表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/185

クラス演習①~下心は利用され~

「おいしい」


 三人での訓練の翌朝、僕の家に一人の少女の声が響く。

 炎のような赤い髪。

 無表情の顔にはしかし、煌々と燃える瞳。


 赤の少女が、(黒白きょうえい)の作った料理をどんどん平らげていく。


 ……凄まじい食欲だ。この細い身体のどこに入っているんだろう。


 不思議だがしかし、テーブルの上にある料理が次々と消えていくのは――


 ……爽快だなあ。


 作った側としても鼻が高い。


「しんか、僕の分も残してよ?」


「もぐ」


 頬を料理で膨らませた少女の姿は、どこか小動物を思わせる。


 ……まあ実際は、大型の肉食獣よりもはるかに強いんだけど。


「きょうえいの分は気にせずに、たんと召し上がれ」


「つむじ、僕を飢え死にさせる気かい?」


 そんなしんかの食欲に拍車をかけるのは、空色の少女(つむじ)

 作ったわけでもないのに、なぜか彼女は少女に僕の料理を勧めている。


 ……いや別にいいけどさ。


「つむじも食べて」


「うーん。今日は遠慮しておこうかな」


 ちょっと食欲ないしねと語るつむじの顔色はあまり良くない。


 訓練の疲れもあるのだろうか。

 彼女にしては珍しい。


「まだ体調悪い?」


「ううん! 体調は絶好調だよ!」


 しんかの質問に答えるつむじの声はどこか寒々しく、笑顔には影が差している気がする。

 朝の三人の時間は、残念なことに少し息苦しく感じた。




「風山君――全軍通達。白組は女子陣を牽制。

 一斉に風弾をぶつけて下がれ!」


「了解」


 役員決定戦も終わり、1年「は組」では学年総代決定戦に備えて、クラス全体での演習が始まっている。

 僕たちは炎の魔人との戦いで協力したこともあってか、思いの外すんなりと連携できていた。


 風の精霊に乗せて、他のクラスメイトと連絡を取る。


「押火君、白組につられる敵に、全力で火球を叩きこむんだ!」


「ええ……俺、女子に嫌われたくないんだが⁉」


 今は、男女別チームに分かれての実戦演習中なわけだが―― 


 ……それにしても。


 男子の動きが悪い。

 どこか遠慮がちだ。


 ……このバカどもめ。


 理由はもちろん分かっている。

 色気づいているからだ。


 女子が相手(・・・・・)

 格好良いところを見せたいという、見栄と。

 攻撃して嫌われることへの恐怖。

 

 その二つによって、奴らの手が鈍っている。


 ……僕は火あぶりにしようとしたくせに。


 女子に優しい紳士を目指したいのなら、日頃の行動から改めるべきだろうに。


「押火君。君は何も分かっていない」


 そんな押火君を僕は諭す。


「何だと?」


「ここで君が全力の攻撃を加えることによって、女子は君のことをどう思う?」


「……怪我させるなんてサイテー?」


 しんかやつむじを相手に、彼が怪我をさせられるかは置いておくとして、


「それがひどい勘違いだよ」


 ……僕が彼の勘違いを正してあげよう。


「じゃあ、押火君。

 ここはどこだい?」


「そりゃあ……訓練室だろ?」


「そうだね。僕たちの通う学校の訓練室だよね?

 じゃあ、僕らが通う学校はどこだい?」


「……央成学院だな」


 その答えを待っていた。


「そう! 日域国をいい方向に導きたい人たちが集まる場所。

 それが央成学院だよね?

 そんな国の行方を真剣に憂う人が多い学校の中で、一際全力を尽くすイケメンがいたらどう思う?」


「……そういうことか。

 黒白(こくはく)、お前の言いたいことは分かったぜ」


 僕の言葉に、フっと似合わない笑い方をする押火君。


 風の精霊を介した連絡で良かったと切に思う。


「つまり俺がそのイケメンに当たると――そう言いたいんだな?」


 目の前にいたら鬱陶しさのあまり殴りかかっていたかもしれない。


「でもいいのか? 俺が女子たちを魅了してしまって」


 ……皆、落ち着け。まだダメだ。


 おそらく混精で僕らの連絡を聞いていたのだろう。


 他の男子たちの殺意が、キモカッコ悪い押火君へと向いているのがわかる。


「もちろんだよ! 全力で女子たちに押火君の強さをアピールしてきて欲しい」


 我ながら吐き気のする提案だ。


「こちら風山。女子への牽制OKだ。数人程追ってきてる」


 風山君から連絡が入る。


 ……いいタイミングだ!

 

 これ以上は、我慢できそうになかったから。


「ほら、押火君。イケメンの出番だよ!」


「よっしゃあ! やったるぜぇぇ!」


 押火君はノリノリで追ってきた女子たちへと突っ込んでいく。


「風山君! 押火君以外(・・・・・)に通達!」


「了解!」


 風山君の仕事が早い。

 持つべきものは素晴らしいクラスメイトだ。


「男子全軍! 今から押火君(バカ)が自らを囮にして命の火を燃やし尽くす!

 僕たちは彼の死に乗じて女子の後方を取り、女子たちを全滅させるよ!


 ……勝って僕たちの格好良さを、女子たちにアピールだ!」


「「「応!」」」


 押火君。君の犠牲は忘れない。

 ――下心は、いつの世でも力になる。

 ※ただし視野も狭くなりがちです。


 本作『勘違い召使いの王道~いずれかえる五色遣い~』をお読みいただき、誠にありがとうございます!


 今後も頑張って投稿していく予定ですので、引き続きお読みいただけると嬉しいです。


 ※現在、並行して1話目から編集し、書き直したりもしています。

 気になる方はそちらもお読みいただけると嬉しく思います!


 感想もお待ちしております!


 評価とブックマークをしていただいた皆様、本当にありがとうございます。

 皆様に読んでいただけているということが、僕の書く意欲になります!

 

 もし『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、今後も本作を書いていく強力な励みとなりますので『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非よろしくお願い致します!


 ではまた次のお話もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