言葉を失った。


「_この子がとっても大事そうね。

フローレンスにドラゴンの知り合いがいるなんて知らなかったわ。」


ヴィオレッタは意味深に笑いながら、ゆらりと歩み寄ってくる。

その様子に、ニグレスは思わず一歩だけ後退した。


「私は案外この姿、気に入っているの。だから、そう簡単には返してあげない。

でも、そうね――交渉の余地はあるかもしれない」


「……何が望みだ」


「それは、あなたがよく考えて?

この体を返す代わりに、あなたは私に――何を差し出してくれるのかしら?」


「僕が……?」


その言葉を残して、ヴィオレッタは妖艶に笑いながら中庭を後にした。

そこに残されたニグレスは、しばらく立ち尽くしていた。

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