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黒歴史と共同戦線

「火光委員長。火・風・木の組み合わせの割合の相談なんだが――」


「は組」の教室に入って来た風山君は、どうやらしんかに相談があったらしい。

 室内の惨状が目に入った途端に彼の言葉が止まる。


 つむじに羽交い絞めにされる(女装男)

 その写真を何枚も撮るしんか。 

 そんな僕らを見て上品に笑う涼風さん。


 沈黙の中でシャッター音だけが絶えず響いている。


 ああ――今後僕は「似合わない女装癖のある男」として歩むことになるのか……

 その上女子に羽交い絞めにされて喜ぶ変態。

 1つずつですら危うい癖を同時に兼ね備えた男。


 そんなやつに在学中彼女ができることなんてあり得るのだろうか。


 終わったなあ……僕の学院生活。


「――あの」


 断罪前の囚人は、ひょっとするとこんな心境なのかもしれない。

 風山君(処刑人)の鎌が僕に振り下ろされるような幻覚まで見えてくる。


 こうなったら仕方ない。

 風山君(やつ)を血祭りにあげよう。

 証拠さえ消してしまえば、僕の恥が晒されることはなくなるはずだ。


 風山君には記憶と命どちらかを失う二者択一をしてもらおう。


 それしか僕がこの学院で生き残る手段は……ない!


 精霊を集め始める。風山君の不意を打てる属性は――


「お、お楽しみの所、失礼しましたあぁぁぁ! 女子同士(・・・・)でごゆっくり!」


 僕の思考を遮って、風山君は猛スピードで出て行く。

 集めた精霊たちは空気中に霧散し、どこか拍子抜けしてしまった。


 ……僕の名誉は助かったのだろうか? ついでに風山君の命も。


「ありゃりゃ、きょうえいって気付かれなかった(・・・・・・・・)みたいだね」


 どうにか人心地のついた僕にかけられるつむじの言葉。

 良かった。これで僕の恥が広まらなくて済む。


「つまり……可愛さが認められた(男ってバレなかった)


 ……しんかの言葉を咀嚼して――


「風山君待ってえぇぇぇ! 僕だよ僕!」


 僕のプライド(男らしさ)は粉微塵になった。



 

「えっと――失礼します……黒白君どうかしたんですか?」

「なんでもないよ……」


 既に僕しか残っていない「は組」の教室を訪れた兼平君は、さめざめと泣く僕(女装)に声をかけてくれた。

 男らしさの欠片もなく、風山君に女子と勘違いされたままになっている僕なんかを気にかけてくれるなんて……ありがとう。


「なんでもないなら良いですけど」

「うん……それでどうしたの?」


 改めて兼平君に向き直る。

 一本木君が兼平君を追いかけて行った後、どうなったのか気になっていたのだ。

 彼に対して何かしらの行動を起こしたのだとは思うけど。


「一本木君はボクに謝ってくれました!」

「ああ、それは良かったね!」


 兼平君の嬉しそうな様子にこちらも嬉しくなる。


「はい……その上でボクたちの共同戦線にぜひ参加させて欲しいって」

「ほんとに⁉ どうして⁉」

 

 それは全く予想してなかった。

 あの流れでどうして協力してくれる気になったのだろう。

 やっぱり兼平君(想い人)が協力相手にいるというのが大きかったのだろうか。


「えっと――とりあえず海光さん(・・・・)によろしくって言ってました」


 なるほど。

 僕の女装姿(海光きょうか)とのやりとりが良い方向に働いたらしい。

 僕としては苦い思い出(黒歴史)になってしまったけど、成果があったのなら良かった。


 努力して成果を得る。

 それはとても嬉しいことのはずなのに、何故か悪寒が走る。


 とりあえずわかっていることとして。 

 僕はもう――

 二度と女装はやりたくない。

 ――皆さんには思い出したくない黒歴史ってありますか?


 本作『勘違い召使いの王道~いずれかえる五色遣い~』をお読みいただき、誠にありがとうございます!


 今後も第二章「水の蛇・金の龍」編を頑張ってアップしていく予定ですので、引き続きお読みいただけると嬉しいです。


 感想もお待ちしております!


 評価とブックマークをしていただいた皆様、本当にありがとうございます。

 皆様に読んでいただけているということが、僕の書く意欲になります!

 

 もし『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、今後も本作を書いていく強力な励みとなりますので『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非よろしくお願い致します!


 ではまた次のお話もよろしくお願いします!

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