7話
本日2話分投稿しています。
歓迎夕飯会が行われる会場は大きくはないが小洒落たカフェ&バーのようなところだった。
梛木店長の友人の店で料理が美味しいお店らしく、腹ペコ組はお腹いっぱいまで食べる方がメインになるらしい。
ちなみに腹ペコ組とはアンジーさん、尊さん、喜一くんだそうだ。
今回からは私も腹ペコ組に組みすることになりそうだ。
ちなみに大原さんはお酒好きらしいがかなり弱く、梛木店長はザル通り越して枠ぐらいの酒豪だそうだ。
「やっば、何かのローストビーフ。とける…。」
「ですよね。さすが梛木店長の友達っす。」
美味しすぎるために溢れた独り言に、律儀に答えてくれた喜一くんはリスかと思うくらいに頬をパンパンにしている。
「あははは!喜一くん詰め込みすぎ!それ絶対飲み込む時に詰まるよ!」
「あらら、きーちゃんまたやってるのリスの真似。この前それで30分くらい死にそうになってたじゃない。」
案の定、世話好き友紀さんが様子を見にきてくれる。
「きーちゃん可愛いなー。いつものリスみたいなきーちゃんだー。」
「…大原さん、さすがに酔っ払いには早いですよ。」
「えー、僕はー酔っ払ってませーん!」
これは完全に酔っ払いの戯言だ。
「灯里さん、大原さんのことなら気にしなくて大丈夫ですよ。あれは梛木さんがうまくコントロールして酔っ払わせてるので。」
尊さんが助け舟?を出してくれるが…。
「それは余計に心配になる気がするのですが。」
「僕も最初は心配だったけど。毎回終わる30分前くらいにちょうど酒が抜けてしゃんと帰れるようになるんですよ。それより食べたいもの食べないとアンジーときーちゃんに全部食べ尽くされちゃいますよ。」
そこでふとアンジーさんの方を見ると、喜一くんのおかげであまり目立っていなかったが、黙々と一言も発さずに食べ物を吸引している姿があった。
普段はこのメンバーではおしゃべりなアンジーさんなだけにちょっと異様だ。
「今月はオタ活でお財布が大変らしくて、ここで食費を浮かせるらしいですよ。」
「な、なるほど。」
「あ!アンジーさん!それ俺も食べたかったパスタっす!」
復活した喜一くんはまだ食べるようだ。
「はいはい。落ち着きてきーちゃん。こっちのパスタもありますよ。」
「尊さん!いただきまーす!」
人見知りをしないメンバーだからか、料理に釣られてるからかいつもよりテンションが3割マシだ。
「ふふ。なんか皆さんがきーちゃんって呼ぶのがよくわかります。私もきーちゃんって呼んで良い?」
「いいっすよ!」
また口に入れすぎそうな姿は確かに年相応だった。
「まだお腹空いてる人?」
梛木店長が途中でみんなに聞く。
アンジーさん、きーちゃんが勢いよく手を挙げる。
続いて尊さんが手を挙げる。
「僕はお酒のみたいでーす。」
酔っ払い現在の大原さんも手を挙げる。
「卓也くんには卵かけご飯を頼んであげよう。他のみんなの分も適当に頼んじゃいますね。」
「「「「ありがとうございます!」」」」
これは、おそらく帰る時に後悔するくらいに食べすぎるだろうなと思いながら美味しい料理を口に放り込んでいく。
やっぱり良い職場だなぁ。