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邂逅

「私にも兼平(「に組」)委員長や一本木(「ほ組」委員長)と同じものをくれ。金は言い値を払おう」

「はい、どうぞ! 10000p!」

「ふ……高級肉というわけか。代わりに大盛りにしろ!」

「払うんだね……」


 ――流石は玉桜君(「ろ組」委員長)だ。

 僕のぼったくり串(玉桜君限定)を躊躇わず頼むなんて!


 性格、お金への信念、そして……筋肉。


 相変わらずの(スケール)の大きさ。

 その場にいる――存在しているだけで感じる生命の強い息吹。

 そんな彼の在り方はどこか山を思わせる。


「たー君の言う通りにしなさい! そしてすいちゃんにもちょうだい!」 


 腰巾ちゃ――もとい「ろ組」副委員長の大地さんも一緒のようだ。

 彼女は彼女で相変わらずの子どもっぽさ。

 小柄過ぎて玉桜君に隠れてしまっているのか、声しか聞こえない。


 ……男女二人でお祭りを回る。

 ふむふむ。なるほど。

 ひょっとしてデートだろうか?


 それなら僕も僕たちの流儀を貫かなければならない。

 玉桜君に正義を執行(闇討ち)し、この世を正すのだ!


「たー君とすいちゃんはお客様なの! だから安くしなさい!」


 大地さんの言は、全く論理が成り立っていない。

 面の皮が厚すぎる……小柄過ぎて顔が見えないのに。


 ただのクレーマーでその上デートもしているのだとすると……控え目に言って死刑は免れない。


「さあさあ、格安で山盛りの肉をすいちゃんたちに――」


「ねえ、玉桜君?」

「どうした黒白委員長」

「もしかして大地さんと前夜祭デートかい?」


 大地さんを無視した僕の質問に、少し考え込むような様子の玉桜君。

 大いに考えた方が良い。答え次第で彼は明日を迎えられないのだから。


「すいか」

「どうしたの? たー君」

「これはデートなのか?」

「……え⁉」


 驚いたような表情の大地(すいか)さん。

 なんだ。デートじゃなか――


「……たー君がデートって言うならデートでも……」

「『は組』男子! 罪人がいるぞ!」

「ああ⁉」「なんだと⁉」「許せねえよ!」


 続々とどこからともなく出現する「は組」男子たち。

 相手がどれほど強かろうと噛みついていく。

 その姿勢は紛う方なき狂犬だ。


玉桜君(「ろ組」委員長)をこの場で処刑する!」

「「「応!」」」

「幸せ者を許すな!」

「「「応!」」」


 僕の口上に戦意が高揚していく。

 やれやれ……人の幸せが許せないなんてどうしようもない人たちだ。


「一斉にか――」

「デートではなく視察だ」


 大地さんに応える形で玉桜君はデートではない(・・・・・・・)と言い切る。

 僕らも邪魔しようとしたとはいえ、これは流石に大地さんが可哀想じゃ――


「デートは金がかかるからな! 視察ならば経費で落ちる!」


 更に最低な理由だった。

 最低すぎて「は組」(暗殺部隊)の戦意が急降下するくらいには。


 それなのにどうして!


「もう……たー君ったら。かっこいいんだから……」


 どうして大地さんはうっとりしてるの⁉


 人として同じ価値観を持っているのか怪しい。  

 ひょっとすると――恋は盲目とはこのことなのだろうか?



「お肉は私のもの」

「きゃあぁぁぁ!」

「あ、しんか」


 玉桜君の雄姿(?)にうっとりしている大地さんを驚かせたのはしんかだ。


 確かにこの熊肉や猪肉は彼女が獲って来たものなので間違っていない。

 言うなればしんかがオーナーで、僕が雇われ店長といったところだろうか。



「お、お金は払うし!」

「値切ろうとした」

「……お客様だし」

「認めない」

「……ごめんなさい」


 しんかの大地さんへの当たりが強い。


 ずっと前夜祭お肉を楽しみにしていた彼女(しんか)は、それを理不尽に安く手に入れようとする彼らを敵として認識しているのかもしれない。


 うきうきで狩りに出かけてたもんね。



「お前たち、調子はどうだ?」

「絶好調だよ! 勝利は貰ったね!」

「ボクも絶好調です!」

「素晴らしいな――お前たちのその意気は買おう。一本木委員長はどうだ?」

「ああ……俺たちは負けねえさ」


 玉桜君は経費云々を抜きにしても、本当に視察(偵察?)するつもりのようだ。

 兼平君はともかく、一本木君は玉桜君の圧倒的な存在感に若干押されているようだけど。


「玉桜君こそ、調子はどう?」

「ふ……私たちは金をかけた分、準備万端だ」


 ……お金をかけた。

 金の亡者であるはずの玉桜君()が言うのだから、相当な金額を使って準備してきたはずだ。


 勝つための用意をしているのは僕たち(「は組」)だけではない。

 それが分かっただけでも収穫はあったといえる。

 相手にとって不足はない。



「あら、皆さんいらっしゃったのですね」

 

 ライバル心むき出しの僕たちに割って入る女子が一人。

 特徴のあるお嬢様口調に、鈴を転がしたような綺麗な声。

 杖を突きながらも、歩く足取りには迷いがない。

 美しい盲目の少女。


「い組」委員長(らんちゃん)だ。

 ――値切れるほどのトーク力が欲しい。 


 本作『勘違い召使いの王道~いずれかえる五色遣い~』をお読みいただき、誠にありがとうございます!


 今後も第二章「水の蛇・金の龍」編を頑張ってアップしていく予定ですので、引き続きお読みいただけると嬉しいです。


 感想もお待ちしております!


 評価とブックマークをしていただいた皆様、本当にありがとうございます。

 皆様に読んでいただけているということが、僕の書く意欲になります!

 

 もし『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、今後も本作を書いていく強力な励みとなりますので『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非よろしくお願い致します!


 ではまた次のお話もよろしくお願いします!

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