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魔法学校で魔女と姿を入れ替えられて無実の罪で追放された私ですが、突然現れたドラゴンを下僕に従えて無双できました  作者: 秋名はる
第二章

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光闇属性の合同授業

 この日は光属性寮との合同授業が予定されていた。


 基本的に、各属性の生徒は自分の属性に関連する専門授業を受けるが、魔道士としての心得や魔法石の扱いといった基礎的な知識は、すべての生徒が共通科目として学ぶ。そして今回のように、複数の属性が合同で行う授業も存在する。


 たとえば水属性と土属性。これらの組み合わせでは、水と土を用いた園芸や農業関連の科目が行われることがある。こうした合同授業では、共通の目的を持つ異なる属性の力が交わり、より実践的な応用を学ぶことができるのだ。


 さらに、学年が進むにつれて、相反する属性――たとえば今回のような光と闇――の生徒たちが合同で授業を受けることも増えてくる。これは能力を競わせ、切磋琢磨することで魔力を高めることが狙いだ。戦闘訓練ほど過酷なものではないが、属性ごとの有利・不利を体験することで得られる学びは大きい。


 今回の光と闇の合同授業は、一年の中でも数えるほどしかない特別なものであった。そして、皮肉にもフローレンスはかつて光魔法見習いとしてこの授業を受けるはずだった。それが今や、闇魔法の生徒として参加することになるとは。


 そんな思いを胸に、教室の扉をくぐったときだった。


「ごきげんよう、ヴィオレッタ。もう授業には慣れたかしら?」


 背後から聞こえた、よく知る声。振り返れば、そこにはフローレンスそっくりの少女――そう、彼女の姿を奪った張本人であるヴィオレッタが立っていた。


「ま、まあまあね。あなたこそ、私の心配をしてる場合かしら?」


 フローレンスは、意識して挑発的に返す。


「私は万事順調よ。ほら、私って何でもそつなくこなせちゃうから」


 ヴィオレッタは相変わらず嫌味たっぷりに笑う。そんなやり取りを遮るように、教師の声が響いた。


「皆さん、注目してください。これから“小魔物の召喚”に挑戦してもらいます。教科書を開いてください」


 光が差し込む屋内活動用の広い教室。生徒たちはそれぞれ机の上の教科書を開き、指示に従って準備を整える。


「呪文は”我が召喚に応え(レスポンデ )姿を現せ(ヴィレド)”。地に手をかざし、魔法石に意識を集中させながら唱えてください。魔力の強さによって、召喚される魔物の種類や強さが異なります」


「今日は使役までは行いません。どんな魔物が呼び出されるかを確認しましょう」


 生徒たちは期待に目を輝かせ、次々と召喚の準備に入った。


「魔物の召喚だなんて、わくわくしちゃいますね」

 隣でミレーヌが小声で囁く。


「でもヴィオレッタ様は、すでに素敵な魔獣・二グレス様を従えておられるから、退屈じゃないかしら」


 たしかに、フローレンスには最強とも言える魔獣がすでにいる。けれどそれとは別に、自分が闇魔法見習いとして召喚したら何が現れるのかは興味があった。


「”我が召喚に応え(レスポンデ )姿を現せ(ヴィレド)”」


 各々が呪文を唱えるなか、後方で歓声が上がった。


「フローレンス様が、ハイグリフォンを召喚したわ!」

「めったに人前に姿を表さない高位の光魔獣よ……なんて美しい……」


 見上げれば、銀色に輝く羽を持つグリフォンがヴィオレッタの隣に静かに佇んでいた。フローレンスの姿を奪った彼女は、今や堂々と光属性の代表として称賛を浴びている。


 自分から奪った力を使用して好き勝手しているヴィオレッタに、悔しさを噛みしめるフローレンスだったが。気を取り直して自分を呪文を唱えようとしたとき、そのとき傍らにいた二グレスが思い出したように告げた。


「フィフィ、君はその呪文は唱えない方がいい」


「どうして?」


「君が唱えれば、まず君の第一契約魔獣である僕が最初に召喚される。その時、僕は元の姿――つまりドラゴンになる。教室内にあの姿で現れたら、大騒ぎになってしまうよ。」


「……それだけは避けなきゃね」


 フローレンスは苦笑いを浮かべて頷いた。


(今日は成績に関係ない授業だし、ここは大人しくしていよう)


 だが、静かに終わらせようとした矢先。


「あら、ヴィオレッタ。まだ一匹も召喚できないの?」


 グリフォンを伴ったヴィオレッタが、にやりと笑って近づいてきた。


「え、ええ。今日はちょっと調子が悪くて……」


「残念ね。このグリフォン、私に忠誠を誓ってるのよ。ねえ、あなたの使い魔。うちの子と勝負してみない?」


 挑発的な視線が二グレスに向けられる。だが当の本人は、むっとした様子で言い返した。


「鶏ごときが僕の相手になるわけないだろう」


 気高いグリフォンが、睨みをきかせて威圧してくる。だが、ニグレスは更に一歩踏み出して唸り声を上げた。


「失せろ、下等生物。僕と立ち向かいたいなら相手をしてやろうか。」


 その一言に、自信満々だったグリフォンの全身がビクリと震えた。彼の正体に気が付き恐怖を感じたのか、グリフォンは尻尾を巻いてあっという間に消え去ってしまった。


(グリフォンが……怯えて逃げた……?)


 ヴィオレッタは信じられないという顔で立ち尽くした。だがやがて唇を噛みしめて退散していった。


 無事に授業が終わったことに胸をなで下ろすフローレンスだったが、ふと横を見れば、二グレスは難しい表情で、去っていくヴィオレッタの背中をじっと見つめていた。


「二グレス、どうしたの?」


「いや……なんでもない」

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