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互いの理念

現在、月木で投稿中です。

「何故ことわ――」


「待って、四役(よつやく)君。

 二人とも、理由を聞いても良いかしら?」


 生徒会長の提案を断る僕らに、激昂するメガネ先輩。

 松風会長はそんなメガネ先輩を止めて、僕たちに理由を尋ねる。


「松風会長は、去年一年生にして、生徒会選挙に出ましたよね。

 どうしてですか?」


 褒められたことではないが、松風会長の質問に対して、更に質問で返す。


「私は……そうね。

 去年の――前代の生徒会長は、失礼な言い方になるけど中途半端な人だったわ。

 精神も、実力も。

 自分が何でもできるって勘違いしてて、それでもそこそこ強いから、央成学院の生徒会長として横暴に振る舞っていたわ。

 別に、それだけなら何も思わなかったのだけど――」


 松風会長はそこで区切って一息つき、


「その生徒会長のせいで、死者が何人も出ていたの。

 だから、今の三年生は、今年の一年生たちよりもずっと少ないのよ?」


 松風生徒会長は目を瞑る。


「私は、それが気に食わなかったわ。

 その生徒会長が強かったのは仕方ない。

 でも、その強い人の我儘のために、誰かが犠牲になるのが嫌だったの。

 私が生徒会長に立候補した理由なんて、それだけよ」


 会長は、澄んだ瞳で僕たちを見る。

 彼女の立候補した理由は単純だ。

 

「誰かが、強者の犠牲になるのが嫌だったから」

 その犠牲になる誰かを守りたかったから。


 立派で、真っ直ぐな理由だ。


 故に生徒会長は強い。

 会長に就任して、無敗。

 物腰柔らかな外見とは裏腹に、強固な意志が無ければ、成し遂げられないことだろう。


「それじゃあ、教えてくれる?

 どうして、私の生徒会に入ってくれないの?」


 その強い瞳を、僕は真っ向から受けて立つ。


「松風会長――松風先輩(・・)と同じですよ。

 先輩が、気に食わないとまでは言いません。

 松風先輩の、誰かが犠牲になるのが嫌だという考え方も、間違ってないと思います」


「それなら――」


「それでも、僕の夢は央成学院だけに収まるようなものじゃありませんから」


 松風先輩の言葉を遮り、自身の考えを続ける。


「僕の夢は世界平和。

 日域国だけじゃなく、全世界の平和です。

 今の生徒会では、僕のその夢は叶わないですよね?」


 松風先輩の無敗というのは、他国に攻め込むことが無かったからこその記録だ。

 自身の仲間たちが傷つくことを厭うからこその、守り抜く戦い。


 しかしそこに、変化はない。

 あくまで、現状維持の手段でしかない。


 僕の夢は世界平和。

 それは、未だ誰もなし得ていないことだ。

 変化のない松風先輩の方針では、辿り着くことはない。


「だから、お断りします」と告げると、松風先輩は嬉しそうに微笑む。


「じゃあ、黒白(こくはく)君――いえ、黒白第一学年総代。

 貴方は、貴方の都合で他の学生たちを戦いに巻き込んでいいと思っているの?」


 強い語気。

 突き刺すかのような問い。


 けれど、松風先輩は微笑んでいる。

 まるで最初から、俺が楯突くことを分かっていたように。

 俺の答えもまた分かっているかのように。


「はい、僕は巻き込んでいいと思っています!」


 彼女の方が正しいことは理解している。

 だけど――


 ……正論だからどうしたって話だ。


「自分勝手なのね」


「はい、僕は自分勝手です。

 でも、代わりに、他の誰かの自分勝手に巻き込まれてもいいと――巻き込まれたいとも思っています」


 自身の譲れない理由で、他者を巻き込む。

 僕はもう、そういう戦い方を選んでいる。


 しんかのことも、つむじのことも。

 一年生皆の事も。


 だから、その代償として。

 仲間たちに譲れない何かがあるのなら、僕はそれに巻き込まれても良い。


 そう考えている。


「大体、松風先輩だって、自分勝手に生徒会長に立候補したんですよね?

 なら、僕と変わりません! 主義主張が違うだけで、していることは!」


「あら」


 僕のこの発言に、生徒会長は目を丸くして、弾けるような笑顔を浮かべる。


「それもそうね。

 私も去年の状態が嫌だったから、戦ったんだものね。

 一本取られたわ」


「会長!」


 メガネ先輩が抗議の声を上げているが、松風先輩はそれを抑える。


「じゃあ先輩、一本取ったついでに、教えて下さい」


「良いわよ」


 図々しいまでの要求に、それでも松風先輩は応える。


 ……それじゃあ、遠慮なく。


「先輩の好きなタイ――ごはっ⁉」


 言い切る前に、相棒にボディを入れられる。


「しんか⁉ 痛いし熱いよ⁉」


 ……まさか、火の精霊まで利用して攻撃してくるとは。


「ふざけるから……」


 紅蓮の冷たい瞳が、僕をねめつける。


 ……ここでふざけてないと言ったら、また殴られる気がするから止めておこう。


「わ、わかったよ。仕方ないなあ」


 気を取り直して、


「僕たちとの選挙戦、どう戦うつもりか教えてください」


 本当の要求を突き付ける。


「貴様、どういう――」


「メガネ先輩、お静かに」


 しんかはもう、メガネ先輩との優劣をつけ終わった様だ。

 勝手に彼を制する。

 

 ……いや、しんかの言う通りに止まるメガネ先輩もどうかと思うけど。

 

「そうね……敢えて言うなら――」


 そう言って、僕たちをじっとその緑の瞳で見つめる。


 そして――


「挑戦的な後輩に合わせて、私も色々と挑戦してみようかしら」


 生徒会長は、確かなヒントをくれたのであった。


 ――強い瞳の強い先輩に、主人公は屈しません。


 本作『勘違い召使いの王道~いずれかえる五色遣い~』をお読みいただき、誠にありがとうございます!


 今後も第三章「緑の侵攻」編を頑張って投稿していく予定ですので、引き続きお読みいただけると嬉しいです。


 新しく『どうして異世界に来ることになったのか。』という作品の投稿も始めました。

 少しでも気になるという方は、そちらもお読みいただけると嬉しいです。


 ※現在、並行して1話目から編集し、書き直したりもしています。

 気になる方はそちらもお読みいただけると嬉しく思います!


 感想もお待ちしております!


 評価とブックマークをしていただいた皆様、本当にありがとうございます。

 皆様に読んでいただけているということが、僕の書く意欲になります!

 

 もし『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、今後も本作を書いていく強力な励みとなりますので『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非よろしくお願い致します!


 ではまた次のお話もよろしくお願いします!

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