第16話 新たな旅路
神装アメリアちゃんぎゃああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!
基地に戻ると、ミロアさんとサヴァちゃんが選んでくれた物が山積みになっていた。
これを街まで運ぶのは大変そうだなぁ。リアカー欲しい。
しかし、どれが金になってどれが金にならないかがさっぱりわからん。サヴァちゃんに素潜りで高級な魚や貝とってきてもらった方が稼げたかも。
でもなー、サヴァちゃんは喜んで引き受けるかも知れないけど、俺としてはなーんかパシリに使ってるみたいで嫌だなー。
『おうサヴァ、お前焼きそばパン買って来いよ。ダッシュで』
『イエッサー!!』
……なんか想像ついちゃった。本当に申し訳ない。
とりあえず傷が少なくてまた使えそうなものは高値で売れそう。あと、ほんの少しでも高く売る為にホコリとかをつけないようにお掃除。
俺がやっている姿を見て、2人も掃除してくれた。おかげでガラクタの山は、ピカピカで新品みたいだ。
「はー、これで全部ね!」
「すごいッス! これはもう宝の山ッス! 売れば大金が手に入るッスよ!」
「これで数か月くらいは遊んで暮らすぜー!」
よし! これで売りに出そう。
即席で作った台の上に売る品を乗せたら、落ちないようにロープでぐるぐる巻きにする。
台の後ろの方をミロアさんとサヴァちゃんに持ってもらい、俺は変形したファルを運転し台を引く。
無免許で運転してるのかと言われても、俺は車両の法律に詳しくないから何とも言えない。それにこれはバイクとは操縦してる感覚が違う。どちらかというと、自転車に近いかな。
ともかく、これらを売れば3ヶ月くらいは遊んで暮らせるだろう。
ハロー諭吉。グッバイ諭吉。諭吉フォーエバー。ウェルカム栄一。
* * *
んで、パラデイオーの買取ショップを探して、あの山積みの品を売りつけた訳だが。
「これだけ…………?」
小銭にしかならなかったよ。チクショウあの野郎足元見やがってよぉ。
サヴァちゃんはお金の使い方がアレだから少し減らすとして、3人で分け合うと……これ以上は考えるの止めよう。うん。
こんなところに居られるか! 俺は新天地へ旅立つぞ!
その辺の草と木の実をランチに、3人で相談する。質素だ。苦みもえぐみもそのままいただく。
このランチもいつかは、A5ランクのお肉に変わる日が来るのかな。来るといいな……。
「新天地だ……新天地に旅立つぞォ……」
「ちょっとちょっと、目が怖いわあ。第一、新天地ってどこなのよ」
「とりあえず海! 海に出て新大陸を発見して、でっかい金塊とか宝石とか掘り当てて一儲けしたい!」
俺がそう言うと、サヴァちゃんは苦いものでも噛んだかのような顔になった。
そうだった。水棲族ってば普段海の中で暮らしてるんだったよな。海の事情には詳しいのかも。
ミロアさんは何か考え込んでいるけど、どうしたのかな。
まあ、今はサヴァちゃんに聞いてみよう。
「どうしたのさサヴァちゃん。奥歯に物が詰まったみたいな顔して」
「いや、その、自分たち水棲族は水の中で暮らしてるッスから、独自の情報網があるッス。それでもし、新大陸があるのなら、真っ先に報告されてるッスよ」
「つまり、聞いた事が無い。と?」
「そうなるッス」
がーんだな。ぎゃふんとでも言っておこう。
「既に開拓済みの航路では、新発見も無いでしょうね。自由に船を出してくれるところがあるといいのだけれど……」
「あるッスよ」
「サヴァちゃん……? 今、なんて言ったの。俺ちょっと聞き逃しちゃった」
「だから、あるッスよ。船出してくれる所」
「本当!? それは何処なの!? ねえ教えて!!」
俺はミロアさんの腕に押しのけられた。思ったよりも食いつきが凄い。そもそもアナタさんてば海ってそんなに得意じゃなかったでしょ。
「あると言っても、いわゆる『闇ルート』ってやつッス」
[何!? 航路にまで闇の力が宿っているのかい!?]
ファルが闇って言葉を聞いて、話に入ってきた。多分、メイちゃんのパートナーと関係があると思ったんじゃないかな。なんかあの子闇属性っぽかったし。
「『闇ルート』……聞いた事があるわ!」
[なにっ! 知っているのか、ミロアさん!」
[是非教えてくれないか!?]
