総代決定戦 準備日
「『は組』の皆! 準備はいいかい?」
「応!」「OK!」「良いよー」
皆の気勢が上がっているのがわかる。
打ち合わせを繰り返し議論を重ねて、僕たちは準備をしてきた。
それも今日この日のため。
待ちに待った日が来たのだ!
「今日やることはわかってるね? 風山君!」
「俺たちは地形把握だな。拠点にしやすそうなところを探しながら」
「押火君!」
「こっちは他クラス探りを――」
……
「しんか!」
「お肉」
さて全員の役割を確認してと。
「いよいよ今日の夜は前夜祭! 皆全力で働く様に!」
「「「よっしゃあぁぁぁぁ!」」」「「「はーい!」」」
そう。今日は学年総代決定戦の前日。
つまり僕たちが好き勝手にご飯を準備できる日だ。
ちなみに前夜祭と勝手に銘打っているが、学院からの許可は貰っていない。
――まあ、駄目とは言われてないし。
多分大丈夫だろう。
ばらばらに散っていくクラスメイト達。
青空の下、強く地面を踏みしめていく彼らの姿から士気の高さが伝わってくる。
明日から味気ない配給食生活になる予定だ。
だからこそ今日は美味しいものを食べたいという意気込みがクラスメイト達にもあるのだろう。
願わくばその意欲を明日の本番まで継続して欲しい。
「皆、気合入ってるねえ」
「やる気満々」
「二人共!」
僕の元へやって来たのは、つむじとしんかだ。
二人共央成学院の体操服に身を包み、今から屋外活動をする風体。
つむじは釣り竿、しんかは大剣を手に――
「って何でしんかは『比翼連理』を出してるの⁉」
「これから肉を取りに行くから」
「過剰戦力過ぎるでしょ!」
素の状態でも山の一つや二つ焼け野原にしてしまえるのに!
「比翼連理」を使われたら死人が出てしまう。
「きょうえい、安心して」
しんかは僕を落ち着かせる。彼女なりに考えがあるらしい。
「お肉の焼き加減は調整可」
「何にも安心できない!」
良い焼き加減のお肉を確保できる代償として、ここを更地にするつもり⁉
「『比翼連理』を使っちゃ駄目?」
シュンとするしんかは可愛いけど、騙されてはいけない。
彼女がその気になれば僕らなんて一瞬で燃えカスにされてしまうのだから。
「今日はほら、準備日だからね!
『比翼連理』だと火の精霊が多すぎて、皆の邪魔になっちゃうかもしれないし」
「そう……仕方ない」
どうにかそれっぽい理由を伝えて諦めてもらう。聞き分けの良い子で良かった。
「わかった。使うのは調理の時だけにしておく」
それでもまだ心配は尽きない。
「きょうえい、これありがとね!」
「どういたしまして」
そういうつむじの脚には、一緒に買ったお揃いの靴と、僕お手製の洋風の脛当て鎧が装着されている。
特に脛当て鎧には風と水の精霊が集まり、淡い白と青が混じりあって輝いている。
以前からつむじに合わせて試作していた鎧だ。
拳や腕ではなく脛当てにしたのは、彼女の蹴り技の多さに対して足の負担を減らすためである。
その脛当てを、購入した靴に合わせて調整し、週末全てを費やして遂に完成した自信作。
風と水と土の精霊たちを駆使した甲斐もあって、金属の光沢に風の白と水の青が混じり合った様子は、我ながら綺麗だ。
週明けすぐに渡したことで、既に試用も終えてつむじの物として活用されている。
「この分の報酬は戦果で払ってもらうよ!」
「余裕だね!」
自信満々のつむじが心強い。
実際つむじは今回の総代決定戦において、重要な役割を果たしてもらう予定だ。
「それじゃあしんか行こう! 魚ゲットだ!」
「お肉! お肉!」
肉調達係(立候補)と魚調達係の二人は空を駆けていく。
それにしても――
しんかはそんなに肉が好きだったのか……今後の弁当は肉料理を増やすようにしよう。
――お肉、食べたい。
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