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「い組」(内部進学クラス)と「ろ組」(推薦クラス)

「さて……皆。話を聞いて欲しい!」


 午前中の授業が終わって昼休み。

 黒板の前に立つ僕に、皆の視線が集まる。


「今から昼食なんだけど!」


「お前の最後の昼食だぞ?」


「心しておけよ?」


「ごめん! 手短に話すから」


 後半は無視する。


「部活に入る予定の人、挙手!」


 クラスの約半数ほどが手を挙げる。


「ありがとう。今手を挙げてくれた部活生に特にお願いしたいんだ」


 何をという当然の疑問に、


「今年の同級生についての情報収集だよ。

 どんなことでもいいから、集めて来て欲しいんだ!」


 頼みたいのは情報収集。

 他クラスの情報がどうしても欲しい。


 しんかの誕生日兼打ち上げの日。

 いつも通りに男子たちの襲撃を受けた僕は、訓練塔の一室に隠れていた。


 目的は安全確保ともう一つ。

 他クラスの(・・・・・)役員決定戦の映像(・・・・・・・・)を見ること(・・・・・)


 そうして偵察する中で――


 明らかに1クラスだけ、異質なクラスがあったのだ。


「全クラス分か?」


「もちろん、全クラス可能なら集めて欲しいけど――」


 それ以上にお願いしたいのは、


「最優先で1年『ろ組』の情報を集めて欲しい」

 

 1年「ろ組」。

 推薦進学クラス(・・・・・・・)


 推薦進学制度は、実技と筆記の本番一発勝負を避けたい生徒や、早めに進学を決めておきたい生徒が使う進学形式だ。


 よって毎年「ろ組」は、各中等学校から成績優秀者が推薦され、優等生が集められるクラスとなるはずなのだ。


 例年通りなら(・・・・・・)


 そもそも、しんかとつむじは推薦されていてもおかしくない成績だったはずだ。

 しんかはそこまで知らないけど、つむじとは出身も同じ。

 彼女の中等学校時代の、猫かぶり優等生ぶりはよく知っている。


「つむじ! 推薦受けないの?」


 中等学校在学時代。

 折角使える制度なら使うべきだという僕の考えに、


「うーん。使えるなら使いたかったけど……。

 今年は枠がない(・・・・・・・)んだって」

 

 彼女から返ってきた答えはこうだ。


 推薦進学の募集枠がない。


 ……そんなことあり得るのか?


 その頃から、更に新たな噂が流れ始めた。


 推薦の募集が、1つの学校を除いて(・・・・・・・・・)、どの学校にもなかっただの。


 中等学校の1クラス(・・・・・・・・・)丸々そのまま進学した(・・・・・・・・・・)だの。


 流石にそんなことは有り得ないと、当時は(・・・)思っていた。



「『ろ組』が優秀(推薦組)だからって警戒するのは分かるけど、なんで最優先なんだ?

『い組』の内部進学生たちの方が優秀な奴が多いって話だろ?」


 野球部に入部予定で手を挙げていた風山くんが、疑問を述べる。


「そうなんだけど、『ろ組』の役員決定戦の時間が問題なんだ」


 「は組」(僕たち)の役員決定戦は、炎の魔人との戦闘まで入れて数時間ほど。

 5クラスの中では最長だった。


 それは分かる。

 クラス内だけでなく、外部からの乱入があったのだから当然といえる。


 それに対して――


「『ろ組』は最短の5分で終わったんだよ」


「はあ⁉」


「そんなことありえるのか?」


 5分でクラス役員が決まる。

 勿論そんなことは――


「普通ありえない」

 

 精霊繋装所有者(しんかみたいな人)がいたとしても、まともにやれば確実に1時間はかかるだろう。


 ……まともに戦えばだけどね。


 つまり「ろ組」の生徒たちは、まともに戦っていない(・・・・・・)


「開始早々に一人を除いて、全員が辞退したんだ」


 最初から誰が勝ち残るのかを、決めていたのだろう。

 

「じゃあやっぱり、全員が同じ学(あの)校とクラス出身(うわさ)は本当だったってことか?」


「うん……可能性は高いと思う」


 誰かがつばを飲み込む音が聞こえる。


 僕たちの「は組」が始まって1か月。

 まだクラスが完全に団結しているとは言い難い。


 個々人が異なる考えを持つ以上、それは当然だ。

 

