4話
私のバイト先が変わろうとも大学の講義は通常通りある。
2、3限だけだから時間的に大変と言うことはないが試験で追試者を大量生産する先生の授業があるのでそれなりに大変だ。
といっても私や私の周りの友達は追試にならない程度にノートを取り、後はバレないようにスマホをいじりながら時間を潰す。
大学も2年を半分くらい過ぎたところだが、未だに将来やりたいことなんて分からないし、周りも今が楽しければオールオッケーなタイプだ。
90分は割とすぐ過ぎ、友達はスマホがバレてお小言を言われながらも授業を終える。
いつも通りの1日だ。
と思ったが、変わったこと?もあった。
昼食に普段はあまり使わない学食を利用したことで、なんと昨日のバイト先の尊さんに出会ったのだ。
この大学の先輩だと言うことは聞いていたが、こんな何千人いるんだろうと言う校内で遭遇するとはとんだ偶然もあるものだ。
尊さんのファッションは清潔感はあるのだが、バイト先のユニフォームの時よりさらに遊んでそうに見える。
他の人が着たらきっとそうは見えないのだが、顔が良すぎるせいだろうか?
そんな尊さんに周りの友達はヒソヒソ、かっこいいだのなんだの言い始めた。
だが、尊さんの周りは思った以上にもさっとした男子しかいなかった。
「灯里さん、昨日ぶりですね。学食はよく来るんですか?」
やはりすごく丁寧だ。
「いえ普段はあんまり来ないんですけど、たまにはいいかなーって。」
「そうなんですね。ならサバ味噌定食がおすすめですよ。」
ピアスのスーパーイケメンからサバ味噌定食という言葉が出た事に違和感しか感じなかったが、ちょうどそのタイミングで尊さんの周りの男子たちが行こうぜ、と尊さんを引っ張っていってしまう。
最後に「ではまた後ほど。」なんて爆弾を仕掛けて。
その後、サバ味噌定食ばっかり頼む女子たちが1人の女子を質問攻めにしている異様な光景が見られたのは言うまでもない。