第1話 女子高生始めました。
初投稿です。楽しんでいただけたらと思います。
「君たち、世界を救うのに興味はないかい?」
そう言って私たちの前に立つ少年は小さな手を差し伸べていた。
桜も散り、緑の葉をつけ始めたある春の日
鳴り響くアラームを止め、私、神谷優月は目を覚ます。
「今日から学校かぁ…」
高校受験も無事合格し、至福のような春休みを過ごしてきたが、なかなか布団から出られない。
いくら今日が女子高生としての第一歩だとしても面倒くさいものは面倒くさいのだ。
「そろそろ行かないと間に合わないよー」
そう言ってインターホンを押すのは私の幼馴染、飯田未来。黒髪ロングの似合う素直ないい子だ。幼馴染といっても中学は違うかったので同じ学校に通うのは久しぶりで少し楽しみにしていた。
あれ?そういえばそんなに時間ギリギリだったっけ?
そう思い、携帯の電源をつけると7:00と表示された。
おかしい、学校が始まるのは八時半からだったはず、そんなに早く行かなくていいよね?
「まだ七時だよ、未来。さすがに早すぎない?」
「えっ!?」
驚きながら時間を確認する未来。昔から少し抜けてると思ってたけど、まさか初日から時間を間違えるほどとは思っていなかった。
「ご、ごめんね、ゆづ。寝るの好きなのに間違えて起こしちゃって!」
「ま、いいよ。もともとこの時間に起きるつもりだったし」
そんなことよりインドア派の幼馴染を寝るの好きな人という認識でいたとは、、
「じゃ、ちょっと待ってて着替えてくるから」
「うん。ほんとにごめんね?ゆっくりでいいよ」
そういう未来に甘えてゆっくりと着替えを始める。
「私の部屋こんなに汚くなってたのか…」
休みの日はほとんどベッドの上で過ごしていたので自分の部屋がこんなにも汚くなっていることに気が付かなかった、というか目を背けていた。友達一人入れるスペースもないじゃないか!
「さすがに片付けないとな」
なんてことを思いながら着替えを終え、新しい鞄を背負っていつもより重く感じる扉を開けた。
「おまたs」
「おっそーーい!!」
さっきまではいなかったはずの人の声を聴き、そちらを見ると未来の隣にもう一人、見慣れた顔のツインテ少女が立っていた。小学校からよく遊んでた友達、修身奈緒だ。
「みらっちを待たせてんじゃない!!」
「いや、未来が来るの早すぎるんだよ」
「ごちゃごちゃうるさい!待たせてるのは事実でしょ!!」
奈緒は怒らせると話を聞かなくなる単細胞のバカだ、これ以上言い訳しても聞いてもらえないのでとりあえず謝っておく。うちに来てくれたのも私を思ってのことだろうし、、
「確かにそうだよね。悪かったよ、未来」
「わかったならよろしい」
「なんでお前が言う」
私は別にいいんだけど、と言う未来の横で腕を組んでいる奈緒にツッコミをいれる。
「まだ早いかもだけどそろそろ行こうか、迷うと大変だし」
そう言って三人は歩き始めた。高校には試験の時に行ったので道は覚えているけどはじめはどこか心配なので早く行って損はないだろう。
「いやー、みらっちと一緒に登校するの久しぶりだね!みんな合格できてホントによかった~」
「うん、私もみんなで登校できてうれしい」
「本当に、奈緒が合格できるなんて奇跡だよ」
「まあ、私もやればできるってことが証明されちゃったね!」
なんて話しながら歩いていると目の前にいきなり白髪の神官のような服を着た(神官をよく知らないけど)少年が現れた。
「君たち、世界を救うのに興味はないかい?」
太陽を背に、まるで自ら光を放っているかのような少年は私たちを照らしながらこちらに向かって歩いてくる。
「新手の宗教か何かかな」
「困ってるなら助けてあげたいけど…」
「いや、きっと世界の滅亡を防ぐために来た救世主だよ!」
コソコソ話す私と未来に反し突拍子もないことを大声で言う奈緒
「その勘はあながち間違ってないよ、でも救世主になるのは『君たち』だ」
そう言うと少年の持つ杖が発光し光の扉のようなものを創り出した。