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クラスの戦力

 新しく『どうして異世界に来ることになったのか。』という作品の投稿も始めました。

 少しでも面白そうだと思っていただけたなら、そちらもお読みいただけると嬉しいです。

「じゃあ、生徒会選挙は黒白(こくはく)が立候補するとして――戦力の分け方はクラス単位で良いのか?」


 緑の少年――「ほ組」委員長一本木君の言葉に、


『ろ組』(私たち)は『P.G.D』を使うかどうかにもよるな」


 黄金の青年――玉桜君が答える。


 選挙戦に僕が立候補するという方針が決まり、現在はどう選挙戦に臨むかという話にシフトチェンジしていた。


 ……さて、どうしたものか。


 総代決定戦を思い出す。


 黄金の巨躯。

 鋭い牙と爪。

 長大な尾。


 そして何よりも強力な息吹(ブレス)


 対峙した時のあの圧力は、忘れられない。

 あの桃金竜は、間違いなく「ろ組」の最大戦力。

 それを最大限活用するには、「ろ組」のクラスメイト全員の力が必要なのだろう。


「ちなみに桃金竜を作るのに、何人必要なの?」


 僕の問いに玉桜君は考えながら答える。


「『P.G.D』を作るだけなら、私だけでも可能だ。

 だが、それで戦えるかといえば怪しいな。

 索敵もできないし、息吹の制御も厳しい。

 作る労働力に比べて、得られる利益が少ないだろう。

『P.G.D』はあくまで『ろ組』生全員での運用を前提として、組みあげたものだからな」


 元は取れないだろうと、黄金の青年は呟く。

 

「反対に、『い組』(私たち)は、ばらけても大丈夫だと思いますの」


 対して「い組」委員長のらんちゃんが声を上げる。


「『い組』は生徒個人の戦力だけ見れば、最強ですの。

 遊撃として扱ったとしても、問題ないと思いますわ」


「ねえ、きょうえい」


 らんちゃんの言葉に、書記をしていたつむじが言葉を潜める。


「『い組』って、一番最初に負けたよね? 何でらんちゃん、あんなに自信満々なのかな?」


「私の記憶が正しければ、らんちゃんが最初に脱落したはずだけど」と空色の少女は述べる。


「つむじ、あんまりそういうこと言うのは良くないよ?」


 僕もまた、声量を下げて彼女に返す。


「確かにらんちゃんは、最初に負けた雑魚だけど、最近は事実を言うのも名誉棄損に当たるんだからね?」


「えっ⁉ そうなの⁉ 事実なのに⁉」


 情報端末の発達により、近年では情報の正誤の判断も難しくなってきている。

 その上、情報は正しくとも、それを発信していいかの判断力――個人の倫理観が問われている時代でもあるのだ。


 迂闊なことは言わないでおく。

 それに越したことはない。


「負けた人に敗北者っていうのも、相手を傷つけちゃうのからね。

 つむじも言葉に気を付けた方が良いよ」


「そっか。じゃあ、らんちゃんを『やーい! この負け蛇!』とかってからかうのは――」


「ギリギリダメかなあ」


 世知辛い世の中になったものだ。

 軽口すら叩けないなんて。


 ガシリ


 ……うん? 


 肩を掴まれる。

 よくよく見ると、つむじの肩にも手が置かれている。


 真っ白な肌。

 ほっそりとした指。

 まるで白蛇のような――


「お二人共、分かっていると思いますが――」


 深海色の幼馴染(らんちゃん)だ。

 精霊も出していないくせに、人類種にあるまじき圧力。


「私は見えません。ですがその分……耳は良いんですのよ(・・・・・・・・・)?」


 カタカタとつむじと共に震える。

 

 ……でも大丈夫なはずだ。


 自身の恐怖心を無理矢理打ち消す。

 

 ……らんちゃんは、なんだかんだで常識人だ。

 

 この話し合いの最中に、僕らがどうこうされるなんてことはないはずだ。


 うふふと少女は蛇のような笑みを浮かべて、


「お二人共、この後予定はありますの?

 ああ、答えなくていいですの。

 用事とか関係なくするだけですので」


 青い怒りに沈んでいる。


 ……非常にまずい。


 このままいけば、僕らの死は確定。

 どうにか切り抜けなければならない。


 そんな僕たちに、光明が差す。

 

「らんちゃんの言葉は正しい。

『い組』の方が、個人の地力は上だと思う」


 僕の相棒にして、僕らの親友――しんかだ。


「確かに『い組』の足止めをしたけど、一人一人が強かったな。

 そういう意味じゃ、俺も個人戦力は高いと思うぜ!」


 一本木君もしんかに加勢する。


「……お二人ともありがとうございますの」


 らんちゃんは顔を赤らめながら、赤の少女と緑の少年に感謝を告げる。


 ……良かった。これで僕らもどうにか生きられそうだ。

 

「……まあ、らんちゃんたちだけじゃなくて、1年生の戦力の確認のためにも全体での訓練はしておいた方が良いかもね。

 とりあえず1年生の計画に全体演習を入れよう」


 僕の言葉を、これまた生き残ったつむじが端末に打ち込んでいく。


 実力の確認と、各クラスの団結力(チームワーク)の確認は急務。

 

 そのためにも、どんな訓練にするかは、考えておかないといけないな。


「とりあえず、今日はこのくらいにしておこうかな!

 皆、お疲れ様。

 各クラス日程が決まったら、動いてもらうからよろしくね!」


「「「「「了解!」」」」」


 さて、それじゃあ後は――


「お兄様? つむじさん? 逃がしませんわよ?」


 ……必死で逃げるかな!


 ――口は災いの元。


 本作『勘違い召使いの王道~いずれかえる五色遣い~』をお読みいただき、誠にありがとうございます!


 今後も第三章「緑の侵攻」編を頑張って投稿していく予定ですので、引き続きお読みいただけると嬉しいです。


 新しく『どうして異世界に来ることになったのか。』という作品の投稿も始めました。

 少しでも気になるという方は、そちらもお読みいただけると嬉しいです。


 ※現在、並行して1話目から編集し、書き直したりもしています。

 気になる方はそちらもお読みいただけると嬉しく思います!


 感想もお待ちしております!


 評価とブックマークをしていただいた皆様、本当にありがとうございます。

 皆様に読んでいただけているということが、僕の書く意欲になります!

 

 もし『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、今後も本作を書いていく強力な励みとなりますので『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非よろしくお願い致します!


 ではまた次のお話もよろしくお願いします!

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