3話
-cafe Snow Fall-(カフェ スノーフォール)に来る客は店内の雰囲気に合わせるような落ち着いた大人っぽい人が多かった。
他のスタッフも皆穏やかで気配りの効いた接客をしており、今までダラダラと客の来ないバイトだけで楽をして稼ごうとしてきた自分で大丈夫だろうか?と疑問が湧いてくる。
ざっとみた感じ、コーヒーを淹れてるのは主に梛木店長、軽食とその他のドリンクは大原さん、友紀さんさん・アンジーさん・尊さん・喜一くんは接客を受け持っている。
だが、喜一くんはちょこちょこメモを取りながらキッチンの方へ行ってコーヒー淹れと、だし巻き卵の作り方を教わっているらしかった。
そんなタイミングで指導係もなんて大変すぎる。
「米山さん、バックヤード案内するんでこっち来てもらって良いっすか?食器は本来キッチンの方に返すんですけど、衛生面で着替えと手洗いとかをしてないとそっちは入れないんで俺やります。あとキッチンは梛木さんの聖域なので気をつけてください。」
居心地が良すぎて気づかなかったがもう1時間経っていたらしい。
「ありがとう。灯里で良いですよ。年齢は私の方が上だけどここでは先輩なので慣れたらお互いにタメ語でどうですか?」
「了解です。俺けっこう人見知りしやすいタイプなんで年上にタメ語使えるまで時間かかるかもっすけど。」
ポリポリと頬をかきながら言う姿は、今まで大人っぽく見えていた喜一くんを本来の高校2年生らしく見せていた。
そうして案内されたバックヤードは思ったよりも広く整頓され、居心地の良さそうな空間になっていた。
喜一くん曰く、梛木店長くつろぎを提供するカフェだからこそ店員が窮屈そうにしていたらお客様は心からくつろげない、という考えによるものらしい。
「灯里さんのロッカーはここっす。中にエプロン、シャツ、ズボンが1セットとシューズが入ってるんで確認してください。名前入りのはきちんとサイズを測るんでそれまでの代替品です。ユニフォームとシューズを置いてく時は必ず衛生袋に入れてください。洗濯機とシューズの消毒液もあるのでそれもお願いします。基本的に香水とか香りの出るものは…」
そこからはメモを取りながら覚えることや注意する事、仕事のことについて説明を受け、1時間ほどだけ実際にホールに入らせてもらい、今日の研修?は終わった。
そういえば、キッチンが梛木店長の聖域だから…と言う話について聞くのを忘れた。
何を注意するんだろう?
ちょっと空いてしまいました。すみません。