Episode 1 夜明けの水平線
幾年そこ有ったのだろうか、石造りの巨大な門は生徒達を飲み込んでいく。傍の小屋の前で、剣を帯びた男が気だるげにあくびをしている。
ようやくあくびを噛み殺し、男は人だかりになっている学舎の方にふと目をやる。
(ふむ、今日は卒業試験の掲示日だったか。)
朝に剃り忘れた髭をひと撫でし、伸びをした。
~卒業試験の受験者と各試験内容の公示~
◎特別試験
任意
(断った場合剣術試験及び筆記試験とする。論文への変更も可とする)
◯ハルト・アレックス
自然保護区の調査
◯エドワード・ブルー
自然保護区の調査
◯アイリーン・キャンベル
商業区での店舗運営
◯リオ・グランド
自然保護区の調査
◯テスラ・アトムス
調査試験の荷車もしくは馬車の作成
※特例1 この試験にてこれまでの不足単位を認め、卒業とする
◯ロイド
自然保護区の調査
※特例2 本人の意思を尊重し、2年早い卒業試験の受験を認める。
◯ラカム・キャンベル
自然保護区の調査
以下
剣術試験
筆記試験
(論文への変更も可とする)
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「今年は、すごいことになってるな」
学舎の入り口にある掲示板に、張り出された内容に、登校して来た学生が、ほとんど足を止める。
「まあ、最高学年のラインナップがなぁ」
「おいみろよ、ロイドってあのロイドだよな」
「だれだ?ロイドって」
「おまえ一昨年の試験みてないのかよ」
このアカデミーと呼ばれる学校では、卒業を半年後に控えた学生に、それぞれに対応した試験が提示される。
10歳~15歳までの五年間を初級党とし、15歳~18歳までの3年間を上級党としている。
初級党では、語学、計算、哲学、運動、剣術、職業体験
上級党では、選択した専門分野、運動、剣術
アカデミーでの生活はこのようになっている。
がやがやと初級、上級と入り乱れた人混みが割れていく。
「今日も髭生えていたな、ランさん」
「そーゆーあんたもこの前剃りわすれて来たじゃない。」
「この人混みはなに?」リオが細い目を擦っている。
「相変わらず朝弱いね」
「リオあなた、忘れたの?今日は卒業試験の掲示日じゃない!」
リオが興味なさそうに
「あぁ、、」と呟く
群衆の視線が三人に集まる。
ハルトが息を吸い込む。
キーンコーンカンコーン
「!もう、そんな時間かよ!」
「やば、いかなきゃ」
チャイムの音がなり、それぞれが教室へと向かっていく。
「おかしいわね、まだそんな時間じゃないと思うけど」
「そりゃそうだろ?なあテスラ」
ハルトが目をやるとそこには、何かしらの装置をもったテスラがニヤリとしている。おそらくあれでチャイムの音をならしたのだろう。
「静かにみたいだろとおもってさ、」
「それはそうだけど、あんた」
いつもにまして情報量の多い朝に、突っ込み役のアイリーンはため息を吐く。
「それはそうとみてみろよアイリーン。君の試験はわかるけど、僕らの「自然保護区の調査」ってのは一体なんだ、?」
「さあ?リオなんか知ってる?」
「、、、さあ」
「っていうか、ちょっと!!ラカムの名前があるわ!どうゆうこと?」
「保護区の調査についてよくわからない今は、なにも言えないな」
ハルトは、リオの表情の変化に違和感を覚えたが、本物のチャイムがなり教室へと足を進めた。
第一話
設定等々これから少しずつ明かされて行きます。