 それが既に一つの目標に向かって団結しているとなると――

 僕らの学年における結束の強さは、「ろ組」が抜け出ていると言わざるを得ないだろう。


 更に、映像時間の短さによる厄介な点がもう一つある。


 それは――「ろ組」の戦闘情報の少なさ。


 僕たち(「は組」)の戦いが配信されてしまっている以上、主戦力となるしんかやつむじの情報は漏れてしまっている。


 それに対して、「ろ組」の情報は皆無。


「だから……可能な限り『ろ組』の情報を皆に集めて欲しいんだ!

 僕たちの勝利のために!」


 僕の熱い要請を受けて、


「いいけど、黒白(こくはく)の指示を聞くのはなあ……」


「テンション上がんないわ……」


「死んで出直せよ」


 このクラスメイト(外道)共め!



「……皆」


 そんな人道にもとるクラスメイトたちに割り込む、赤の少女。

 黒板前の僕の隣で話を聞いていた、火光(かこう)しんかだ。


 赤の眩い輝きとは裏腹に、彼女は淡々と告げる。


「頑張ろう」


 彼女なりに、僕を助けようとしてくれたのだろう。

 その気持ちは非常にありがたい。

 恥ずかしがり屋の彼女が、皆の前で発言するなんて勇気が必要だったはずだ。


 ……でも。


 そんなんじゃ、この人(バカ)たちが言うことを聞くわけ――


「応! 絶対に情報を手に入れてやるぜ!」


「火光さんのためなら、たとえ火の中水の中! ドラゴンの口の中まで行ってやるよ!」


「1情報でツーショット写真を撮ってくれますか⁉」


 ……よし。


 僕の決心が固まる。


 ……絶対に、しんか以外のクラスメイト全員を犠牲にする作戦を立てよう。


 僕が倒れる時は君たち全員が倒れる時。

 一蓮托生だ!




 話し合いが終わって、各々休み時間を過ごし始めるタイミングで空色の風が吹く。


 すらりと長い手足。

 空色の髪と瞳。

 僕の幼馴染こと――海風つむじだ。


「きょうえい……本当に良かったの?」


「何のこと?」


 ……しんかが隣に引っ越してきたことだろうか?


 それについては、つむじにだけ伝えてある。


「『い組』委員長の話をしておかなくても」


 ……ああ。そのことか(・・・・・)


「いずれわかるだろうし、今、言わなくてもいいんじゃない?」


 最も不気味な「ろ組」に対して――ある意味対極(・・・・・・)のクラス。

 

「い組」は、内部進学クラス(・・・・・・・)


 高倍率の央成学院中等部入試。

 その熾烈を極めた競争を勝ち残った、最も実力者の集まるクラス。


 そこに探りを入れない理由は、「ろ組」を優先したいのもあるけど、クラス委員長がどんな子なのか知っている(・・・・・)からだ。


 映像を見る限り、彼女(・・)の戦闘スタイルに変化はなさそうだったし。


 ……戦闘訓練の時に、皆に伝えれば大丈夫だろう。


「言いたいことは、そうじゃないんだけどなあ。

 まあ、きょうえいが後悔しないならいいけどね」


 ぽつりと残された幼馴染の言葉は、僕の心にほんの少し不安の影を落とした。

 ――各クラスは今後さらに出番が増えていきます。


 本作『勘違い召使いの王道~いずれかえる五色遣い~』をお読みいただき、誠にありがとうございます!


 今後も第三章「緑の侵攻」編を頑張って投稿していく予定ですので、引き続きお読みいただけると嬉しいです。


 新しく『どうして異世界に来ることになったのか。』という作品の投稿も始めました。

 少しでも気になるという方は、そちらもお読みいただけると嬉しいです。


 ※現在、並行して1話目から編集し、書き直したりもしています。

 気になる方はそちらもお読みいただけると嬉しく思います!


 感想もお待ちしております!


 評価とブックマークをしていただいた皆様、本当にありがとうございます。

 皆様に読んでいただけているということが、僕の書く意欲になります!

 

 もし『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、今後も本作を書いていく強力な励みとなりますので『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非よろしくお願い致します!


 ではまた次のお話もよろしくお願いします!

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