「ええ、勿論よ!
『闇ルート』……その源流は古代パラデイオーにまでさかのぼり、相手を殴り倒すまで値を競り続け、流された血が黒に変色するまでにごねついた事から、どこまでも終わらない暗闇を想起させる、恐るべき商法である。
古代パラデイオーの商人『ルート・ベニス』が頻繁に行った手法であり、想起した暗闇と彼の名を取って、現代に『闇ルート』と呼ばれるようになった。
ミンメー書房刊『知られざるウラ社会』より
「──という訳なのよ」
[延々と続く暴力沙汰か。あまり相手にしたくはないな]
「頭に『ヤ』の付く自営業の方々には、あまり関わりたくないしなぁ……。儲けがピンハネされそうで」
「でも勝手に船を出したら、インネン付けられて殺されるッスよ」
ヤクザこわいなー。殺されたくは無いし、この方向はナシにしよう。残念。
しかし、まだ俺は一攫千金を諦めたくはない。
情報は、いつも街に転がっているのだ。ビジネスチャンスを見つけるべく、俺たちは街の人たちに聞き込み調査を行った。
結果。
・ある ……9%
・部分的にある ……11%
・部分的にない ……52%
・ない ……12%
・その他・無回答……15%
(250人、天宮晴調べ)
このグラフから分かるように、『儲け話を部分的に聞いた事がある』と答えた人の割合が一番大きい。
「ちょっと待って! その図はどうして『部分的にある』と答えた人の占める面積が一番大きいのかしら!? そもそもその図はどうやって見るのが正解なの!? わざわざ円形にしている理由は何!?」
「ミロアさんステイっステイっ」
「そんな程度じゃ興奮は抑えられないッスよハルさん! こうしないと!」
サヴァちゃんが宥めるやすぐにミロアさんが落ち着いてくる。扱いが馬とかのそれに近いけど、あまり指摘する気になれない。好奇心に火が付いた時のミロアさんは、暴れるイノシシみたいだからなぁ。
「でも、有益な情報はあったんじゃない? ハロデヌィ行きの馬車があるとか!」
そうなのだ。まだ気候は温かくて雪と氷の国と謳われるハロデヌィも、この季節なら馬車が通れる道は存在する。そこを通れば、フェーリ山脈を越えなくても大丈夫な訳だ。
高い場所に咲く花は限られてくるし、お魚だって深海で暮らしてる場合だと内蔵とかが飛び出して軽めのグロ画像になってしまう。2人にそういう経験をさせたくない身としては、その情報はありがたい物であった。マジサンキュー!
「では早速ハロデヌィに行くぞー!」
「情報では赤い屋根の馬車ッスよね? 自分、赤は分からないのでおふたりにお任せするッス!」
「しかと受け取った!」
どれどれ……赤い屋根の馬車はどこかなーっと……あ!
「あった! 赤い屋根の馬車!」
「確かに赤いわ! 私も保証する!」
「御者が馬に跨ったッスよ!? このままじゃ行っちゃうッス!」
「すみませーーーーーん! 乗ります乗ります!!」
全速力で走って追いついた。1人当たりのお金が所持金ギリギリだったけど、乗車には成功したんだ。結果オーライ。
それからは3人で楽しくお喋りしつつ、暇を潰していた。
御者がムチを振るい、いよいよ馬車が動き出す。路面整備されてないので揺れはするが、その揺れが逆に気持ちいい。
だが俺は、とんでもないものを見てしまった。
今乗ってる馬車の屋根よりも、明らかに赤い屋根である。
「………………」(←もしかしてあっちの方が正解だったんじゃ? という顔)
「………………」(←あちらの馬車がハロデヌィ行きだと気づいた顔)
「………………?」(←何が何だかよくわかってない顔)
もうお金は払っちゃったから、取り返しがつかない。あ~もう滅茶苦茶だよ。
せめて! せめてこの馬車の行き先だけは教えてくれないか!
「あのーすみません……この馬車ってどこに向かってるんですか……?」
「グラージュの王都ビギニアだよ」
立てていた計算が大きく狂う。俺自身の姿かたちも大きくゆがんでいる錯覚。
これは思わぬ形で、クラスメイトと再会することになりそうだ……。
さて次回、いよいよ天宮晴のクラスメイトと再会!
初めて挿絵機能使ったので、お手持ちの端末で上手く表示されてるか心配です。
※この作品はフィクションであり、実在する事柄とは何の関係もありません




