情報収集②~「に組」と「ほ組」委員長について~
「『に組』についてなんだが――」
風山君と豊水さんの野球部コンビ中心の「ろ組」についての報告が落ち着き、続いて押火君が「に組」についての調査内容を報告する。
……押火君、生きてたのか。
しぶとい級友の生命力に感動する。
いつもふざけているうちのクラスでは、必須の能力なのかもしれない。
「委員長が滅茶苦茶可愛いぞ!」
「「「うおぉぉぉぉ!」」」
おバカな彼らを信じた僕がバカだった。
「に組」の委員長が可愛いなんて情報が、何の役に立つんだろう。
押火君の真意が理解できない。
「押火君。その情報は何の役に立つんだい?」
「……」
僕の言葉への答えは沈黙。
皆返す言葉がないみたいだ。
「男子たちもどう思う? 押火君の情報に何か意味があると思う?」
僕の語りかけに誰も答えない。
彼らもただその場のテンションで、盛り上がっていることを理解しているのだろう。
嘆かわしい。
「だからこそ押火君」
「……なんだ?」
「僕らに『に組』委員長について、具体的に正確に話すんだ。
どんな意味があるかはこちらで見出せばいいのさ」
「「「黒白委員長!」」」
押火君の言葉が足りないのは仕方ない。
彼はアホだ。
囮にも使えないおバカさんだ。
故にそんな彼の不甲斐なさを補うには、僕らが彼の情報を詳しく聴取し、精査考察を重ねなければならないんだ!
これこそが、仲間たちとのきず――
「「きょうえい?」」
がしり
両肩が掴まれる。
……どうして。
動けない。
……まだ、大して力が入っていないのに――どうして僕の身体が震えているんだ⁉
掴んでいるのは、空色と赤色の少女。
男子たちも怯えるほど、彼女たちには殺気が満ちている。
……これが死の恐怖か。
「ふ、二人共痛いよ⁉」
両肩が悲痛な叫びをあげ、僕の額からは冷や汗が流れる。
……なんて力だ!
「「真面目にやって」」
「「「はい!」」」
二人の言葉には素直に従う男子たち。
……君たちは「に組」委員長のことを知りたくはないのか! プライドはないのか!
「それでその可愛い子もとい――『に組』委員長だが」
押火君の中で理性と本音のせめぎ合いが行われている。
……頑張れ! 押火君負けるな!
「――気弱な性格の守ってあげたいタイプらしい」
「「「しゃあぁぁぁぁ!」」」
押火君は見事僕たちの期待に応えてくれた。
彼は素晴らしい漢だ。
「そういえば黒白は代表委員会で会ったんじゃないか?」
ピタリと皆の歓声が止み、静寂が教室に満ちる。
男子たちは、僕の答えを待っている。
……嫌な予感。
僕の対応次第で生死が分けられるような――そんな予感。
「ざ、残念だけど代表委員会で話す機会はなかったかな!」
事実だ。
あの時の代表委員会では「い組」委員長のらんちゃんと「ろ組」委員長の玉桜君、そして生徒会長。
三人に注目していたから、全く話す機会はなかった。
「確かに。きょうえいにちょっかいをかける時間はなかった」
しんかのこの一言に、皆の緊張状態が緩む。
……助かった! ありがとう、しんか!
押火君のもたらした情報は以下の通り。
「に組」委員長は「兼平しき」という子で、火以外の4属性の精霊適性あり。
ただ気弱な性格で、委員長として皆をまとめるのは苦労しているらしい。
苦労人で常識人っぽい感じは僕と似ている。
ひょっとすると仲良くなれるかもしれない。
「ほ組」委員長は「一本木かつき」。
木属性に適性があって、真っ直ぐな気質。
実力としてはらんちゃんや玉桜君の様に飛びぬけているわけではないけど、「ほ組」のクラスメイト達が自然とついていきたくなる気質の人のようだ。
癖のあるクラスメイトに囲まれている身としては、彼の立場が非常に羨ましい。
「以上だ」
押火君の報告が終わる。
僕らはこの集まった情報を元に、各クラスへの今後の対策を考えていかねばならないのだが。
……何か、変だ。
和気あいあいとしているクラスメイト達。
女子はいつも通りの中、男子は何か身構えている気がする。
重要なことを見落としているような感覚。
拭いきれない違和感。
……あれ? そういえば――「い組」の報告がまだだ。
「い組」の調査報告がなぜか最後に回されている。
内部進学生の多い「い組」の報告優先度は「に・ほ」組よりも高いはずなのに。
「さて、最後に『い組』委員長のことだが――」
再びの風山君の言葉に、男性陣は臨戦態勢をとる。
どうして――
「黒白の従妹らしい」
「……」
静寂の後に、
「どういうことかなあぁぁぁぁぁぁぁ!」
「こぉぉぉぉくぅぅぅぅはぁぁぁぁくぅぅぅぅ!」
「いつもお前ばかり!!!!!!」
嫉妬と憎悪の念が、教室内を満たす。
「血の繋がりは僕の責任じゃないよね⁉」
昼休みの時間も少ない中、僕は室外へと駆けだす。
少なくとも死線を越えた数だけは、他クラスの委員長たちには負けないだろう。
――各クラス委員は今後活躍していきます。
本作『勘違い召使いの王道~いずれかえる五色遣い~』をお読みいただき、誠にありがとうございます!
今後も第三章「緑の侵攻」編を頑張って投稿していく予定ですので、引き続きお読みいただけると嬉しいです。
※現在、並行して1話目から編集し、書き直したりもしています。
気になる方はそちらもお読みいただけると嬉しく思います!
感想もお待ちしております!
評価とブックマークをしていただいた皆様、本当にありがとうございます。
皆様に読んでいただけているということが、僕の書く意欲になります!
もし『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、今後も本作を書いていく強力な励みとなりますので『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非よろしくお願い致します!
ではまた次のお話もよろしくお願いします!




